今回は、花王の日焼け止め 「瞬感ミスト UV」 を取り上げます。
大ヒットとも言える人気商品の成功は、普段の日常の一瞬の瞬間が起点になっていました。
その舞台裏を探り、マーケティングに学べることをぜひ一緒に紐解いていきましょう。
瞬間ミスト UVの 「3S」 モデル
出典: 花王
花王のヒット商品の日焼け止め 「瞬間ミスト UV」 、マーケティング戦略がおもしろかったです (参考記事) 。
3S というモデルで体系化しているとのことです。
- Scene: 利用場面
- SNS: UGC からの拡散
- Store: 店頭
特徴的なのは、シーンという 「商品の利用場面」 から始まっているモデルだということです。
たとえば 「瞬感ミストUV」 の利用は、外出先で簡単に日焼け止めをミストでサッと吹きかけたり、頭にもミストをすれば頭皮だけではなく紫外線からの髪のダメージも防ぐことにも使えます。
これが 「塗り直しに便利」 や 「髪にも使える」 などと SNS で話題になっていくわけです。
SNS での拡散から店頭へ
商品の体験がよければ、ユーザーからの X や Instagram などでの SNS での自然発生的な情報発信が期待できます。
実際の利用場面や使い方が SNS で共有されることで、ユーザーの利用シーンの情報が拡散し、認知から先のミドルファネルである、興味喚起、理解促進、評判形成、そして店頭への購入までつながります。
3S をサイクルさせる
お客さんがお店で実際に商品を手に取り、買って使ったときにその使い心地や効果を実感すると、さらに次の 「Scene (利用場面) 」 と 「SNS」 での発信が期待される、という好循環が生まれるでしょう。
このように 3S は1回ではなくサイクルとしてまわることがポイントです。
商品があり、利用場面、SNS 発信、店頭、購入、利用、SNS … 、という好循環が起こり、一連の流れがスムーズに進むことが重要です。
また、花王は SNS 上で共有された良い体験だけではなく、良くなかった体験も社内に共有しフィードバックしています。「SNS → 利用シーンの理解 → 商品やマーケティングへの反映」 という 3S のサイクルを逆向きにもまわしているのです。
起点は良いユーザー体験
こうして見ると、SNS で一過性でバズって終わるのではなく、各要素の流れがきれいにつながり、全体設計がうまくできています。
起点になっているのは商品の利用シーンでの 「良いユーザー体験」 です。
商品を使っての体験に価値があれば、SNS での発信情報に注目や共感が集まり、拡散されて商品を知った人や興味を持った人のお店での購入につながります。
そして、その購入が次の 「Scene (利用場面) 」 と 「SNS」 での発信を促し、再び 「Store (店頭) 」 へとお客さんを引きつけていくでしょう。
3S の流れがスムーズにできているところに 「瞬感ミスト UV」 からの学びがあります。
まとめ
今回は、花王の日焼け止め 「瞬間ミスト UV」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 花王の 「瞬感ミスト UV」 のマーケティングは 3S モデルがある。利用場面 (Scene) を起点に、SNS でのユーザーによる拡散、そして店頭 (Store) での購入へつなげる流れ
- 3S は1回ではなくサイクルとして運用することがポイント。商品の体験、SNS での発信と拡散、店頭での購入が次の商品体験をつくるという好循環を起こす。SNS 上での良い口コミや良くない評価もフィードバックとして活用する
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