商品を売ることが全てだと思っていないでしょうか?
実はそれだけでは、お客さんと深くつながったり、新たな価値を生み出す機会を見逃しているかもしれません。
今回はロングセラー飲料の 「ジャワティ」 の事例から、売り手と買い手、そしてお客さん同士の強いコミュニティでの共創からの価値創出に迫ります。
商品が永く愛され続ける秘訣を、ぜひ一緒に探りにいきませんか?
ジャワティのコミュニティ
出典: 食品新聞
ご紹介したいのは、大塚食品の飲料 「シンビーノ ジャワティストレート」 です。
ジャワティの発売は1989年です。
発売当時は学生だった今の中高年層を中心に根強い人気を誇ります。無糖紅茶への注目から新規ユーザーも獲得したこともあり、2023年1 ~ 5月の売上は2020年の同時期と比べて1割以上伸びているとのことです。
大塚食品はジャワティのファンを 「ジャワ党」 と銘打ち、ジャワティのユーサーコミュニティー作りに乗り出しました。
6月9日から SNS (交流サイト) 上で 「#ジャワ党」 を使ったキャンペーンを展開している。「ヘビーユーザーが多い」 (大塚食品 製品部ジャワティ担当プロダクトマネジャーの辻真知子氏) 商品の特徴を踏まえ、ジャワティを偏愛する消費者に同商品の活用シーンなどの投稿を促す。
キャンペーンに先だってジャワティ愛好家の飲食店経営者らが、同商品への思いを語る動画を制作。既存のファン同士をオンライン上でつなげることに加え、若年層などの取り込みも狙っている。
学べること
ではジャワティから、学べることを掘り下げていきましょう。
コミュニティでの双方向性
お客さんとつながるコミュニティを形成することで、提供価値を高めることができます。
コミュニティづくりの意義は2つあります。1つ目は、商品やブランドの売り手とファンとのつながりを強められること。2つ目は、ファン同士のつながりを生み出し、商品に対する共感やエンゲージメントを高められることです。
お客さんとつながりをつくったとしても、ただ一方的にメーカーから情報を発信するだけでは宝の持ち腐れです。双方向性を重視したコミュニケーションが大事です。
大塚食品はジャワティのヘビーユーザーだからこそ響くようなマニアックな情報を提供したり、ジャワティ愛好家 (たとえば飲食店経営者) が商品への思いを語る動画を制作しました。また、ジャワティを偏愛するファンに活用シーンの投稿を促しています。
こうした 「ジャワ党」 での取り組みは、ヘビーユーザーを中心としたコミュニティの形成を通じて、お客さんとの強いつながりを築いています。
ユーザーから学ぶ
コミュニティ内での対話や情報交換から、売り手はヘビーユーザーが見出している価値を発見し理解することができます。
具体的には、商品に対するこだわりや偏愛のポイント、便利な使い方などです。ここには、ユーザー特有の視点や経験が含まれています。
そして得られた情報をライトユーザーへ共有し還元することで、ライトユーザーも商品をより理解し、好きになるきっかけができます。
マーケティングでの好循環
ジャワティの事例からの学びを一般化すると、次のようなマーケティングの好循環です。
- 顧客接点を充実させる。コミュニティ形成につながる
- 顧客理解を深める
- 商品やサービスがもたらす本質的な価値を定義する
- プロダクト、プライス、プロモーションに反映する
- 価値をお客さんに響くメッセージに転換し、価値を提案する
ロングセラーの秘訣
今回のジャワティの事例から学べるロングセラー商品となる秘訣は、商品自体の良さに加え、その周囲に形成されるコミュニティと、そこから得られる学びを有効に活用することです。
商品の本当の価値を理解し、お客さんが共感し参加できる形で共有し、ときには共につくる共創を実現することで、商品は時を経てもその魅力を失わず、新たな価値を生み出すことができます。商品は単なるモノではなく、お客さんにとってのライフスタイルの中の一部になり、同じライフスタンスで一緒に生きていくという理想の状況になれます。
ジャワ党だけでなく、他の商品やブランドのマーケティングに応用可能です。お客さんとのつながり (顧客接点) を増やし、エンゲージメントを高め、双方向のコミュニケーションからお互いに学びを得ることで、商品は長く価値をもたらし、愛され続ける存在になるのです。
まとめ
今回はジャワティの 「ジャワ党」 の事例から、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 商品を売るだけで終わらず、売り手と買い手、そしてお客さん同士もつながるコミュニティを形成することで、エンゲージメントを高め、商品への共感を深められる
- 情報を一方的に発信するだけでなく双方向のコミュニケーションを重視し、ユーザーの意見や体験から学びを得る
- 商品の本当の価値を理解し、価値を提案・共有し続けることで、商品は時間を経てもその魅力を失わず、愛され続ける存在になる
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