今回のテーマは 「マーケティングでの消費者心理」 です。
おもしろいと思ったサービスと Google が提唱する消費者心理を取り上げ、顧客満足度を高めてリピート購入につなげる方法を見ていきます。
✓ この記事でわかること
- ネットのレンタル服をイオン店舗で試着できるサービス
- 買い物で失敗失敗したくない心理
- Google が提唱する消費者心理 「肯定度」 とは
- 満足度やリピート購入への影響
- マーケティングに学べること
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ネットレンタル服のイオン店舗での試着サービス
最初にご紹介したいのはイオンリテールのサービスです。
借りる前に店舗で試着
以下は日経新聞の記事からの引用です。
イオンリテールはインターネット経由でドレスなどの衣装を借りる前に試着できる店舗として、9月までに3店を新規で開業する。
ドレスなど20 ~ 30代の女性向け衣装だけでなく、就職活動の学生を意識したリクルートスーツや冠婚葬祭向けの男性フォーマルスーツまで試着できる。商業施設内の専門店として出店し、利便性を上げる。
もう少し詳しく見てみると、
100平方メートルの床面積に、約200種類のドレスやスーツなどを取りそろえる。成人の女性や男性だけでなく、発表会や入園式などで子供が着るドレスなども用意している。
特徴は幅180センチの試着室で、親子でも入れることだ。また試着室の隣に2脚の椅子と観葉植物を設置したフォトスポットもつくった。試着した状態で写真を撮って SNS に投稿することも可能だ。
レンタル服への不安
イオンリテールの狙いはレンタル服への不安を解消することにあります。
同様のネット経由で衣装をレンタルできるサービスは、競合が多い。ネットで選ぶ故にサイズや色合い、デザインが実際に着てみてイメージと違う場合もある。返品して再び選び直すといった作業も必要となるなど、急な冠婚葬祭の予定に合わせるのは難しかった。
リアル店舗で事前に試着できれば、自分の好みに沿ったモノを選べる。リアル店舗のため、商業施設に買い物ついでに立ち寄って借りることも可能だ。仮にネットで調べた服が店舗になくても、同じブランドとサイズで別の衣装を試着して雰囲気を確かめられる。
買い物で失敗したくない気持ち
たとえレンタルでも、人は誰しもお金を払う以上は選んだものに失敗したくないという心理があります。
冠婚葬祭などの急なケースでレンタルするような失敗した時の影響が大きい場合はなおさらです。
ネットではたくさんの候補から選べる利点がある一方で、本当に自分に合った商品なのかを見極めるのは簡単ではありません。買ったりレンタルをしたものが思ったイメージと違うと残念な気持ちになりますよね。
こうした 「買い物に失敗したくない」 というニーズに対応するのが、イオンリテールが始めたネットでのレンタル服の店舗での試着サービスなわけです。
* * *
買う物への 「肯定度」
ここで話の着想を広げるため 「肯定度」 という概念をご紹介します。
肯定度とは
肯定度は Google が提唱している消費者心理です。Google のオウンドメディア Think with Google で詳しく書かれています。
カギは初回購入よりも前にあった、「肯定度」 が決め手: 継続購入の深層心理|Think with Google
肯定度とは買いたい物への自分の選択への自信の強度のことです。平たく言えば 「 (買おうと思う物について) これを買って間違いない」 と思える度合いが肯定度です。肯定度は今回の話とつながる消費者心理です。
肯定度の高まり方
商品・サービスを調べたり店頭で実物を見たり、店員さんに話を聞くことで肯定度は上がっていきます。「やっぱりこれで間違いない」 と思える度合いが強くなります。
満足度やリピート購入への影響
Google の調査からわかったのは、商品やサービスへの肯定度が高いほど購入後のお客さんの満足度は上がり、リピート購入にもつながりやすいことです。
これが意味するのは買う前の段階で見込み客への適切な情報提供、良いユーザー体験を意図的につくることでロイヤルティの高いお客さんになってもらえることです。
学べること
では最後に、イオンリテールの試着サービスと Google の肯定度から学べることを整理してみましょう。
一言で表現するなら、学びは 「買う前の段階からお客さんの奥にある気持ちまで汲み取り、不安や手間を解消しよう」 です。
お客さんがお店や EC サイトに来てもらう前から勝負は始まっているんですよね。
購入前の商品・サービスにかかわる様々な体験を良質なものにすることの重要性です。もちろん全てをコントロールすることはできませんが、認知から比較検討、購入、利用、再購入と進む中で、お客さんに適切な情報やより良い体験からの価値を提供することが大事です。
まとめ
今回はイオンリテールのサービスと Google が提唱する消費者心理の概念から、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
買い物で失敗したくない気持ち
- ネットではたくさんの候補から選べる利点がある一方で、本当に自分に合った商品なのかを見極めるのは簡単ではない
- 買った物が思ったイメージと違うと残念な気持ちになる
- 人は誰しもお金を払う以上は選んだものに失敗したくないという心理がある
買う物の肯定度
- 肯定度は 「 (買おうと思う物について) これを買って間違いない」 と思える度合い。自分の選択への自信の強度。Google が提唱している消費者心理
- ネットでの検索、店頭での実物確認、店員さんに話を聞くことで肯定度は上がっていく
- 肯定度が高いほど、購入後のお客さんの満足度は上がり、リピート購入にもつながりやすい
肯定度を高める方法
- お店や EC サイトに来てもらう前から勝負は始まっている
- 認知から比較検討、購入、利用、再購入と進む中で、適切な情報やより良い体験からの価値をお客さんに提供することが大事
- 買う前の段階からお客さんの奥にある気持ちまで汲み取り、不安や手間を解消しよう
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