今回は、DX についてです。ビジネスモデルの本質に立ち返って DX を掘り下げます。
ビジネスモデルの要素から、どうやって DX を進めればいいかを解説します。
✓ この記事でわかること
- そもそも DX とは何か?
- ビジネスモデルの分解
- 分解から DX 対象領域の全体像を解説
- DX の注意点 (手段の目的化)
この記事を読んでいただきたいと思うのは、仕事で DX 化に取り組んでいる方です。具体的にイメージをしているのは、DX を進めなければいけないものの、「何をすればいいんだろう…」 と困っている方には参考になると思います。
他には DX という言葉は良く見聞きするけれど、具体的には DX は何をすることなのかを知りたい人、DX に興味がある方にも参考になればうれしいです。ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
DX とは何か
そもそもデジタルトランスフォーメーション (DX) とは何でしょうか?
これは私の一言の表現で、DX とはビジネスモデルのコア領域をデジタル化し、事業や経営を進化させることです。逆に言えば単に IT 技術を導入しただけでは DX ではありません。
DX を進めるということは、自分たちの事業や会社全体のビジネスモデルを変えるほどの大きな影響力を持っています。
ビジネスモデルの分解と DX
では DX は具体的にどこを対象とするのでしょうか?
DX とは 「ビジネスモデルのコア領域をデジタル化し、ビジネスを進化させること」 でした。そこで DX 対象領域の全体像を整理するために、ビジネスモデルの本質に立ち返ってみましょう。
ビジネスモデルはシンプルに言うと、次の4つの要素から成り立っています。
✓ ビジネスモデルの分解
- 誰に Who
- 何を What
- どうやって How
- いくらで How much
つまり、ビジネスモデルとは、どの人または企業に (ターゲット顧客) 、何の価値を、どうやって、いくらで提供して収益化を実現するかの仕組みです。
では、ビジネスモデルの四要素から DX の対象領域を見ていきましょう。
誰に
1つ目の DX 化の領域は顧客です。
まずは顧客情報のデータ化からです。顧客データ管理を全くしていないわけではないとしても、社内には顧客に関するデータが色々な所にバラバラのフォーマットで管理されていないでしょうか。
社内で一元的に、部署横断でアクセスし使えるように顧客データを整理します。
なお個人情報保護の観点から、顧客データの利用目的と範囲を明確にすることも大事です。
何を
顧客に提供するモノやコトのうち、どこの何をデジタル化するかが DX 化の2つ目のポイントです。別の表現をすればユーザー体験のデジタル化です。
例えばわかりやすい例は予約をスマホからできるようにすることです。
具体例では、ディズニーランドではスマートパスの発行も含めて、全てスマホアプリで完結できるようになっています。テーマパークでの顧客接点をデジタル化し、ユーザー体験をより良くしました。DX 化によって来場者への提供価値を向上させています。
どうやって
3つ目のポイントは、社内プロセスや業務オペレーションのデジタル化です。
先ほど見た2つ目のポイントは顧客が直接関わる領域でしたが、3つ目の 「どうやって」 は裏側の顧客から見えない社内オペレーションのデジタル化です。別の表現をすれば、お客への提供価値を実現するプロセスのデジタル化です。
具体的には次のようなことです。
✓ 社内オペレーションのデジタル化の例
- 社内のデータやファイル・資料をデジタル化し、クラウドサーバー上に保存する
- セキュリティを確保して、社外からもアクセスできるようにリモートワークにも対応する
- 取引先企業とのやり取りも電話や FAX ではなく電子的なやりとりに変える
- 顧客データを社内の関係者が使えるようにデータダッシュボード化する (ダッシュボードにアクセスすれば顧客情報がグラフや表になっている)
社内プロセスのデジタル化によって、業務コストを下げることを狙います。
いくらで
4つ目の DX 化ポイントが収益モデルのデジタル化です。
例えば支払い方法は現金やクレジットカードだけではなくて、QR コード決済にも対応させます。
他には顧客情報を活用し顧客ごとにブライスを変える仕組みを導入する例もあります。具体的には新規の顧客や一度離れてしまったお客には期間限定のクーポンを発行することにより、意図的に価格を下げます。
需要と供給の状況に応じて価格を変え、これまでは人の手でマニュアルでやっていたことをデータを使ってデジタル対応し自動化します。
以上のような支払いや決済で、価格決めや収益モデルの部分を DX 化します。
DX は手段
最後に DX で注意しておきたいことです。
DX はビジネスモデルの中身を変えて進化させます。
どこを DX 化するかは、現状のビジネスモデルへの課題感によります。大事なのは 「DX とは手段であること」 です。あくまでビジネスモデルをより良くし事業や経営にポジティブな変化をもたらし成長に貢献することです。
DX 自体を目的にする 「手段の目的化」 にはなってはいけません。
まとめ
今回は DX のポイントを、ビジネスモデルにつなげて DX 対象領域を解説しました。
最後にまとめです。
DX の本質
- DX とはビジネスモデルのコア領域をデジタル化し、事業や経営を進化させること
- 単に IT 技術を導入しただけでは DX ではない
- DX は事業や会社全体のビジネスモデルを変えるほどの大きな影響力を持っている
DX 領域の全体像 (ビジネスモデルの四要素)
- 誰に: 顧客情報のデータ化と活用の仕組み化
- 何を: 顧客接点のデジタル化からユーザー体験の向上
- どうやって: 社内プロセスや業務オペレーションのデジタル化
- いくらで: 収益モデルのデジタル化 (例: 課金方法をデジタル化する)
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