今回のキーワードは 「引き算」 です。
おもしろいと思ったロハコやメルカリの取り組みをご紹介し、商品開発やマーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- ロハコやメルカリの 「ゆっくり宅配」 とは
- 導入する背景
- 売り手の思い込み、買い手の実際
- 引き算からのシンプル思考を (学べること)
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ゆっくり宅配
ヤフーが、ネット通販のロハコで 「ゆっくり宅配」 の実証実験を始めたとのことです。
ヤフーはアスクルのネット通販 「LOHACO (ロハコ) 」 で通常より数日遅い配達を選べる実証実験を始めた。
対象は10月9日までの日曜日。特典としてスマートフォン決済 「PayPay (ペイペイ) 」 のポイントを付与して利用を促す。日曜日は注文が集中するため、配達日を分散させ物流や環境の負荷軽減につなげる。
サービス名は 「おトク指定便」 。希望の配達日を遅らせるほど PayPay ポイントの還元率を上げる。
開始した狙い
おトク指定便のサービス開発の背景にあるのは、物流への負荷です。
これまで Amazon や楽天市場、ヤフーショッピングなどの EC 業界では配達の速さを競ってきました。翌日配達はもはや普通のオプションになっていますよね。
ここに新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要からの EC 利用増加、物流業界での人手不足も相まって物流が逼迫し、負荷が大きくなりました。
ロハコは配達日を遅らせる選択肢とインセンティブ (選択する動機) をユーザーに用意し、土日の注文から配達が集中するのを分散させるなどによって、物流や環境の負荷軽減につなげるのが 「ゆっくり宅配」 の狙いです。
多くの人は 「実は遅くてもいい」
ヤフーのロハコだけではなく、メルカリも同じことを考えています。
こちらの図は別の日経新聞の記事にあったものです。
出典: 日経 2022.4.7
この記事に、メルカリの自社調査の結果が紹介されていました。
メルカリ利用者6千人へのアンケートで、約9割が 「 (今より) 数日遅れても良い」 と回答したとのことです。
多くの人は、実は急いでいなく遅くてもいいと思っているのです。
増やすよりも削ってみよう
では、ロハコやメルカリの 「ゆっくり宅配」 から、学べることを掘り下げてみましょう。
商品開発やマーケティングにおいて、機能やサービスを増やすのではなく、減らすことはできないかと考えてみる 「引き算の思考」 を学びとしたいです。
多くの機能やメニューについて、なくてはいけない・全部が必要だと思っているのは作り手や売り手だけかもしれません。実はお客さんはなくても困らない、むしろ多すぎて逆に使い勝手が悪い、使っている機能・メニューのわりに値段が高いと感じている可能性はないでしょうか。
ネット購入での翌日配達は、確かに急いでいる時は便利です。しかし、全ての商品や毎回の買い物で翌日に届く必要はありません。事実、メルカリでは利用者の9割は 「今よりも数日くらいは遅く来ても OK」 と言っています。
学びとして一般化すると、逆転の発想として足し算ではなく引き算に変えてみる、削ぎ落としてもっとシンプルにできないかを考えてみると、商品開発やマーケティングのヒントが得られます。
まとめ
今回はロハコやメルカリの 「ゆっくり宅配」 から、学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 引き算のシンプル思考
- 多くの機能やメニューの全部が必要だと思っているのは、作り手や売り手だけかもしれない
- 実はお客さんはなくても困らず、むしろ多すぎて使い勝手が悪い、使う機能のわりに値段が高いと感じていないか
- 足し算ではなく引き算に変え、削ぎ落としてもっとシンプルにできないかを考えてみよう
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