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#マーケティング #顧客の不 #価値提案
朝食のためにいつものクロワッサンを焼く。でも、オーブントースターで表面が焦げてしまい、焼き加減が難しい…。
このような日常の 「不」 には、ビジネスチャンスが眠っています。
今回は、ツインバードの 「匠ブランジェトースター」 の事例から学ぶ、問題設定からのマーケティングのプロセスです。ぜひ一緒に成功の秘訣を探っていきましょう。
パンの焼き直しに特化した 「匠ブランジェトースター」
出典: 日経クロストレンド
ツインバードが、同社初の高級トースター 「匠ブランジェトースター (TS-D486B) 」 を発売しました。ちなみにブランジェとはフランス語で 「パン職人」 を意味します。
特徴はパンの再加熱に特化していることです。上下で違う種類のヒーターを搭載し、火力調整プログラムにより、様々な種類のパンを焼きたてのような状態に温め直すことができます。冷凍パン用のモードも備わっています。
使い方は、パンを入れたらダイヤル操作でモードを選び、スタートボタンを押せば、あとは全自動で焼き直し (リベイク) がされます。マニュアルモードで加熱温度と時間を手動で設定することもできますが、全自動でリベイクするのが基本的な使い方です。
今までのように、パンの様子を見ながら焦げないように加熱時間を細かく調整するといった手間がかからないのがうれしいポイントです。
学べること
ではツインバードの 「匠ブランジェトースター」 から、学べることを掘り下げていきましょう。
トースターへの隠れた 「不」 とビジネス機会
ツインバードがビジネス機会として捉えたのは、家庭でのトースター利用に潜んでいた 「不」 です。
多くの人が朝食などでパンを食べているものの、用意する手間やトースターで焼き直す際の不都合な真実がありました。
ツインバードの調査によると、3人に1人はほぼ毎日パンを食べていて、週に1回以上パンを食べる人は8割を超える。好きなパンのランキング1位はクロワッサンで、それに食パンやフランスパンが続き、様々なパンを日常的に食べる人が増えている。
しかし普通のトースターでパンをリベイクすると、加熱しすぎて焦がしてしまうことがある。かといって焦げないように見張り続けるのは面倒だ。
ツインバード取締役 マーケティング本部長の浅見孝幸氏は 「リベイクでパンがおいしく食べられると調査で答えた人は、わずか 9.3% しかいない。自宅で食べるパンに対する "あきらめ" があるのではないか。そこで、家庭で様々な種類のパンをおいしくリベイクできる、究極のトースターを作りたいと考えた」 と開発のきっかけを語る。
家庭にあるトースターやオーブンには、消費者が解決を諦めていた 「不」 が存在していました。普通のトースターでパンを温めたり焼き直しをすると、どうしても加熱しすぎて焦がしてしまったり、焦げないように見張り続けるのは手間がかかります。
ツインバードの調査によれば、リベイクでパンがおいしく食べられると調査で答えた人はわずか 9.3% で、残りの9割以上の人は自宅で食べるパンに対してどこか諦めがあったわけです。
このような家庭の実情を踏まえ、ツインバードはパンの潜在的なリベイク需要をビジネスチャンスと捉えました。
そして開発されたのが、家庭で焼きたてのような品質のパンを食べられる 「匠ブランジェトースター」 です。パンのリベイク利用にターゲットを定めた製品です。
商品開発とマーケティングの普遍的なプロセス
では今回まとめとして、匠ブランジェトースターの事例からの学びを一般化して終わりましょう。
問題設定からの問題解決で汎用的な学びが得られます。
具体的には、次のプロセスで商品開発やマーケティングを進めるといいです。
- 向き合うお客さんや市場を決める
- 現状で存在しているお客さんの 「不」 を見出す。特に多くの人々がそういうものだと解決を諦めている問題
- その問題を自分たちにしかできない方法で解決し、お客さんにとって他には得られない価値を提案する
- お客さんに 「そうそう、こういう商品が欲しかった」 や 「この商品を買いたい」 と思ってもらい、自分たちがお客さんから選ばれる存在になる
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