投稿日 2022/06/24

環境変化に適応した事例3つ。自らの変化が、お客さんへの価値提供につながっている?


今回のテーマは、変化することの意味合いです。

おもしろいと思った事例を3つ取り上げ、マーケティングの観点も入れながら学べることを掘り下げています。

✓ この記事でわかること
  • 環境変化に適応した事例3つ
  • 3つの事例の共通点
  • 外部環境の変化に適応するだけではなく、お客さんの価値につなげよう

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

環境変化に適応した事例


最近、ニュース記事を読んで知った3つの事例をご紹介します。

  • 駅の 「一等地」 の有効活用
  • ホテル備品の除菌装置
  • 切り紙をヒントにした 3D グリーティングカード

順番に記事を引用しながら見ていき、その後に3つの共通点から学べることを考えてみます。

駅の 「一等地」 の有効活用


1つ目の事例は、JR 西日本の取り組みです。

駅で閉鎖した切符販売の窓口があった場所を有効に活用しているという話です。

みどりの窓口があったスペースに出店する 「クリスピークリームドーナツ」 (出典: Yahoo! ニュース

 「ドーナツ屋の立地がとがっている」 。JR 京都駅のホーム上にある券売機の隣にドーナツチェーン大手のクリスピー・クリーム・ドーナツが出店したことが1月ごろ、SNS (交流サイト) などで話題になった。

もともと有人の 「みどりの窓口」 が設置されていた場所を券売機に置き換えたことで生まれた10平方メートルほどの場所で、持ち帰りの販売カウンターが設置された。現在は和菓子店が出店する。これまでにすべて期間限定で計4店舗が出店した。

これは JR 西日本が2021年から始めた実験的な取り組みで、閉鎖した切符の販売窓口の空きスペースを小売店などに貸し出している。駅構内で通行人が多い場所にあり、「券売機を待っている利用者が買い求めるなどもあり、店舗からは好評」 (同社) という。

 (中略) 

オンラインでの切符購入の普及や自動券売機の機能向上などもあり、駅構内の空きスペースは今後も増える見通しだ。

JR 西日本は22年度末までに有人の 「みどりの窓口」 の設置駅をコロナウイルス禍前の半分にあたる約180駅に減らす方針を掲げている。近鉄も 「切符のオンライン販売が普及しているため有人店舗を減らしていく」 と説明している。

ホテル備品の除菌装置


続いての事例はホテルの話で、カードキーや従業員が使うタブレット端末を除菌できる装置です。

出典: PR TIMES

ATM の製造・販売を手がける日立チャネルソリューションズは、極めて波長が短い 「深紫外線」 の光を使ったボックス型の除菌装置をホテルや飲食店向けに発売した。

カードキーやタブレット端末などの備品を装置に入れると、数分で付着した菌やウイルスを除去できる。従業員がアルコールなどで消毒する作業が軽減できるという。

 (中略) 

ホテルや飲食店などでは新型コロナウイルス感染対策のために、顧客の使用後の備品などを従業員がアルコールなどで消毒している。作業負担が大きかったため、手早く自動で除菌する装置の需要は高いとみる。

切り紙をヒントにした 3D グリーティングカード


3つ目の事例は、アメリカの企業が提供するグリーティングカードです。名前は 「ラブポップ」 です。

立体的な 3D カードで、とても精巧にできているカードです。

出典: Amazon

出典: Lovepop

今、小売業界で注目を集めている企業がラブポップだ。

14年創業の同社はハーバードビジネススクール出身のウォンビ・ローズ氏とジョンズ・ワイズ氏が研修旅行でベトナムを訪れた際に日本の切り紙を見て感動し、もともとの専門である船舶設計技術を使ってカードを開くと驚くほど精密な立体モチーフが飛び出る 3D グリーティングカードを開発した。

価格は13 ~ 26ドルと一般的なカードの4 ~ 5ドルより高めだが、ユニークなデザインと何度開閉しても形状が崩れない品質の高さで人気を集め、急成長を続けている。

現在、直営店以外にウォルマート、コールズなど大手チェーンストアや文具店、書店に卸売りし、全米1000以上の拠点で購入できる。昨年秋からドイツ、オーストリア、スイスでも店舗や E コマースで販売を始め、今年は直営店の出店を加速する。

対面で人と会えない時期が数カ月も続いた米国では、デジタルではなく実際に触って確かめられるモノへの回帰が始まっているようだ。衰退産業と思われている市場にも意外な商機は常に存在することを教えてくれる事例だ。

3つの共通点


ここまで、3つの事例をご紹介してきました。

一見すると中身はバラバラですが、共通点があります。一言で言えば、共通するのは 「外部の変化に適応し、お客さんへの価値につなげていること」 です。

一般的に、外部環境は常に変わっています。外部環境とは、ビジネスなら自社を取り巻く状況のことで、市場にいるお客さん (見込み客も含む) 、サプライヤーやベンダーなどの取引先企業、そして競合他社です。

これらが絶えず変化し、外部環境の変化に自分たちが取り残されないためには、自らも変化し、変わり続ける環境に適応することが重要です。

もう1つ大事なのが、「自分たちの変化が、お客さんへの価値につながっていること」 です。


変化と価値提供


ご紹介した3つの事例について、提供された価値を整理すると次のようになります。

✓ 変化からの提供価値
  • 駅構内の利便性の高い場所で欲しいものが買える
  • コロナ対応で新しく増えた作業負担が減る, 清潔なホテルに泊まれる
  • 特別感のある紙のカードで、大切な人に気持ちを伝えられる

最後に今回の学びとして残しておきたいのは、ご紹介した事例はいずれも、単に人手不足の解消や、新型コロナウイルス拡大の影響に対応しただけで終わっていないことです。自ら変化した先に、お客さんへの価値があるかが大事です。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。