商品を売るときに、商品を置くだけで本当にお客さんの心をつかめるでしょうか?
お客さんにとっての具体的なメリットや価値を伝えることが、お客さんからの関心や購入意欲を引き出すカギとなります。
今回はドンキのユニークなシャツから、お客さんに 「これは自分向けのものだ」 と思ってもらえる秘訣を探ります。
ドンキ "表裏前後" がない T シャツ
出典: ITmedia
ご紹介したいのは、ドンキの 「表裏と前後もないシャツ」 です。今までありそうでなかった服です。
ユニークな特徴をどう伝えるか
ドンキの課題はシャツの特徴をどう伝えるかでした。
T シャツの 「前後の区別がない」 だけではなく、さらに 「服の表裏までないシャツ」 という服の良さが伝わりにくいのではないかという課題感です。
表裏前後がないことの伝え方
ドンキは様々なアピールをしました。
出典: ITmedia
具体的には、次のような訴求です。
- 商品のパッケージでは 「どう着ても正解」 「裏返しの余地がない」 「裏表前後なし!」 「『着る』『脱ぐ』『洗う』『畳む』でうしろまえからの解放!」 といったように、これでもかと機能性をアピール
- こうした説明だけでは理解してもらいにくいと考え、わかりやすい POP も別途作成
- POP では 「楽を追求」 「タイパ時代の救世主」 と強く打ち出す
- 独自の検証に基づいた 「裏返った肌着をたたむのにかかる時間が15秒。裏返さなくて良ければ5秒でたためる」 「前後を意識した後に頭と袖を通して着るのに8秒かかる。何も考えずに着るだけなら2秒で完了」 とタイパをアピール
表裏前後がないことは、「使う人にとってどんな意味があるのか」 を効果的な訴求で伝えています。消費者にとってわかりやすい価値提案です。
お客さんの立場になって価値を伝える
では、ドンキの事例から学べることを掘り下げていきましょう。
学べるのは、お客さんへの商品価値や体験価値の伝え方です。
特徴をベネフィットに言い換える
重要なのは、商品の特徴の価値への言い換えです。商品がお客さんにとってどんな意味があるのかを、お客さんにとってのベネフィットに言い換えて価値に転換して伝えることが大事です。
ドンキは、ただ単に服の 「表裏前後がない」 という特徴を伝えるだけにとどめませんでした。
表裏や前後を区別せずに着られる T シャツが 「消費者の日常生活にとって何を意味するのか」 、「どんな価値があるか」 を強調しました。裏表前後のない T シャツは、洗濯や畳む際の時間短縮などの具体的なメリットを示しています。
利用イメージから 「自分向け」 と思ってもらう
商品の特徴を列挙するのではなく、お客さんにとっての実際の便益や価値に言い換えてわかりやすく伝えているところがポイントです。
これにより、消費者は商品を自分の生活に合わせて使い方や価値をイメージできます。自分に合っている商品だと思えば、欲しいという気持ちや買いたい意欲が高まるでしょう。
商品価値をお客さんの視点での価値に言い換えて、お客さんの立場になった訴求をすることで、より効果的なマーケティングになるのです。
まとめ
今回はドンキの 「表裏前後のない T シャツ」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 商品の特徴をただ伝えるだけではなく、お客さんへのベネフィット (便益) に言い換え、お客さんにとっての具体的な価値として伝えることが重要
- 商品の実際の使い方や得られる体験価値をお客さんの立場で訴求することで、商品のことを 「自分向け」 と思ってもらえる。認知から興味喚起、購入意向を高められる
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