実験からの成功も失敗も、それらすべてが貴重な教訓になります。
今回は、タニタの新しい取り組みをご紹介し、「実験の意味合い」 を掘り下げます。
挑戦をし、学び続けることの大切さをぜひ一緒に学んでいきましょう。
タニタ食堂の実験
出典: タニタ
タニタが、自社で運営する飲食店を 「実験の場」 として活用し、健康食品の開発と販売など 「健康サポート」 に力を入れています。
東京・丸の内のビルにある 「タニタ食堂」 を昨年改装。仕事向け個室ブースを設置したことで席数は大幅に減ったが、売り上げは新型コロナウイルス禍前の9割の水準を維持する。主力の健康機器以外にも領域を広げ、総合的な 「健康」 サポート企業を目指す。
丸の内の 「タニタ食堂」 の入り口には無料で利用できる体組成計を設置した。靴を履いたまま計測ができ、性別や年齢、身長などの情報を入力すると、体重や体脂肪率、筋肉量、推定骨量などの結果が出る。
「かくれ肥満」 や 「標準」 、「運動不足」 「筋肉質」 などの体形判定が表示される。標準体形の人には 「アーモンドミルク」 、細身筋肉質の人には 「タニタ食堂の野菜ジュース」 など体形別におすすめの食材なども表示し、食事の際に追加できる。
店内では、タニタが製造した冷凍食品を販売する自動販売機も設置した。
学べること
ではタニタの挑戦的な事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
タニタの 「実験」 の狙い
タニタは丸の内の食堂をリニューアルするとともに、単に食事メニューを提供することだけにとどまらない取り組みを始めました。
たとえば、お店の入口には無料で利用できる体組成計を置いています。お客さんは靴を履いたまま計測でき、体重や体脂肪率、筋肉量、推定骨量などがその場でわかります。
測定結果から1人ひとりの体形別におすすめの食材が提案され、お客さんが食事メニューに追加できるようにしました。メニューの提案が自然なかたちでできる仕組みになっています。
タニタの食堂では、お客さんの利用や購入状況のデータだけではなく、タニタの食堂で直接お客さんの振る舞いや反応も見られます。自分たちの新しい取り組みや提案が効果的なのか、お客さんが喜んでくれるかを直に把握することができます。
ここに実験をすることの意味合いがあります。マーケティングの観点では、実験によってお客さんの理解、提供する商品やサービスの理解が深まるのです。
実験の意義と注意点
タニタの事例からは 「実験をすること」 の重要性を学べます。
実験とは新しい取り組みを行い、結果を観察し示唆や教訓を得る行為です。
実験の意義は、成功したり失敗したりすることからデータが取れる点にあります。定量的なデータに加え、プロセスや体験からも定性的な情報が得られます。これらの学びを振り返ることで、今後の活動に活かすことができます。
実験で大事なのは、実験をすることの目的が明確になっているかです。
実験をすることはあくまで手段であり、手段の先には実現したい目的があるはずです。手段である実験をすること自体が目的になる 「手段の目的化」 に陥らないように注意が必要です。
PDCA をサイクルさせる重要性
タニタの取り組みが教えてくれるのは、計画や企画を実行に移すことの大切さです。
立てた計画を実行に移すことで、オフィスの机上や会議室ではわからなかったことがはじめて見えてきます。実行したことから得られた教訓や知見を活かす PDCA (Plan-Do-Check-Act) になります。
PDCA はサイクルという言葉が付くように、1回やって終わりではありません。「トライ & ラーン」 が大事です。何度も実験をし、PDCA をまわしていくことで実験から得られた学びが次につながっていくのです。
まとめ
今回はタニタの取り組みから、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 実験の意義は、新たな試みから得られる成功と失敗のデータ、定性的な情報から示唆や教訓が得られること
- 実験をする際には目的を明確にすることが重要。手段である実験を行うこと自体を目的にしてしまう 「手段の目的化」 に陥らないように注意する
- 計画を実行に移し、結果から学んだ知見を活かす PDCA をまわすことが大事。PDCA は一度きりの活動ではなく、何度も繰り返し、より効果的な結果を生み出そう
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