投稿日 2022/06/06

売上好調のアサヒ生ビール 「マルエフ」 に学ぶ、差別化の方法とポイント


今回のテーマは、差別化です。

✓ この記事でわかること
  • アサヒ生ビール 「マルエフ」 の販売が好調
  • ヒットの理由
  • アサヒスーパードライとの差別化
  • 差別化のつくり方と実現ポイント

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

アサヒ生ビール 「マルエフ」 


今回取り上げるのは、マルエフの愛称で呼ばれるアサヒ生ビールです。


販売が好調


以下は、日経新聞の記事からの引用です。

 「アサヒ生ビール」 の販売が好調だ。アサヒビールが 「マルエフ」 の愛称で親しまれたビールを復刻。ぬくもりや温かみをコンセプトにする新しいビールの価値観が支持を集めている。

2021年は229万ケースを販売し、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」 に次ぐヒット商品になった。22年も前年比3倍弱の630万ケースの販売を見込む。

ビール事業の課題


アサヒビールと言えばスーパードライが有名です。かつてはスーパードライ以外に主力となるビール銘柄がなかったことが、アサヒの問題意識でした。

アサヒにはスーパードライ以外の商品が乏しいことが課題だった。

そこで 「スーパードライとは対極の価値を提供したい」 (新商品開発部の渡邊航太郎ブランドマネジャー) として生まれたのがマルエフだった。

ヒット理由


マルエフが開発された背景である 「スーパードライとは対極にある存在にすること」 が、今でもマルエフはブレていません。

ここにマルエフのヒットの理由があり、また今回の学びとして掘り下げていきたい差別化のポイントでもあります。

人間味やぬくもり


具体的にマルエフは社内の主力商品であるスーパードライに対して、どのように差別化をしたかと言うと、先ほどの記事から見てみましょう。

コロナ禍が長引き、人と人とのつながりが希薄になる中で、渡邊さんは 「人間味やぬくもりをアピールできる商品が求められている」 と感じていた。

ただ、こうした価値観を新商品で打ち出すのは難しい。そこで 「長く愛されてきたマルエフにはストーリーがあり、今の時代にはまると思った」 (渡邊さん) という。

復刻にあたって味は変えず、パッケージを刷新した。親しみやすさと本格感を出すため、白を基調としたパッケージとし、シンボルのフェニックスをあしらった。86年の発売当初は 「コクキレビール」 として打ち出したが、今回は 「まろやかなうまみのあるビール」 とし、味の表現も柔らかいイメージに変えた。

ビールに 「人間味やぬくもり」 を感じてもらえる価値設定にしたのが、マルエフなのです。

愛称に見る 「らしさ」 


マルエフという愛称にも、ぬくもりを感じられる世界観があります。

マルエフの愛称は、アサヒの業績低迷期に、不死鳥のように復活してほしいとの願いを込めて、フェニックスの頭文字としてアルファベットの 「F」 を丸で囲んだ開発記号に由来する。

本来ならフェニックスの頭文字は 「P」 だが、開発担当者の勘違いがそのまま愛称になった。渡邊さんは 「そんな間の抜けた感じもマルエフらしい」 と話す。

フェニックスは英語で Phoenix なので本来は P を使うべきですが、勘違いで F を使った開発名称がそのまま今もマルエフとして残っています。

こうした 「ほんわかする開発話」 は、ビールのキレとコクを訴求するスーパードライでは合いませんが、マルエフの 「人間味とぬくもり」 であれば違和感はありません。


学べること


では最後に、マルエフから学べることを整理してみましょう。

マルエフには差別化への学びがあります。

差別化とは、他と違うことをやることで生まれます。大事なのは、差別化軸を明確にし、中心に軸を通すように一貫性を持たせることです。全体として 「らしさ」 が生まれるので、お客さんから違いを認識してもらえます。もし一貫性がなければ、お客さんは混乱してしまうでしょう。

もう1つ重要なのは、差別化からの違いが、お客さんへの価値になっていることです。違いをつくっても、そこに価値がなければ作り手の1人よがりの差別化にすぎません。

マルエフの場合は、パッケージ、愛称、プロモーションにおいて、「人間味のあるぬくもり」 を感じられるように統一させました。お客さんはマルエフを見たり手にする、味わう時にぬくもりから心が穏やかになれる価値を得ているのです。

* * *

なお、マルエフについては別の記事でも取り上げています。よかったらこちらもぜひ読んでみてください。



まとめ


今回はアサヒ生ビールの 「マルエフ」 を取り上げ、差別化について見てきました。

最後にまとめです。

差別化のつくり方とポイント
  • 差別化は、他と違うことをやることで生まれる
  • 差別化軸を明確にし、中心に軸を通すように一貫性を持たせる。全体として 「らしさ」 が生まれ、お客さんから違いを認識してもらえる
  • 大事なのは、差別化からの違いがお客さんへの価値になっていること


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。