出典: Foooood
今回のテーマは、｢差別化の罠｣ です。
おもしろいと思ったヨーグルトを取り上げ、戦略やマーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 売上が好調な ｢ベルギーヨーグルト ピュアナチュール｣
- 開発の背景と狙い
- 市場全体での ｢差別化の罠｣ に見出したビジネスチャンス
- 差別化の罠にハマらない方法
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ベルギーヨーグルト ピュアナチュール
ご紹介したいのは ｢ベルギーヨーグルト ピュアナチュール｣ です。
出典: PR TIMES
好調な売上
以下は、日経新聞の記事からの引用です。
カネカが2021年9月にリニューアル発売した ｢ベルギーヨーグルト ピュアナチュール｣ が好調だ。電子商取引 (EC) 経由を中心に、リニューアル前に比べて出荷ベースで2倍以上の売れ行きとなっている。
商品の特徴
ベルギーヨーグルト ピュアナチュールの特徴について、同じ記事から見ていきましょう。
ヨーグルトは長時間の2段階発酵と撹拌 (かくはん) を極力行わない、ベルギーの伝統製法でなめらかで濃厚な食感を実現した。
ヨーグルトのみのプレーンタイプに加え、｢コンフィチュール｣ と呼ばれるフルーツソースを合わせた商品もブルーベリー味とアプリコット味の2種類で用意した。コンフィチュールはベルギーで一般的なヨーグルトの食べ方だ。
開発の狙い
ベルギーヨーグルト ピュアナチュールの開発のきっかけは、開発担当者がヨーグルトの本場であるベルギーに現地視察に行ったことです。
開発を担当した乳製品事業開発販促企画チームの天川隼人さんは商品開発のヒントを得るため、18年に現地に足を運んだ。
実際に試食してみたところ、味わったことのない食感とおいしさに驚いたという。天川さんは ｢日本では機能性を重視する商品が多い中、ヨーグルト本来のおいしさをもっと追求できるのではないかと気づいた｣ と話す。
ヨーグルト市場で起こっていた本質
ここからの後半で注目したいのは、今の引用の最後にあった ｢日本では機能性を重視する商品が多い中、ヨーグルト本来のおいしさをもっと追求できるのではないかと気づいた｣ という開発担当者の言葉です。
これに対する私の解釈は、ヨーグルト市場全体で ｢差別化の罠｣ に陥っていたと見ました。
各社が機能性ヨーグルトを追求したことで、本来のおいしさのあるヨーグルトという ｢市場のど真ん中｣ が空白地帯になっていたわけです。
差別化の罠にハマらない方法
では、今回の話から学べることを整理してみましょう。
差別化の罠とは
前提として差別化それ自体は悪いことではありません。ビジネスでは一般的に差別化はよく行われます。
しかし差別化に注力するあまり、全体の中で細かいところに目が行き過ぎると狭い範囲での対応となります。これでは本末転倒なんですよね。
今回のヨーグルトの話はこの状況に陥っていたわけです。各社がヨーグルトの機能性で差別化を続けた結果、気づけば市場に本来のおいしさを持つヨーグルトがなくなっていたのです。
学べること
差別化は目的のための手段です。差別化という手段が目的化しないようには注意が必要です。
差別化の罠にハマらないためには、｢虫の目｣ と ｢鳥の目｣ の両方を持つことです。
差別化には目の前のことを解像度高く見る ｢虫の目｣ で見つつ、同時に上空からフィールド全体を俯瞰する ｢鳥の目｣ で見ると良いです。これが今回の学びとして残しておきたいメッセージです。
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