投稿日 2022/06/04

創業者の悩み 「後継者問題」 。解決方法は三段階の知識化


今回は、コンサルティングの仕事で時々聞く経営者の悩みです。

✓ この記事でわかること
  • コンサルティングでよく聞く経営者の悩みとは?
  • 広く捉えると後継者問題
  • 解決方法は 「三段階の知識化」 
  • 具体例でご紹介
  • 0 → 1, 1 → 10, 10 → 100 への着想

この記事を読んでいただきたいと思うのは、ずばり経営者の方です。特に社員が30人から50人くらい、多くて100人の会社規模の創業社長をイメージしています。

他に読んでいただきたいのは、「経営者はどんな悩みを抱えているんだろう」 と興味を持った方にも参考になればと思います。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

経営者の悩み


コンサルティングの仕事をしていて経営者 (創業社長) から聞く悩みに、「自分のノウハウ、やっていることを他のメンバーもできるようになってほしい」 というものがあります。

例えば自分は自然とやっているお客さんとの向き合い、営業方法があり、それを自分だけでなく社員も同じようにできてほしいという課題感です。

背景にある思いは、自分がいなくなっても回るような組織や会社にしたいという気持ちです。広く捉えれば要するに 「後継者問題」 です。


解決方法は三段階の知識化


この話を聞いて相手には、「解決方法として三段階の知識化をやってみてはどうですか」 と話しています。

✓ 三段階の知識化
  1. 暗黙知に気づく
  2. 形式知に変える
  3. 組織知にする

順番にご説明しますね。

[解決策 1] 暗黙知に気づく


経営者が普段からやっていること、頭の中にあることや考えていることは、たいていの場合は本人も意識せずに自然とやっています。正確に表現すると 「やれてしまっている」 わけです。

しかし周りのメンバーからするとなぜそう思うのか、こっちに決めたのか、どうやったら成果が出せるかがわからず、真似をしようとしてもブラックボックスなので何から始めていいか途方にくれてしまいます。

例えば営業の方法です。経営者がやっていることは、お客の懐にすっと入り、お客の悩みを聞き出していき、顧客課題を理解しての的確なソリューション提案です。経営者本人は誰でもできる普通のことだと認識していますが、まわりは社長と同じくらいのレベルでできないわけです。

この状態のままでは弊害があります。経営者である社長だけしかできないので、社長の能力や対応範囲が事業や会社のできる範囲とほぼイコールになります。いつまでたっても会社は拡大しません。

そこで私から提案をするのが、まず最初のステップとして経営者本人が自分の暗黙知に気づくこと、つまり自然とできていることは何があるか、まわりや後継者に伝えたいことは何かの棚卸しです。

[解決策 2] 形式知に変える


2つ目のステップが暗黙知を形式知に変えることです。別の表現をすれば、経営者が自分の考えている・やっていることを人に説明できるようにします。具体的には、

✓ 形式知に変える着眼点
  • どこに着目したか
  • どういう思考プロセスだったか
  • 何を狙って, どういう意図だったか
  • 参考にした過去の成功体験
  • 大切にしている行動指針や価値観
  • 実際に取った行動
  • 結果で起こったこと (何がうまくいったか) 

直感的な判断も含めて1つ1つ細かく言語化していきます。この時に自分1人で内省からこの作業をしてもいいですが、他の人に話して説明しながらやってみると効果的です。

[解決策 3] 組織知にする


3つ目のステップが形式知を組織知にします。仕組み化にまで落とし、組織全体でできるように型化します。

例えば、先ほどの経営者の営業のやり方の例を続けると、経営者がやっていることを細かく手順にします。具体的には、

  • お客に会う前の準備すること
  • どんなお客さんにも共通して訊いているヒアリング項目
  • お客への提案を企画したりつくるためのソリューション作成項目

の以上の3つです。

これら3つの 「準備, ヒアリング, ソリューション」 の各項目それぞれをシートにして、シートを埋めれば経営者と同じようにできる仕組みにします。

シートのフォーマットができたら、まずは本人が実際の営業でやったことを記入してもらいます。経営者の記入内容を例にして、他のメンバーも同じ項目を埋めるように事前準備、ヒアリング、ソリューション提案を進めます。

これを繰り返し、経営者がメンバーにフィードバックをすることによって少しずつ組織知にしていきます。


ゼロイチへの着想


ここまで、三段階の知識化を見てきました。暗黙知に気づき、形式知に変え、組織知にする3つのステップです。

この3段階を別の捉え方をすれば、「0 → 1, 1 → 10, 10 → 100」 です。

✓ 0 → 1
  • 経営者の頭の中にある、本人が無意識に自然にやっていることを再現できるようにする
  • それをまずは他の誰か1人ができるようにする

✓ 1 → 10
  • 次に同じようにできる人を1人から10人にまで増やす
  • 形式知にしたことを広げていく段階

✓ 10 → 100
  • その10人がそれぞれ新たに10人に伝授していく
  • 10 × 10 で 100 になる


まとめ


今回は創業社長の悩みから、どう解決できるかを見ていきました。

最後にまとめです。

経営者の悩み
  • 自分のノウハウ、やっていることを他のメンバーもできるようになってほしい
  • 背景にある思いは自分がいなくても回る組織や会社にしたい気持ち
  • 広く捉えれば要するに 「後継者問題」 

解決方法は三段階の知識化
  • 暗黙知に気づく。自然とできていてまわりや後継者に伝えたいことの棚卸し
  • 形式知に変える。経営者が考えている・やっていることを人に説明できるようにする
  • 組織知にする。仕組み化し組織全体でできるように型化する

ゼロイチへの着想
  • 0 → 1: 経営者が自然にやっていることを、まずは他の誰か1人ができるようにする
  • 1 → 10: 同じようにできる人を1人から10人に増やす
  • 10 → 100: その10人が新たに10人に伝授する (10 × 10 で 100 になる) 


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。