あなたが提供する商品やサービス、その価値は誰がつくるのでしょうか?売り手だけでしょうか、それとも買い手であるお客さんも価値創出に関与するのでしょうか?
今回は、価値が 「共創」 によってどのように生み出されるのかを紐解きます。ぜひ一緒に学びを深めていきませんか?
価値とは共につくっていくもの
今回は価値について考察をしていきます。
まずは関連記事からの引用です。
価値とはともに作っていくもので、一方的に誰かが決められるものではない。だから企業や広告会社が価値を決めて、それを世の中に届けるというアプローチは、本来のマーケティングではないということですよね。
少し飛躍しますが、マルクスの資本論の第1巻の注書きに 「ペテロがペテロになるためにはパウロがいて、その関係性の中で初めてペテロになる」 とあるのを思い出しました。価値形態論です。人間のアイデンティティが他者なくして確立できないのと同様に、商品も商品群の中に置かれ、貨幣との関係性の中で、相対的にしか価値は決まらない。安藤さんがおっしゃっているのは、そういう話なのかなと。
一方でデジタルでは、たとえば20代女性に刺さると考えた商品に、20代女性に刺さるであろう広告クリエイティブをのせてターゲティングしたら、実際には刺さらなかった、ということがある。そこで、想定していた価値は受け入れられなかったのだと考えて、修正をかけ、いわゆる運用をしていく。ここに本当の価値創造のヒントがあるということですね。価値は、固定的に発信するものではなく、常にダイナミックに変化するものだと。
売り手と買い手の価値共創
価値のつくられ方について、さらに掘り下げていきます。
売り手からの価値提供
一般的には売り手が商品を提供し、お客さんに商品の特徴や使い方を提示します。お客さんは新しい体験をしたり、他の商品よりも優れた体験を得ることで価値を感じます。
具体的な例は、Apple です。Apple は高い洗練されたデザインと使いやすさで、ユーザーへの価値をもたらしてきました。
共創による価値創出
価値が見出される流れは必ずしも一方通行とは限りません。お客さんが商品やサービスを、売り手が想定もしていないような方法で使うことで、新たな価値を発見することがあります。
この視点で Linux のエコシステムは興味深い事例です。
Linux はオープンソースのオペレーティングシステムで、ユーザーは自由にソフトウェアを改変したり配布することができます。多くのユーザーが自分のニーズに合わせて独自のソフトを開発し、コミュニティで共有します。
ゲームのマインクラフトも同じです。マイクラではプレイヤーが自由に世界をつくり上げ、創造物を公開し他のプレイヤーと共有しています。
売り手が想定していなかった買い手による価値発見、あるいは、売り手と買い手での 「共創」 から新たな価値が生まれます。
今回の前半で見た、「ペテロがペテロになるためにはパウロがいて、その関係性の中で初めてペテロになる」 に商品と価値に当てはめると、「商品が価値になるためにはお客さんがいて、売り手とお客さんの関係性の中で初めて価値を持った商品になる」 ということなのです。
まだ見ぬ価値の探求
価値とは売り手と買い手がお互いに新たな使い方を提案し合い、学び合うことで生まれます。
もし売り手にとってお客さんが一見すると邪道のような使い方をしていたとしても、それを排除するのではなく、むしろ自分たちが知らなかった利用用途として積極的に学び、ユーザー起点の価値を見出すべきなのです。
商品やサービスを提供する売り手と、それを利用するお客さんが一体となって新たな価値を探求し、発見し、そして共有する。この過程で商品やサービスの価値は常に新たに生まれる。これが共創による価値創出の目指す姿です。
まとめ
今回は 「価値」 をキーワードに、マーケティングの視点で価値はどのように生み出されるかを考えてきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 価値創出は売り手から一方通行でもたらされるだけではなく、買い手も重要な役割を担っている
- 価値は、売り手と買い手が一体となって新たな価値を探求し、発見し、共有することで生まれる。商品が価値になるためにはお客さんがいて、売り手とお客さんの関係性の中で初めて価値を持った商品になる
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