今回の話は、お客さんを定義することの重要性です。
おもしろいと思ったネットカフェの事例を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- ネットカフェでビジネスパーソンが増えている背景
- ビジネスパーソン客からの不満と対策
- お客さんが変わることの本質
- ビジネスの始まりは顧客定義から
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ネットカフェの変化
こちらの記事を読みました。
"スーツ姿の客" がネットカフェに急増 カギは 「PC なし席」 と 「レシートの工夫」|ITmedia
ネットカフェの 「快活 CLUB」 を取り上げた記事です。
出典: 快活 CLUB
ビジネスパーソンが増加
スーツ姿のビジネスパーソンの利用客が増えているようです。
従来ネットカフェは、余暇の時間を過ごすために利用するお客がほとんどだった。
現在もその傾向は強く、21年5月に快活 CLUB の全店で実施したアンケートでも、利用目的を複数回答で聞くと 「一人になりたい」 「暇や隙間時間がある」 が双方 30% 強を占めた。一方、コロナ禍により最も変わったのは、以前は少数だった 「テレワーク目的や学習」 での利用が 20% 強 (男性で 22.3% 、女性で 27.8%) まで増えたことだ。
ただし、21年5月は一部の期間、緊急事態宣言も発出されていた。「会食や移動の制限がなくなったら傾向が変わるかもしれない」 と考え、同年11月にも再度アンケートを実施した。すると、「学習・テレワーク目的」 の利用率は予想に反して増加し、男性で 22.3% → 22.5% に、女性では 27.8% → 29.2% になったという。
混雑時間や人気の部屋が変化
ビジネスパーソン利用者の増加にともない、利用のピーク時間帯や、人気の部屋の種類も変化しているとのことです。
今では昼の時間の方が混雑する。実際に、取材を実施した赤坂見附店 (東京都港区) でも、取材日 (平日) の12時すぎには 90% ほど座席が埋まっている状況だった。部屋は、机の前に椅子があるタイプから埋まっていく。
こうした需要を後押しする設備投資も行ってきた。現在快活 CLUB では、天井部分が空いていない鍵付き完全個室を増やしており、Web 会議をするテレワーク利用客に人気だ。
鍵付き完全個室は、個別に空調や照明を用意し、オートロックの鍵を備えている関係で、従来の天井部分に空きがあるブースと比べて約6倍ものイニシャルコストが必要となる。しかし、利用料金は通常ブースの約1.2倍に抑えて提供している。
変化の連鎖
ここまで見てきた話を整理すると、顧客層が変われば求めるニーズも変わり、それによって使われ方も変化するということです。
今までのお客さんと質の異なる利用者には、既存の設備やサービスが逆効果になることも起こります。
テレワークの利用客が増えるにつれて、"思わぬ要望" を受ける機会も増えた。アンケートでお客に 「どうすればより使いやすい店舗になるか」 と改善点を募集したところ、複数の改善案が寄せられた。そのうち、多かった声の一つが 「PC が邪魔」 というものだった。
テレワークで利用するビジネスマンはほとんど全員が仕事用のノート PC を持ち込んでいる。むしろ、その PC でないと仕事ができないという人がほとんどだ。そこで、都心店舗を中心にディスプレイのみ設置し、PC を置かない席を用意したところ、好調に利用されているという。
お客さんが変わることの本質
今回のネットカフェの事例から掘り下げたいテーマは、「お客さんが変わることの意味合い」 についてです。
快活 CLUB の話を一般化すれば、次のように整理できます。
✓ お客さんが変わることからの連鎖
- 向き合うお客さんが質的に変化する
- お客さんの困っていること・望みが従来のお客さんとは異なる
- 問題解決やニーズを満たすために、自分たちがやることも変わる
- お客さんが得る価値 (ベネフィット) も今までとは違うものになる
ビジネスの始まりは顧客定義
お客さんが変われば、まるでドミノ倒しのように色々と連動して変化が起きます。
起点になっているのは 「自分たちのお客さんは誰か」 という顧客定義です。ビジネスの始まりは 「誰をお客さんにするのか」 です。
お客さんを決めて顧客像を具体的に描くことによって、自分たちがやることが見えてきます。
マーケティングは、もっと言えばビジネスは突き詰めると、誰に、何の価値を、どうやって提供し、収益を得るのかに集約されるのです。
まとめ
今回はネットカフェの快活 CLUB を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
ビジネスの起点は顧客定義から
- ビジネスは突き詰めると、誰に、何の価値を、どうやって提供し、収益を得るのかに集約される
- 起点になっているのは 「自分たちのお客さんは誰か」 という顧客定義
お客さんを決めることからの連鎖
- 自分たちが向き合うお客を決める
- お客の困っていること・望みを理解する
- 問題解決やニーズを満たすために、自分たちのやることを見極める
- お客さんに価値を提供する
- 提供価値への対価として収益や信用を得る
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