自社のお客さんの日常、直面している課題、お客さんの行動や気持ちをどうすれば理解できるのでしょうか?
今回は freee のユニークな事業である 「透明書店」 を通じて、本当のお客さん目線になる方法を紐解きます。ぜひ一緒に学んでいきましょう。
freee の 「透明書店」
出典: PR TIMES
クラウド会計サービスを提供する freee が子会社 (透明書店株式会社) を設立し、「透明書店」 をオープンしました。
店で取り扱う本は約3000冊です。スモールビジネスに関連した書籍や小規模出版の本が含まれます。
大江戸線・蔵前駅から徒歩1分に位置する 「透明書店」 。共同創業者の岡田悠氏は、「スモールビジネスに関わる人が、ちょっとした刺激をもらえるようなオープン (透明) な本屋がコンセプト」 だと話した。
こじんまりとした店内に3000冊の書籍を取りそろえる。そのうち2000冊は同店のコンセプトである 「スモールビジネス」 に関連した書籍、残り1000冊は小さな出版社や個人のリトルプレス (小規模出版) などの本を扱う。
特徴的なのは、透明書店の経営状況を外部にすべて公開することです。実店舗の経営を通じてスモールビジネスのことを理解し、得た知見を freee での自社のプロダクト開発に活かすことを狙っています。
「透明書店」 は、透明書店株式会社を通じて freee が自らスモールビジネスを経営していくこと、そして freee の社員が実際にバックオフィス業務を経験することで、スモールビジネスの実情とそれに取り組むユーザーを深く理解するとともに、そこで得た体験を自社サービスへ反映するために立ち上げました。
学べること
では freee の 「透明書店」 から、学べることを掘り下げていきましょう。
顧客理解の重要性
マーケティングを成功させるためには、お客さんを理解することが大切です。
最初にやるべきはターゲットとなるお客さんを決め、お客さんのことを深く理解することから始まります。
顧客理解にもとづいて提供する価値を定義し、お客さんに価値を提案し、商品やサービスを通じてお客さんへの価値を実現する。これがマーケティングの基本的な流れです。
お客さんを理解する方法
では、お客さんを深く理解するためにはどうすればいいのでしょうか?
答えはシンプルで、お客さんの立場に自らを置くことです。お客さんが置かれた状況を自分たちも体験し、同じ経験をするわけです。お客さんの文脈や世界観に入り込む機会をつくることで、お客さん目線になれます。
お客さん目線とは、お客さんが見ている景色を自分たちも同じように見ようとすることです。
そのためには、お客さんの行動、使う言葉、感じることを追体験や疑似体験し、お客さんに憑依できるレベルを目指します。オフィスの机に向かってデータや二次情報に触れているだけでは到達できない領域です。現場でのお客さんの一次情報を得る、体験することが重要なのです。
freee 「透明書店」 の狙い
この文脈で捉えると、クラウド会計ソフトを提供する freee が書店ビジネスに参入する意図が見えてきます。
freee は、自らが中小事業者として実店舗のビジネスを始め、実際に事業を担うことで、お客さんと同じ環境をつくり上げています。お客さんの課題を身をもって体験し、見えていなかったお客さんのことを理解したいという狙いです。
顧客体験を持っている価値
freee の 「透明書店」 からの学びを一般化すると、お客さんを理解するための良い方法は、自分自身がお客さんと同じ経験をすることです。顧客体験を通じて得られる情報は価値が高いのです。
自社の商品やサービスを自分たちも使ってみるやり方がありますが、さらに一歩進んで、自社のターゲットとなるお客さんが直面する現場に自ら身を投じることで、より深いレベルでの顧客理解に行き着きます。
そして、お客さんを理解しての商品開発やマーケティングにつなげます。顧客体験を持っていることの価値です。
まとめ
今回は freee の透明書店を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- マーケティングを成功させるカギはお客さんを深く理解し、顧客理解にもとづいて価値をつくりお客さんに提供すること
- お客さんを理解するために良い方法は、お客さんの立場に自分自身を置くこと。顧客課題を身をもって体験することで、お客さんが取る行動や奥にある心理まで深く理解できる
- 深いレベルでの顧客理解を商品開発やマーケティングに活かそう
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