ブランドとは何でしょうか?
どうすればブランドをつくることができるのでしょうか?
今回は、企業が提供する 「修学旅行での SDGs をテーマにした授業」 から、ブランディングの秘訣をぜひ一緒に解き明かしていきましょう。
企業が修学旅行で SDGs 授業
出典: PR TIMES
ご紹介したいのは、修学旅行の学生向けに開催された 「SDGs 学習プログラム」 です。ホテルと大手菓子メーカーがタッグを組んだ修学旅行での出張授業です。
東京ディズニーリゾート (千葉県浦安市) に隣接するシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルが菓子メーカーや流通大手を巻き込んだ修学旅行向けの学習プログラムを4月に始めた。
(中略)
プログラムに参加しているのはロッテやカルビー、イオン、モスフードサービスの大手4社。食にまつわる大手企業の中から、イベントなどで同ホテルと関係があった企業を中心に協力を募った。各社は SDGs 関連の部署の社員などを無償で講師として派遣している。授業は13日までに5回実施した。
修学旅行での SDGs の授業の中身を詳しく見てみましょう。
6月13日に初回の授業を実施したロッテは1時間の授業中に SDGs 関連で計5問のクイズを出題。二酸化炭素 (CO2) の国別の排出量や、児童労働のないカカオ豆の調達を目指す同社の取り組みなどについて取り上げた。講義後は参加生徒からの質問も受け付け、「どのように食品ロスを減らせるか」 などの質問が上がった。
同じく13日に授業を担当したカルビーも、ポテトチップスに使うパーム油の調達について映像を交えて紹介するなどした。
この日は修学旅行で宿泊中の愛知県豊田市立井郷 (いさと) 中学校の3年生の生徒153人と教員らが授業に参加。およそ半数ずつがロッテかカルビーいずれかの授業を受けた。学年主任の小玉祥生教諭は参加のねらいを 「外部から刺激を受け、自分たちの地域の課題を見つめ直す機会にできればと考えた」 と話す。
修学旅行後には双方の企業の授業内容について、生徒らが情報交換する機会を設ける計画だという。総合的な学習の時間などで、授業内容も踏まえて地域課題の解決のアイデアを練る予定だ。
授業に参加した生徒の沢田るうさんは 「大企業は国外にも目を向けて取り組んでいると知って驚いた」 と話す。リサイクルなどに関心があり 「まずは簡単なことから取り組んでいきたい」 と振り返った。
学べること
では、企業による修学旅行での SDGs の授業から、学べることを掘り下げていきましょう。
今回の事例には、マーケティングでの 「ブランディング」 の観点で示唆があります。
ブランドとは
そもそものブランドとは何かから言語化してみましょう。
ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス、または企業」 のことです。
好ましい感情とはたとえば、好き、共感、満足、誇り、憧れ、応援したい気持ちです。こうした感情が深いほど強いブランドです。ブランドは 「ブランド = 商品 + 感情」 と足し算で表現できます。
ブランドはユーザー体験から生まれます。具体的には、体験、感情移入、価値イメージの形成という一連のプロセスを通じてブランドはつくられます。
修学旅行での SDGs 授業からのブランディング
ここで修学旅行での SDGs 授業に話をつなげると、ブランディングの観点から興味深い事例です。
修学旅行という生徒たちにとって一生の思い出になる状況で、SDGs の授業を通じて自社の社会的な良い行いを紹介したり、商品やサービスを取り入れたワークショップをすることで、生徒たちには企業のことや商品が体験として強く印象に残ります。
企業や商品が修学旅行という楽しい思い出と結びつき、生徒たちは他では得られない特別な感情を抱くことでしょう。その結果として、企業や商品はブランドになるのです。
ユーザー体験からのブランド構築
この事例から学べることを一般化すると、ブランディングではユーザー体験をいかに良くするかが重要であるということです。
自社の商品やサービスが日常的に使われるものであっても、非日常感を演出することで特別な体験を提供できないかを考えてみると、新しい着想が得られるでしょう。
ブランドは、お客さんが商品やサービスの背後にある物語性や存在意義に触れ、良い体験を通じて感情移入が起こることでつくれます。商品や企業への良い価値イメージが形成されることで、お客さんの頭や心の中にできあがるのです。
まとめ
今回は、企業が提供する修学旅行での SDGs 授業を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- ブランドとは、お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス、または企業。好ましい感情とは、好き、共感、満足、誇り、憧れ、応援したい気持ち
- ブランドはユーザー体験から生まれる。ブランドは、お客さんが商品・サービスへの良い体験を通じて感情移入が起こり、価値イメージが形成されることで、お客さんの頭や心の中にできあがる
- ブランディングはユーザー体験をいかに良くするかが重要。自社の商品が日常的に使われるものであっても、非日常感を演出することで特別な体験を提供できないかを考えてみよう
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