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投稿日 2015/07/08

戦略を 「数字」 に落とし込み、実行結果を数字で 「評価」 しよう




戦略は、実行を伴ってこそ意味のあるものです。

逆に言えば、いくら戦略に魅力があっても実行が伴わなければ、その戦略は絵に描いた餅です。では、どうすれば戦略と実行をつなげることができるのでしょうか?

今回は、戦略を着実に実行するために、数字と評価の大切さについて書いています。

  • 戦略を数字に落とし込む
  • 具体例 (戦略から数字の設定)
  • 数字になっていれば評価できる
投稿日 2015/07/04

あなたの 「強み」 は、他人には真似されにくい 「源泉」 に支えられていますか


今回は、仕事において自分の強みをどう考えるか、その強みの元は何かについて書いています。

投稿日 2015/06/27

同僚がマクドナルドに行かなくなった理由 (マーケティング戦略を考える好材料)




今回は、同僚が教えてくれたマクドナルドへ行かなくなった話から、マーケティングについて考えます。

エントリー内容です。

  • マクドナルドへ行かなくなった理由
  • 提供価値から考えるマーケティング戦略
  • 戦略・戦術・提供価値の一貫性
投稿日 2015/06/20

顧客視点のマーケティング戦略。顧客を絞れば戦略が決まる




マーケティングについてです。顧客視点で、マーケティング戦略をどのようにつくっていくかを書いています。

エントリー内容です。

  • 顧客を絞れば戦略が決まる
  • 顧客視点で進める戦略立案
  • 戦略と戦術に一貫性はあるか

投稿日 2015/06/13

書評: 経営戦略立案シナリオ (佐藤義典)




ビジネスとは 「顧客に価値を提供し、顧客からその対価をもらうこと」 です。ビジネスに関する最もシンプルな表現でしょう。


経営戦略として考えるべきこと


従って経営戦略として考えるべきことは 「どのような顧客に、どんな価値を提供し、どうやってお金をいただくか」 です。

経営戦略を実行する要素であるマーケティングにおいても、当てはまります。

今回のエントリーでは、マーケティングの本で過去に読んだ中から、おすすめなものをご紹介します。経営戦略立案シナリオ という本です。



エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 経営戦略フレーム
  • 顧客視点の経営戦略
投稿日 2015/04/15

セオドア・レビットの 「真のマーケティングに必要なのは知識よりも思考である」 は、示唆深い




セオドア・レビットの言葉から、マーケティングについて書いています。

エントリーの内容です。

  • 真のマーケティングに必要なもの
  • データや情報のレベル感
  • データを価値に変えるには
投稿日 2015/04/11

4つの Moment of Truth (真実の瞬間) は、古くて新しいマーケティング理論




今回は、マーケティングについてです。消費者行動の概念である Moment of Truth (真実の瞬間) をご紹介します。

エントリー内容です。

  • P&G が提唱した店頭マーケティング概念
  • 4つの真実の瞬間
  • 顧客が買うのは期待価値である

投稿日 2015/04/01

Yahoo! JAPAN のアンケートと検索ログデータを比較した調査




Yahoo! Japan が検索データを使ったおもしろい研究をしています。検索データとアンケート回答で、商品購入検討開始のタイミングに違いがあるかの調査です (2014年10月実施) 。

参考:Yahoo! JAPAN の検索ログデータで見る 「購買プロセスにおける購入検討開始のタイミング」 |Yahoo! JAPAN マーケティングソリューション


検索データという 「行動データ」 と、アンケートからの 「意識データ」 の両方を使って調査し、検証している興味深い取り組みです。
投稿日 2015/03/17

Google グローバルマーケティング担当 上級副社長が語る 「マーケターは仲人たれ」




今回は、マーケティングについてです。

  • Google が考えるマーケターの役割とは?
  • 「マーケターは仲人たれ」 とはどういう意味?

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


記事でわかること


この記事でわかるのは、グーグルから学ぶマーケターの役割です。

グーグルのグローバル マーケティング担当責任者とマッキンゼーとのインタビュー対談が、マーケティングに示唆に富む内容だったのでご紹介します。

参考:How Google breaks through | McKinsey & Company (インタビューは2015年2月)


グーグルのグローバルマーケティング担当責任者は、上級副社長の一人でもある Lorraine Twohill 氏 (ロレイン・トゥーヒル  ※ 役職は2015年現在) です。ロレイン氏は、2003年にグーグルへ入社、2009年からグローバルマーケティングの責任者となり、2014年から上級副社長に就いています。

投稿日 2015/01/11

自分が 「ぱっと見て欲しい!」 と思ったのはなぜ?




売れる商品は見ただけで惹かれる


楡周平の小説 象の墓場 に、まさにということが書かれていました。消費者が欲しいと思う商品は、ぱっと見て欲しいと思える、という内容です。



果たして、早苗は痛いところを突いてくる。「消費者が欲しいって思う商品って、説明なんかいらないものなんじゃないかしら。ぱっと見て欲しい!って思うものは黙っていても売れて行くものなんじゃないの (中略) 」
投稿日 2015/01/10

P&G のマーケティング意思決定から学んだこと




Harvard Business Review に、P&G が意思決定にデータをどのように使っているかが紹介されています (2013年4月4日) 。

参考:How P&G Presents Data to Decision-Makers - Harvard Business Review


P&G が重視する Why と How


記事では、ダッシュボード、会議室の様子、チャート (例: ヒートマップ) などの事例が掲載されています。

この記事で印象に残ったのは、P&G の取り組みがグラフなどのデータ結果から 「何が起こったのか」 のファクトを知ることだけにとどまっていないことでした。P&G が重視しているのは、その先にある 「それに対してどうアクションをするのか」 にいかにたどり着けるかです。
投稿日 2014/11/09

そのリサーチクエスチョンはアクショナブルか




今回は、マーケティングリサーチについてです。

エントリー内容です。

  • マーケティングとマーケティングリサーチの関係
  • リサーチをしてアクションにつながるか
  • 上位目的を理解する
投稿日 2014/10/05

Cookie 問題を解決する Facebook のマルチデバイス広告測定




フェイスブックがおもしろい取り組みを進めています。

参考:Facebook 、買収した Atlas 広告プラットフォームを再ローンチ―マルチデバイス、オフラインのセールスもモニタ - TechCrunch (2014年9月30日)


Cookie 問題


オンラインでのユーザーを計測するためには、これまでは Cookie を使う手法が一般的でした。ユーザーに対して Cookie をブラウザごとに配布し、広告が配信された数、クリック数、A という広告に接触した人に B という広告を出す (リマーケティング) などに使われます。

ただし、Cookie には課題もあります。例えば、以下です。
投稿日 2014/09/27

AccessMill (マクロミルのオンライン広告効果測定サービス) が正式リリース (2014年9月) 。広告接触者と非接触者の同質性を考える




調査会社のマクロミルが、AccessMill (アクセスミル) を正式リリースしました (2014年9月24日) 。

参考:AccessMill [アクセスミル]|マクロミル


AccessMill とは


アクセスミルは、ネット広告によるデジタルマーケティング施策の効果を調査するツールです。

特徴は2つです。

  • Cookie 情報をもとに、マクロミルの調査パネル対象者が広告に接触したかどうかを判別
  • 広告接触者に対してアンケートをかけたり、広告接触者や広告ランディングページ訪問者の特徴を知ることができる

広告接触者やページ訪問者にアンケートをかけ広告効果が測定できます。例えば、広告された商品やサービスについて以下のような態度変容です。
投稿日 2014/09/14

Google アンケートモニターが普及するための2つのポイント




グーグルのアンケートサービスである Google Opinion Rewards が日本でもローンチされました (2014年9月11日) 。

Google Opinion Rewards Now Available in Italy and Japan! | Google Consumer Surveys (Google+)

日本でのサービス名は 「Google アンケート モニター」 です。

すでにローンチされているのは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの英語圏の国です。非英語圏ではドイツとオランダに続き、日本はイタリアと同じタイミングでのリリースです。


Google アンケートモニターとは


Google Opinion Rewards (Google アンケートモニター) とは、グーグルが提供するマーケティングリサーチのサービスです。

Google アンケートモニターの特徴は以下です (2014年9月現在) 。
投稿日 2014/03/16

リサーチは良い結果を出すことではなく、真実を知ることが目的




今の仕事での役割は 「マーケティングリサーチマネージャー」 です。


マーケティングリサーチとマーケティング


マーケティングリサーチというのは、マーケティングとは切っても切り離せないものです。リサーチが求められるのは、マーケティングの課題を解決し、マーケティング目的を達成するための一助になることだからです。

マーケティングの目的があり、そのためのマーケティングの課題があります。

例えば、目的と課題は次のようになります。
投稿日 2013/12/22

P&G の事例から考える、マーケティングリサーチャーとしての自分の役割


Free Image on Pixabay


Harvard Business Review に、P&G が全社的にどのようにデータを活用しているかが紹介されていました。

参考:How P&G Presents Data to Decision-Makers - Harvard Business Review


What だけではなく Why と How までいけるか


記事のポイントは、

  • グローバルで統一されたデータの閲覧システム 「Decision Cockpit」 を共有している
  • P&G 社内からはどこからでもアクセスができるようになっている
  • データから 「今の状況」 をより早くつかみ、意思決定と次のアクションを決めることに集中している

記事の中で印象深かったのが、以下でした。
投稿日 2013/03/09

シニアシフトの衝撃。有望な市場とビジネスモデルを考える着眼点




シニアシフトの衝撃 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 飽和しているのは市場ではなく、私たちの頭の中
  • コト消費とモノ消費を連動させるビジネスモデル
  • シニアビジネスの垂直展開と水平展開

投稿日 2013/01/01

マーケティング3.0から考える2013年も大切にしたい人生観

フィリップ・コトラーが提唱したマーケティング3.0。

マーケティングの発展を三段階に分け、製品中心だった時代を1.0、消費者志向(顧客中心)の時代を2.0、そして価値主導になる時代が3.0としています。

書籍「コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則」に詳しく書かれていて、マーケ3.0における企業のマーケティングガイドラインは、
  • 企業のミッション
  • ビジョン
  • 価値
の3つが必要といいます。それぞれ、ミッション:なぜ(Why)、ビジョン:何を(What)、価値:どのように(How)と捉えることができます。

この3つのフレームは企業だけではなく個人レベルでもそのまま当てはまり、今回のエントリーでは新年なので人生観なんかを書いてみようと思います。
  • ミッション(Why):なぜ生きるのか
  • ビジョン(What):何をしたいか/成し遂げたいか
  • 価値(How):どのように生きるか

■ミッション(Why):なぜ生きるのか

なぜ生きるのか?これに対してはやや逆説っぽいですが、「死ぬために生きる」と考えています。人も含め生命のある全てのものに等しく訪れるのが死であり、自分自身もいつかは死を迎えます。「死ぬために生きる」というのは、自分の死が訪れた時に少なくとも精神的な充実・満足をもって息を引き取りたいという考え方です。

そのために、「今」を大切にしたい、と思っています。この考え方は人生観に近いものがありますが、これまでの「今」の積み重ねが今の自分で、「今」が積み重ねの先に未来がある。だからいかに「今」を一所懸命に生きるか。全ての「今」の合計が人生であり、「死」でもある。だから死ぬために生きる、と捉えています。

■ビジョン(What):何をしたいか/成し遂げたいか

生きる上で何をしたいのか。少し抽象的な考え方で、自分がいる今の世界vsもし自分がいない別の世界を比較した時に、どれだけ自分が存在するこの世界で、ちょっとでも自分が役に立つか、存在意義を出せるか、だと思っています。数式で表現すると、
自分がいる今の世界-もし自分がいない別の世界>0
引き算をした時に0より大きいというプラスになっていることが大事で、自分がいることで何かしらのプラスにもっていきたい。

プラス幅が大きければよいのですが、とはいえ歴史に残る偉業を成し遂げたいとかっていうレベルではなく小さなことの蓄積で良いとも思っています。例えば親孝行だったりの家族を大切にすること、友人/知人と楽しく過ごす、仕事でがんばって成果を出す、とか。

■価値(How):どのように生きるか

自分の中で大切にしている価値観は次の3つです。

「大切な人」を大切にする:大切な人って、自分にとっては存在が当たり前になってきたりします。親とかが典型で、いて当然な存在であるが故に、時として大切に扱わなかったりする。だから、「大切な人」をその通りに大切にしたい。親孝行だったり家族との時間を大切にするイメージです。

かっこよく生きる:男として人としてもかっこよく生きたいし、人からそう言われるというよりも自分自身で納得のいく生き方をしたいです。基準として持っているのが、自分が小学生くらいの子どもだった時に今の自分を見てどう感じるか、というもの。小学生の自分が「かっこいい」と思ってくれるような行動や選択を現在の自分がしたいと思っています。

常に成長し続ける:極端な話、死ぬまで何かしらの成長をしたいという思いです。なんていうか、生きている間はレベルアップをしていって、レベル99で死を迎えるのが理想だったりします。

★  ★  ★

2013年の1年を見通すうえで、自分の①ミッション、②ビジョン、③価値、という3つがあり、その先に今年の抱負や目標・やりたいこと、あるいはやらないことを決める、があると思っています。

昨年2012年は充実したいい年でした。今年もおもしろい1年になりそうです。




※参考情報
マーケティング3.0ってなんだろう?|In the looop


コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
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投稿日 2012/12/01

日本のマーケティングリサーチを変える「黒船」を考える

今週、JMRX勉強会の「次世代マーケティングリサーチ討論会」に参加してきました。

討論会の見どころは、マーケティングリサーチ(MR)の世界を30年ものあいだ牽引してきたRay Poynter(レイ・ポインター)氏と、トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長で書籍「次世代マーケティングリサーチ」の著者でもある萩原雅之氏との対談でした。

この討論会のサブタイトルは「黒船到来、日本のマーケティングリサーチはどう変わる?」。討論会の中で萩原氏が日本のMRの歴史を紹介し、リサーチ業界では10年おきにイノベーションが起きており、今また新たなイノベーションが起こりつつあると言われたように、MRがどう変わっていくかは関心の高いテーマです。



■日本のマーケティングリサーチを変える「黒船」とは何か?

だから討論会に出席してあらためて考えさせられたのは、日本のMRに変革を迫る「黒船」とは何か、ということ。

黒船という言葉は、当時のアメリカが260年鎖国が続いた日本に開国を迫り将軍と武士を中心とした江戸の社会を根本的に変えた「外部要因」を指すと理解しています。

MRの世界でも大きな変化が起こりつつある/起こっていると感じますが、何が変化を引き起こしているのかという論点です。討論会も踏まえ考えてみた日本のMRを変える要因は以下の通り。
  • 海外の新しいMR手法:MROCsなどの新しいリサーチ手法が日本に入ってきて日本のMR業界を変える。今回の討論会を聞いて感じたのは日本のMROCsは海外に比べ普及していない/事例が少ない印象でしたが、果たして今後は変えるのか
  • クライアントの変化:マーケティングリサーチとは一言で言えばクライアントのマーケティングの課題解決のため。よって、クライアントのマーケが変わればMRも変わる。マーケの考え方やリサーチ予算の縮小、あるいはROIをこれまで以上に求められれば、MRも変わっていかざるを得ない
  • テクノロジーの進化:脳波や脳内の血液変化を使ったニューロサイエンスや表情認識などの調査対象者本人ですら自覚できないようなことも技術進歩でわかるようになる。Webアクセスログなどのこれまでは収集できなかったビッグデータ、ハドゥープやクラウドの普及。こうしたテクノロジーの進化でMRに活用できるデータ領域が増える。また、技術進歩によりコストが下がりビジネスで使用できるようになったことも大きい
  • メディア/ネット環境の多様化:スマホやタブレットの普及、SNSやブログ・口コミサイトなど多様な環境をMRに活用することで、新しいリサーチ手法が登場する。これまでのネット調査はPCが前提だったが、モバイルを使うことでよりリアルなデータ、クイックな調査ができるようになる。ソーシャルメディアを活用したリサーチは今後のトレンドの1つに
  • 消費者の変化:メディア/ネット環境の多様化により消費者の情報発信、消費者同士のコミュニケーションが変化してきている。MRでは消費者中心/消費者理解の考え方が主要なものになってきており、消費者の変化がMRの変える
  • 政府・国:先日、日経が報じた「民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し」。これまでは個人情報保護の対応がMRに制約を与えてきたが(住民台帳がつかえなくなったりなど)、異なるデータをユーザーIDで紐づけてシングルソース化し、統合データをプレイヤー間でやりとりができるようになると、リサーチデータの価値も変わる
  • 異業種の参入:クックパッド、TポイントのCCC、豊富なソーシャルグラフや属性データを持つSNS。これらがリサーチ業界に参集することは既存のMR会社にとっては脅威。またGoogle Consumer Surveyなどの異業種からのDIY型リサーチも価格破壊を起こす可能性も

■異業種参入の意味

この中からか黒船を1つ選ぶとすると、異業種の参入が最も大きな変化を引き起こす要因になると思っています。

例えばクックパッド。クックパッドには膨大なレシピ情報があり、そこには消費者がどんな食材を使い、どんな調理方法をしているのか、季節ごとの具材や食卓へのニーズ、使っている食器具など、あらゆる料理関連のデータが蓄積されています。

これらのデータを活用することで、マーケティングに利用できるだけではなく、プロモーションにも活かせる。実際に食品会社ではリサーチ会社ではなくクックパッドのデータを使うようになったと聞くこともあります。

それは従来のリサーチ会社にはないデータ、できないデータ活用、わかることの広さ・深さがクライアントのマーケティング課題ニーズをとらえたのだと思います。異業種の参入の影響は今はまだ表面化していないかもしれませんが、水面下では大きな変化を起こしていると感じます。

クライアントからすると、やりたいことは自分たちのマーケティング課題の解決であって、そのための手段は何でもよい。これまではリサーチならリサーチ会社、広告/プロモーションなら広告会社(広告代理店)と、わりとわかりやすい選択肢だったのが、異業種の参入でクライアントにとってはリサーチ=リサーチ会社に依頼、という構図は過去のものになっていくはず。より高い価値を提供するところに頼むのは当然です。MR会社もそれに対抗し生き残っていくためには変わらざるを得ないのではないでしょうか。

異業種のリサーチ業界参入で思うのは、本業は別にあって、リサーチはあくまで本業からの副産物を使った事業であるということ。

クックパッドならレシピサイトの会員課金/広告のビジネスモデルが収益の基盤になっている上に、レシピ情報から蓄積されるユーザーの料理に関するあらゆるデータを副次的に使うことでマーケティングリサーチ/プロモーションという新たなビジネスにもしているところが、既存のリサーチ会社にとっては脅威だと感じます。

リサーチ会社が本業でやっていても得られないデータが、異業種はメインビジネスの結果として自然と集まってきているデータ。アマゾンや楽天の購買情報、CCCのTポイントで統合されたユーザーデータ、SNSのソーシャルグラフや詳細な属性情報、口コミサイトの商品利用データ、等々。結果、従来MR会社にはない提供価値/サービスがあり、差別化要因になっています。

■マーケティングリサーチ会社の価値

MR会社の価値、存在意義は何か。これまではクライアントに変わって/一緒になってリサーチを活用したクライアントのマーケティング課題解決を図るものでした。課題解決がクライアント自身でできるならばリサーチ会社は不要になるはずで、MR会社に仕事が来るということはそこにMR会社の存在意義があった。しかし、MR会社ではないプレイヤーが同じような、あるいはMR提供価値を超えるような価値を与えてくれるとなると、MRの存在意義は薄れていってしまいます。

もう1つの流れとして、リサーチ業界に頼まなくてもDIYリサーチを使えばクライアントは自分たちでリサーチができてしまうこともあります。自分たちでやってしまうほうが早いし安いとなると、これもMR会社の価値はなくなっていく。

MR会社にしかできない価値は何か。MR手法の開発、データ収集、調査企画提案、調査コントロール、データハンドリング/分析、リサーチからのインサイト抽出、報告書の作成、クライアントとのコミュニケーション(時にはクライアント内の異なる部署の橋渡しになるなど)、外部者だからこその提言、ひいてはクライアントの課題解決。これらの価値を提供できる限りは、リサーチ会社の存在意義は引き続きあるだろうし、できなくなれば淘汰されていくのではないでしょうか。

歴史を振り返ると、江戸幕府に開国を迫ったのは黒船であった諸外国でしたが、実際に社会を変える行動を起こしたのは、坂本竜馬・西郷隆盛・大久保利通などの「日本人」でした。黒船という外部圧力がきっかけとなったものの、変化を起こしたのは内部から。

これは黒船到来としている日本のマーケティングリサーチにおいても同じことだと思います。異業種参入などの外部要因はあくまでトリガーであり、そこから実際にマーケティングリサーチを変えていくのはリサーチ会社であるし、そうあるべき。逆にそれができるところがこの先もクライアントに価値が提供できるんだと思います。


※参考情報

次世代マーケティングリサーチ討論会 ~黒船到来、日本のマーケティングリサーチはどう変わる?~
「これまでのマーケティングリサーチは使えなくなる」 レイ・ポインター氏が示すリサーチの将来像とは?|MarkeZine(マーケジン)
No Surveys in Twenty Years?|The Future Place Blog
No Surveys in 18 years!|Vision Critical
従来型サーベイは消えるのか -『No Surveys in 18 years!』より-|マーケターのメモ帳
民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し|日本経済新聞


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。