出典: 食品新聞
今回のテーマは、市場創造です。
おもしろいと思った日清の完全栄養食の取り組みをご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 日清の完全栄養食とは?
- 外部パートナーと組む狙い
- 第三者を巻き込んでの市場創造
- 個人のレベルでも学べること
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
日清の完全食
日清食品が完全栄養食の開発に力を入れています。
出典: 日経
日清は、チャーハンやとんかつなど300種類もの完全食のメニューを開発しています。
日清のこれまでの即席麺の製造で培った技術を活用し、カロリーと塩分、糖質、脂質を最適なバランスで調整した、日本人に必要な33種類の栄養素が入っています。
外部パートナーとの連携
日清は完全栄養食を展開していくにあたり、異業種の外部パートナーと連携しています。
以下は、日経新聞の記事からの引用です。
日清食品が1食で必要な栄養素をバランス良くとれる 「完全栄養食」 で異業種連携を進めている。フィンランドのヘルステック企業と完全栄養食の健康効果を検証するほか、花王や楽天グループなどとも相次いで協業を決めた。
異業種の知見を活かして完全栄養食の効果や需要を確認し、一般消費者への普及につなげる。
狙いはニュースバリューと説得力の向上
具体的にどんな取り組みかと言うと、完全栄養食の効果検証を外部パートナーと実施しています。
このほど三井物産が出資するヘルステック企業、ナイチンゲールヘルスのサービスを活用し、未病対策への有効性を検証することで合意した。
ナイチンゲールヘルスの血液検査サービスは血液解析で将来の心血管疾患 (しんけっかんしっかん) リスクが分かるほか、独自技術で糖尿病耐性や脂肪酸バランスなどを点数で表し 「見える化」 する。スコアによって健康状態の変化がわかりやすく示され、完全栄養食の影響を把握できるという。
完全栄養食を一定期間食べた人の血液を解析し、食べる前と後で心臓の健康状態やコレステロールバランスの変化を調べる。日清食品の完全栄養食は、カロリーや塩分などを調節し、必要な栄養素を全て満たすとしているが、実際に健康状態に与える有効性を確かめる。
(中略)
ナイチンゲールヘルスに加えて花王との連携も決めた。
花王は体重や睡眠時間などを入力するだけで、免疫や皮膚状態など1600項目以上の健康状態を推定できるデータ基盤を持つ。日清食品は花王のデータ基盤が身長や体重などの簡単に入力できるデータから健康状況を簡単に推計できる点に着目。
完全栄養食が健康状態にどのような影響を及ぼすかを、消費者自身が具体的に把握できるようになると期待している。
自社商品・サービスの効果効能を自分が言うよりも、第三者との共同研究から他者のお墨付きを得て伝えると説得力が増します。
他者とは、その分野で技術や実績を持つ企業、権威ある機関、あるいはユーザーです。あえて第三者に言ってもらうことで、客観性を入れているわけです。協力すること自体にニュースバリューも生まれます。
学べること
第三者を巻き込んでの市場創造
日清のアプローチで学びがあるのは、今までになかった商品やサービスを世の中に出していく状況においてです。市場を新しく生み出す市場創造です。
完全栄養食は、すでに他社が販売していますが、世の中での知名度は十分にあるとは言えない状況です。
ここにカップラーメンなどを主力商品とする日清が完全食を作ったことに加えて、他社とのパートナー連携からの取り組みを積極的に発信することで、人々からの注目が集まります。今回のように、食品業界ではない企業と組めば、広く業界をまたいで注目されます。
仕事は一人ではできない
日清の完全食の話は、企業や組織だけではなく個人のレベルでも学びがあります。
一言で言えば 「仕事は自分一人では決してできない」 ということです。
日清のような大手の会社でも、完全栄養食をまだ食べたことのない人に食べてもらい、社会に普及させるためには外部パートナーの力を借りました。個人のようなビジネスリソースを持たない小さな存在であれば、なおさら一人でやれることには限界があります。
たとえ自分一人が成し遂げた成果だと思えても、実際はそうではありません。裏での同僚や他部門の関係者の協力やサポートがあったからこそです。
こうした当たり前のことも、普段は忘れがちになります。仕事は自分一人でやっているのではないというのは、今回の話からあらためて考えさせられたことです。
まとめ
今回は、日清の完全栄養食を取り上げ、マーケティングや仕事への向き合い方において学べることを見てきました。
最後に学びのところのまとめです。
✓ 第三者を巻き込んでの市場創造
- 他社とのパートナー連携の取り組みを積極的に発信することで、人々からの注目が集まる
- 自社商品・サービスの効果効能を自分が言うよりも、第三者からのお墨付きを得て伝えると説得力が増す
- 今までになかった商品やサービスを世の中に出していくために、第三者を巻き込んで市場をつくり出すことが有効
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