投稿日 2023/09/07

プリクラに学べ!非日常体験がもたらすブランド構築のマジック

#マーケティング #ハレとケ #ブランド

自社の商品やサービスは、お客さんにどんな価値を提供していますか?
日常的なシーンだけではなく、特別な瞬間でも価値を生んでいるでしょうか?

今回はプリクラの事例から、マーケティングのブランディングの観点も入れてお客さんに価値を提供する方法を掘り下げます。

お客さんへの体験価値とブランド構築について、ぜひ一緒に学んでいきましょう。

プリクラが青春ライブ体験に


プリクラが Z 世代の間で青春の象徴として人気です。

プリクラを撮ること自体が友人との記念や楽しむイベントになり、スマホとは違ったライブ体験をもたらしています。

若者たちの 「プリ愛」 が熱を帯びている。誕生から四半世紀たち、スマートフォンで気軽に写真を撮れるようになっても人気は衰えない。単に保存して残すだけでなく、Z 世代にとっては、「プリを撮ること」 自体が友達との大切な青春のライブイベントの一つになっている。
出典: 日経

プリクラは具体的にどのように利用されているのかを見てみましょう。

5月下旬、原宿・竹下通りの 「プリクラ LAND NOA」 。「女神盛れ」 「ピーチ盛れ」 など盛り機能を売りにしたプリントシール機26台が並び、平日にも関わらず数十人の女子高校生や訪日外国人でにぎわっていた。

友人と2人で訪れた都内の高校1年生の女子生徒 (15) は1日のうちに5台で遊んだ。「機種によってメイクの仕上がりが違う。流れで楽しんだ」 と笑う。月に1回の頻度でプリを撮るが、このペアは初めてだといい 「色々な友達と撮影することが思い出作りになる」 と話す。

学べること


ではプリクラの事例から、学べることを掘り下げていきましょう。

 「ハレとケ」 から見るプリクラの体験価値


ところで、日本の伝統的な価値観に 「ハレとケ」 があります。日常生活 (ケ) と非日常的な特別な時間 (ハレ) の2つを表す概念です。

ハレとケの視点からプリクラを捉えると、プリクラの体験価値が見えてきます。

日常生活ではスマホは常に手元にあり、セルフィーを撮ることも気軽にできます。ハレとケで言えば 「ケ」 に当たります。

一方の 「プリクラ」 には、スマホでの撮影とは違った体験ができます。

先ほどの女子高校生のコメントで 「色々な友達と撮影することが思い出作りになる」 という言葉がありました。プリクラが単なる写真撮影ではなく、特別な記念やイベントとしての体験価値をもたらしているわけです。これは 「ハレ」 であり、日常の中にある非日常的な体験なのです。

体験価値の提供


プリクラがもたらす 「ハレ」 としての体験価値は、マーケティングへの学びを与えてくれます。

お客さんに対して提供する商品やサービスがどのような体験価値をもたらすか、その価値をいかに独自のものにするかという視点です。

商品やサービスが日常生活の中で使われるのであれば、もたらされる体験は 「ケ」 に該当します。プリクラのように特別な瞬間として 「ハレ」 の体験をつくり出すことができれば、商品・サービスの新しい魅力を打ち出せます。

体験価値に他にはない独自性があれば、商品はブランドになっていきます。

ブランドができるプロセス


そもそもブランドとは何かですが、ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス、あるいは企業」 です。好ましい感情とは、好き・共感・満足・誇り・憧れ・応援したい気持ちです。

このような好ましい感情は、良いユーザー体験によってつくられます。良い体験と好ましい感情が結びつき、お客さんはその商品やサービスが他とは違う価値のあるものだと認識します。これがブランドがつくられるプロセスです。

プリクラはブランド構築の観点で見ると示唆的です。

スマホで気軽に撮影できるセルフィーとは異なり、プリクラは友達と一緒になって撮影し、その場で写真を出力し、後でまた見返すという、一連の非日常的な体験を提供します。「ハレ」 の体験からの好ましい感情移入から、利用者の頭や心の中で価値イメージができあがるのです。

非日常体験での価値創出


マーケティングへの学びとして一般化すると、お客さんに非日常の体験価値も提供する重要性です。

自社の商品やサービスからの体験価値として、日常での 「ケ」 での価値だけではなく 「ハレ」 でも体験価値をもたらせないか考えてみると、新しいヒントが得られるでしょう。


まとめ


今回はプリクラの人気に注目し、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • 「ハレとケ」 の視点からプリクラを見ると、プリクラは日常でのセルフィー撮影 (ケ) とは異なり、特別な記念やイベントとしての体験価値 (ハレ) を生み出している

  • ブランドは、良いユーザー体験時に好ましい感情が伴い、商品やサービスに他にはない価値があると認識されることでお客さんの頭の中でできる

  • 自社の商品やサービスからの体験価値として、日常での価値だけではなく、非日常での特別な瞬間でも体験価値をつくれないか考えてみよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。