投稿日 2022/08/09

ヒットメーカー佐久間 P のヒットの極意に学ぶ、ヒット商品をつくる方法


今回のテーマはヒット商品のつくり方です。

おもしろいと思った佐久間 P (プロデューサー) のヒットの極意をご紹介し、商品開発やマーケティングに学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • 佐久間 P のヒットの極意とは?
  • マーケットインとプロダクトアウトの違い
  • マーケットインが正解って本当?
  • ヒット商品をつくる方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

佐久間 P のヒットの極意


日経 MJ (Marketing Journal) の2022年5月20日の一面特集は、佐久間 P こと佐久間宣行さんへのインタビュー記事でした。

佐久間 P ヒットの極意は - 視聴率とは別の独自 KPI 「マーケットイン × 興味」 

テレビ東京で人気番組を手掛け、現在はフリープロデューサー、演出家、ラジオパーソナリティーとして活躍する佐久間宣行氏。自著の 「ずるい仕事術」 (ダイヤモンド社) は10万部を突破した。

仕事術、発想の生み方について聞いたところ、お金を稼げるマーケットイン志向に、自らの興味、創造性を練り込むスタンスが見えてきた。


良い仕事をする人の特徴


ヒットの極意につながる話として 「良い仕事をする人はどういう人か」 の佐久間さんの考え方が興味深かったです。

―― 著書でアイデア作りの発想をさらしています。手の内を明かして心配はないですか。

 「競合とか考えたことがない。今は作ってる側に回ってるだけで、どちらかというと自分は消費者人生を楽しむタイプ。だからこれを読んで、会社のせいで制約を受けているような人たちが面白いものを作ってくれたら、年を取ってからでも僕の人生が楽しくなる」 

―― いい仕事をする人は一方で根本的なことを疑うタイプが多いと思いますが。

 「確かに一流のクリエーターの人と話すと、みんな不安を常に抱えている。今の自分が正しいのか、作っているものが正しいのか、(自分の行為に) 疑問をずっと持っていて、成功に浸らない人のほうが面白い仕事を続けていると思う。最近対談した糸井重里さんもそうだし、矢沢永吉さん、木村拓哉さんもみんなそう」 

 「自分がやっていることを、自分で面白がれているかどうか、他の人が面白がっていることと、自分が作っているものは同じなのかとかね。そこにすごく疑問を持って修正しながら仕事をしているというイメージだ」 

自分が見たいもの vs 人が見たいもの


マーケティングの観点でおもしろかったのが 「自分が見たいものか、他人が見たいものか」 のバランスについてでした。

―― 企画の基本アプローチは、自分が見たいものか、人が見たいものかに分かれます。その辺のバランスをどう考えていますか。

 「僕のイメージは、マーケットインの考え方をある程度固めて、好きなものをつくるという感じ。始めから好きなものを作って、やっていたら膨れ上がっちゃう。ある程度の制約があり、そのなかで自分が面白いと思うものを世に出していく。自分が面白いと思う、あるいは自分の発見だと思うことが一滴でも入っているものじゃない限り、世に出したくない」 

マーケットインとプロダクトアウト


ところで、マーケティングには 「マーケットイン」 と 「プロダクトアウト」 という2つのアプローチがあります。

マーケットインとは市場やお客のニーズ (潜在的な隠れたニーズも含む) を起点にして、お客さんが欲しいであろう商品やサービスを開発し展開していきます。

一方のプロダクトアウトは逆です。商品・サービス、または元になる技術があり、商品やサービスが売れるであろうお客さんを探していくアプローチです。

よく言われるのは 「プロダクトアウト」 は売り手視点の発想、マーケットインは顧客視点とされます。お客さん起点であるマーケットインが正解だということです。

しかし自分の見立てではそうは思いません。持論は両方が大事で、マーケットインとプロダクトアウトの両立に正解があると考えます。


両立させヒット商品をつくる方法


この考え方は佐久間 P がインタビューで語っていたことにも通じます。

もう一度引用すると、

マーケットインの考え方をある程度固めて、好きなものをつくるという感じ。始めから好きなものを作って、やっていたら膨れ上がっちゃう。ある程度の制約があり、そのなかで自分が面白いと思うものを世に出していく

マーケットインとプロダクトアウトを両立させるヒントがあります。

先にマーケットインで、お客さんや世の中から求められていることを見極め、大きな方向性を定めます。顧客ニーズをいわば制約として捉え、その中で自分のやりたいこと、想いや世界観を入れていくわけです。プロダクトアウトのアプローチです。

お客さんが求めることに対応するのは大事ですが、言われるがままに自分の色がゼロになってしまっては、やりがいやおもしろに欠けてしまいます。一方で顧客不在の自分よがりでしかない 「やりたいこと」 を振りかざしても、人 (お客さん) はついてきません。

 「お客さんが求めること」 と 「自分がやりたいこと」 の交差点に、成功の種が埋まっています


まとめ


今回は佐久間 P のヒットの極意から、マーケティングや商品開発に学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 両立させヒット商品をつくる方法
  • 持論は両方が大事。マーケットインとプロダクトアウトの両立に正解がある
  • 先にマーケットインでお客さんや世の中から求められていることを見極め、大きな方向性を定める
  • 顧客ニーズを制約にし、その中で自分のやりたいこと、想いや世界観を入れる (プロダクトアウト) 
  • 「お客さんが求めること」 と 「自分がやりたいこと」 の交差点に成功の種が埋まっている


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。