投稿日 2023/09/10

新ブランド展開。ココイチに学ぶブランドアイデンティティと差異化の絶妙バランス

#マーケティング #フランド #アイデンティティ

新たな姉妹ブランドを立ち上げる際、どの程度、既存ブランドから変化させることが適切なのでしょうか?

そして何より、その違いはお客さんにとっての価値につながっていますか?

今回はココイチの新業態 「CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD」 を事例に、これらの問いを掘り下げます。

逆輸入ココイチ



 「カレーハウス CoCo 壱番屋」 を展開する壱番屋が、海外店舗のメニューを提供する新業態を名古屋駅前の JR ゲートタワーに開業しました。

開業する 「CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD」 は 「海外ココイチの逆輸入」 がコンセプト。中国やタイといった海外店舗で提供しているベースのカレーを使い、「オムカレー」 など国内の人気商品と異なるメニューをそろえる。

主な商品の価格は1500円前後と通常の店舗より高めに設定。トッピングする具材も従来と違うものにする。内装は海外店舗に合わせた。

学べること


ではココイチの 「CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD」 から、学べることを掘り下げていきましょう。

ストーリー性を入れた展開


CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD は、新たなブランド展開への示唆を与えてくれます。

新業態のコンセプトは 「海外ココイチの逆輸入」 でした。特徴は、中国やタイの海外店舗で提供しているカレーを提供し、日本国内のココイチの人気商品 「オムカレー」 などとは異なるメニューにしている点にあります。商品価格は、通常のココイチよりも高めの1500円前後に設定し、トッピングする具材も従来とは異なります。内装は海外店舗をイメージさせるものです。

既存のココイチとの違いをつくり、今までのココイチでは難しかった高価格帯の商品で、商業施設にも出店し、客層を広げる狙いがあります。

新ブランド立ち上げのバランス感


新たな姉妹ブランドを立ち上げる際に、少なからず目新しさは必要になります。ただし、新しければなんでもいいわけではありません。今までと違いすぎると変化はファンを遠ざけ、時にはブランドイメージを毀損してしまうからです。

既存の商品ラインナップやブランドイメージと、新たな提供サービスの中身、デザイン、そしてストーリーによる差異化を行いつつ、ブランド全体の核となる世界観やアイデンティティは維持するというバランスが求められます。

お客さんへの価値につながっているか


姉妹ブランドで既存のブランドとの違いをつくるとはいえ、大事なのは、今までとの違いをつくることがお客さんへの価値になっているかです。

CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD の場合は、海外からの逆輸入のカレーを安心して食べられるという価値を提供しています。

すでにココイチが中国やタイといった海外店舗で提供している実績、既存のココイチブランドに対する安心感や信頼があることで、他のたとえばタイカレーなどの普通のカレー店にはない飲食体験をお客さんにもたらしているのです。


まとめ


今回はココイチの新業態である CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • 新たな姉妹ブランドを立ち上げるときに目新しさは必要だが、新しければなんでもいいわけではない。今までと違いすぎるとファンを遠ざけ、時にはブランドイメージを毀損してしまう

  • 既存ブランドのイメージと差異化を図りつつ、ブランド全体での核となる世界観やアイデンティティは維持するというバランス感覚が求められる

  • 今までとの違いをつくることが、お客さんに価値になっていることが大事


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。