今回のテーマは、データの利活用です。
おもしろいと思ったメルカリの独自指数を取り上げ、学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- メルカリが開発した独自指数とは?
- 指数からわかること
- メルカリの狙い
- 三方良しの利活用
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
メルカリの独自指数
こちらの記事を読みました。
二次流通から消費トレンドが見える? メルカリが指数を開発|日経クロストレンド
メルカリが独自指数を開発したとのことです (詳細はこちらのリリース) 。
指数を提供開始
以下は日経クロストレンドの記事のリード文です。
メルカリは2022年5月16日、フリマアプリ 「メルカリ」 で取引される商品の価格や流通量の変動を指数で可視化した 「メルカリ物価・数量指数」 の提供を始めた。
二次流通市場からの視点として、メルカリにおける個人間の商取引の動向を分析することで、消費トレンドの把握や、マーケティング研究に役立てるのが狙いだ。
指数からわかること
公表されるメルカリの指数は大きく2つです。
✓ メルカリの独自指数
- 数量指数: 出品されている数
- 物価指数: 出品価格
指数は相対化され、2018年1月を 「1」 として、月次の変化を毎月公表するとのことです。
指数からわかるのは、例えば2022年4月と前年4月を比べて出品カテゴリー価格の上昇や下落の大きさです。上位カテゴリーをランキングにすると、次のようになりました。
2022年4月に物価指数が上昇 / 下落した商品カテゴリーのトップ5 (出典: PR TIMES)
物価上昇のトップだったハンドメイドの 「アクセサリー / 時計」 をさらに詳しく見てみましょう。
出典: PR TIMES
赤線の物価指数を見ると、2020年4月時点では、ハンドメイドカテゴリーの 「アクセサリー / 時計」 の物価指数は過去最低の 0.88 でした。
しかし、2020年4月の緊急事態が宣言された以降は増加し、2022年4月は過去最高の物価指数 2.11 まで上がっています。青線の数量指数はやや減少傾向なので、メルカリでの出品数が増えていないのも価格が上がっている要因です (需要に対して供給が追いついていない) 。
ここ1年で物価指数が上昇しているのは、最近は外に出る機会が増えたことで、アクセサリーや時計を新しく買いたいという需要の高まりから物価指数が伸びたと考えられます。
メルカリの狙い
独自の指数をメルカリが開発した狙いについては、先ほどの記事には次のように書かれていました。
消費動向の変動を可視化できることから、大学やシンクタンクによるマーケティング研究への活用や、消費動向を報道するメディアからの利用などをまずは視野に入れる。
それと同時に、「二次流通から得られるデータを活用するのにオープンでありたい。メルカリ側が目的を絞るよりもそれぞれの立場に応じて (データの) 生かし方を考えてもらうのが何よりも大事」 と吉川氏 (引用者注: メルカリ執行役員の吉川徳明氏) は強調する。
引用の最後に 「それぞれの立場でデータを活かしてほしい」 とあるように、メルカリは様々な使われ方を期待しています。
メルカリで買おうと思っている人には、物価指数が下がっていれば買い時であることがわかります。売りたい人には指数から人気のあるジャンルがわかるので、出品をするきっかけにつながるでしょう。
また、メルカリユーザーだけにとどまらず、大学やシンクタンク、メディア企業などにもメルカリの独自指数を利用してほしいとメルカリは考えています。
三方良しの利活用
ビジネスではデータは、活用されてこそ価値を生みます。社内にデータを貯めているだけでは役に立っていないばかりか、保存コストもかかるのでマイナスとも言えます。
データの活用、もっと言えば社内の資産の有効活用において大事なのは、「その活用は誰に価値をもたらしているか」 です。
自社内で役立たせることは重要ですが、自社だけで終わってはいけません。社外に目を向けてお客さんへの価値につなげることが大切です。
メルカリから学べるのは、直接のお客さん (メルカリユーザー) のさらにその先にある 「社会をより良くすることに活用する重要性」 です。自社、ユーザー、世の中の三方良しになっているかです。
自分 (たち) がやっていることは、世の中を少しでも良くしようとしているという視点は、少し大げさな表現ですが、神様のような立場になって大局的に捉えられるので、意識して持っておきたいことです。
まとめ
今回はメルカリの独自指数から、ビジネスで大切にしたいことを掘り下げました。
最後にまとめです。
✓ 三方良しの利活用
- ビジネスではデータは活用されてこそ価値を生む。大事なのは、その活用は誰に価値をもたらしているか
- 神様のような立場になって大局的に捉え、自社だけで終わらず、直接のお客さん、さらに社会をより良くする 「三方良し」 を目指そう
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