今回は、ユナイテッドアロ-ズの顧客ロイヤルティ施策をご紹介します。
ゴ-ルからの逆算をした打ち手から、どのようにお客さんの心を動かし、ブランドとの関係性を育んでいるのでしょうか?
ぜひ一緒に学んでいきましょう。
ユナイテッドアローズの会員プログラム
ユナイテッドアローズが、会員プログラムを刷新し、会員向けの特典の向上に注力しています。
購入以外のアクションでもマイルがもらえる
刷新された新会員プログラムの変更点は、「ポイント制からマイル制への変更」 と 「購入以外のアクションでもマイルがたまること」 です。
後者について、たとえば次のようなマイル獲得です。
- ユナイテッドアローズのお店に行き服を試着するだけで2500マイル
- 会計の際にショッピングバッグを辞退すると500マイル
- EC サイトにレビュー投稿をすると500マイル
- 店舗に行かなくても、アプリでお気に入りスタッフを登録するだけで50マイル
これまでのユナイテッドアローズの会員サービスは、買った金額に応じたポイント還元が中心でした。一方の新しく導入する制度では、購入に直接関係のないアクションでもマイルがもらえるのが特徴です。
刷新の背景
新しい会員サービスを導入した背景は、これまで実施してきた施策への課題感からでした。ユナイテッドアローズが課題と捉えたのは、ロイヤルティプログラムが実質は値下げ施策と変わらないという問題意識です。
単なる値下げではお客さんとの深い関係を築けないとユナイテッドアローズは判断し、会員プログラムの刷新を図ったわけです。
新たに打ち出した中で注目したいのは、先ほど見たように服などの購入以外のアクションでもマイルが獲得できることです。お店での試着、EC サイトへのレビュー投稿、アプリでお気に入りスタッフを登録などです。
学べること
ではユナイテッドアローズの事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
ポイントから 「線」 でつなげる
一般的に還元ポイントには金銭価値があります。施策としてうまく使えば効果的な反面、使い方を見誤るとポイントが欲しいだけの人が集まってしまいます。
そこで大事なのはポイントをどう位置づけるかです。お客さんの購入や優良顧客を1人でも多く増やすというゴールから逆算し、ポイント施策をゴールに到達するための手段とするのです。
そのためには、次のことを1つずつクリアにしていくことが重要になります。
- ゴールへの道のりにおいて障壁となるボトルネックはどこにあるのか
- お客さんがそのハードルを乗り越えられないのはどんな心理や行動へのネックがあるのか
- そして解決するためにどのような施策を行えばいいか
ポイント提供が解決策の1つになると判断できて、はじめてポイントの導入を具体的に考えていくという流れです。
逆に言えば、ポイント施策が次につながらない孤立した 「点」 になってしまっては、その効果は限定的です。点ではなく、お客さんの購入やブランドへの親近感や愛着の高まりなどへと導く 「線」 としてつながり、ポイント施策がゴールへの道筋として描かれているかことが重要です。
マーケティングの役割
マーケティングで大事なのは、想定するお客さんの行動、行動に影響を与える心理までを読み取って、お客さんの 「お店に行きたい」 や 「欲しい」 「買いたい」 という気持ちをつくることです。
そして、以下のような最終的な売れるという結果から逆算し、どこにポイント付与や会員向け特典などのインセンティブを設け、最終ゴールまでの流れをスムーズに行き渡すかです。
- 来店と売上
↓ - お客さんの "お店に行きたい" や "買いたい" という気持ちをつくる
↓ - 購入意向や来店意向につながる行動 (例: アプリでの登録や試着) をとってもらう
↓ - 行動のきっかけになる興味喚起や動機を生み出す
お客さんが自然と 「欲しい」 や 「買いたい」 という気持ちを生み出すためには、お客さんの心に響く提案が不可欠です。ポイント制度を通じてそのストーリーや流れを紡ぐことで、購買だけではなく、お客さんとブランドの長期的な関係構築につながるのです。
まとめ
今回は、ユナイテッドアローズがポイントプログラムを刷新したという事例から、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 付与ポイントを一過性の割引としてではなく、長期でお客さんになってくれる人の購入意向やブランドへの愛着を高めるために活用する。ポイント付与や特典を、売上向上のための最終ゴールに向かって 「線」 でつなげる設計にするといい
- マーケティングで大事なのは、お客さんの行動や心理までを深く理解し 「お店に行きたい」 「欲しい」 「買いたい」 という気持ちをつくること
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