投稿日 2022/08/21

大阪のセブンパークが1日体験パスを導入。「お店のテーマパーク化」 に学ぶブランディング


今回のテーマはマーケティングのブランドです。「お店のテーマパーク化」 に学ぶブランディングという話です。

おもしろいと思ったセブンパークの取り組み事例をご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきしょう。

✓ この記事でわかること
  • 大阪のセブンパークが1日体験パスポートを導入
  • 体験パスの価値は 「お店のテーマパーク化」 
  • ブランドの本質、ブランドのつくり方

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

セブンパークの1日体験パスポート


この話は日経新聞の記事で知りました。

セブン & アイ・ホールディングス (HD) の大型商業施設 「セブンパーク天美 」 (大阪府松原市) が、ショッピングセンターでは異例の1日体験パスポートを導入した。

購入者のみが注文できるレストランのメニューや体験サービスを充実させ、館内周遊を促す考えだ。今後は夏休みや年末年始などで定期的に販売していく方針だ。

1日体験パスポートで何ができるかと言うと、記事からもう少し詳しく見てみましょう。

1枚1000円で購入でき 「2000円相当のサービスが楽しめる」 ことを売りにした。

コワーキングスペースを終日無料で使えるほか、館内の飲食店やアミューズメント施設での割引が受けられたりパス購入者限定メニューが注文できたりする。

 (中略) 

セブンパーク天美の秋本和宏支配人は 「大学生の学習用として認知されているコワーキングスペースを主婦が懇親の場として利用するなど好評だ 」 と話した。オープンスペースと個室・半個室のパーソナルスペースに分かれており、勉強や仕事で静かな空間を求める利用者との共存が可能だ。

パスポートはアナログのリストバンドタイプを採用しています。

窓口で受け取る1日体験パスポート (出典: 日経


学べること


ではセブンパークの1日体験パスポートの事例から学べることを掘り下げていきましょう。

お店のテーマパーク化


遊園地では1日限定のパスポートはよくあるシステムですが、ショッピングモールに1日体験パスを導入するのはおもしろいです。

消費者にとっての価値は金額の割引があるお得感もさることながら、ショッピングモールでの買い物をテーマパークのように楽しめることにあります。パスポートをスマホアプリに入れるのではなく、あえて物理的なリストバンドにしていることも非日常的なワクワク感を演出します。

セブンパークの1日体験パスポートの狙いは 「お店のテーマパーク化」 と見ました。

体験からのブランディング


1日体験パスから考えさせられたのはお客さんの体験価値をいかに高めるかです。

商品やサービスを買った後の利用する時だけではなく、買う前からユーザー体験は始まっています。体験を1つ1つの 「点」 としてではなく、つなげた 「線」 によってトータルで体験価値を設計することが大事です。

ユーザー体験は、マーケティングのブランド構築にも影響します。

そもそもブランドとは何かですが、ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス」 です。好ましい感情とは、好き、共感している、満足感、誇りに思う、憧れ、応援する気持ちです。これらの感情が深いほど商品やサービスは強いブランドになります。

好ましい感情移入は体験からです。1つ1つの体験に感情が伴い良い記憶として残っていくと、結果としてお客さんの頭の中で商品やサービスはブランドになるわけです。

エンタメからの着想


人の感情を呼び起こす要因にエンタメ的な楽しさは間違いなくあります。

セブンパークの事例から学びとして残しておきたいのは、自社商品やサービスの体験の中に少し遊び心のあるような 「エンタメの要素を入れられないか」 という視点です。

ショッピングモールでの1日体験パスはテーマパークのシステムと共通点がありました。世の中で流行っているエンタメには人々を惹き付ける何かがあります。エンタメ業界ではない人にもビジネスでのヒントが得られます。


まとめ


今回は大阪のセブンパークが導入した1日体験パスポートをご紹介し、マーケティングのブランドに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

ブランドの本質
  • ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス」 
  • 好き・共感・満足・誇り・憧れ・応援の感情が深いほど、商品やサービスは強いブランドになる
  • 好ましい感情移入は体験から。1つ1つの体験に感情が伴い、良い記憶が残った結果としてお客さんの頭の中で商品やサービスはブランドになる

エンタメ化による価値提供
  • 自社商品やサービスの体験の中に、少し遊び心のあるような 「エンタメの要素を入れられないか」 という視点を持ってみよう
  • 世の中で流行っているエンタメには人々を惹き付ける何かがある。エンタメ業界ではない人にもビジネスでのヒントが得られる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。