投稿日 2022/08/26

ビジネスパーソンの利用が増えるネットカフェ。お客さんが変わることの本質とは?


今回の話は、お客さんを定義することの重要性です。

おもしろいと思ったネットカフェの事例を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • ネットカフェでビジネスパーソンが増えている背景
  • ビジネスパーソン客からの不満と対策
  • お客さんが変わることの本質
  • ビジネスの始まりは顧客定義から

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ネットカフェの変化


こちらの記事を読みました。

 "スーツ姿の客" がネットカフェに急増 カギは 「PC なし席」 と 「レシートの工夫」|ITmedia

ネットカフェの 「快活 CLUB」 を取り上げた記事です。

出典: 快活 CLUB

ビジネスパーソンが増加


スーツ姿のビジネスパーソンの利用客が増えているようです。

従来ネットカフェは、余暇の時間を過ごすために利用するお客がほとんどだった。

現在もその傾向は強く、21年5月に快活 CLUB の全店で実施したアンケートでも、利用目的を複数回答で聞くと 「一人になりたい」 「暇や隙間時間がある」 が双方 30% 強を占めた。一方、コロナ禍により最も変わったのは、以前は少数だった 「テレワーク目的や学習」 での利用が 20% 強 (男性で 22.3% 、女性で 27.8%) まで増えたことだ。

ただし、21年5月は一部の期間、緊急事態宣言も発出されていた。「会食や移動の制限がなくなったら傾向が変わるかもしれない」 と考え、同年11月にも再度アンケートを実施した。すると、「学習・テレワーク目的」 の利用率は予想に反して増加し、男性で 22.3% → 22.5% に、女性では 27.8% → 29.2% になったという。

混雑時間や人気の部屋が変化


ビジネスパーソン利用者の増加にともない、利用のピーク時間帯や、人気の部屋の種類も変化しているとのことです。

今では昼の時間の方が混雑する。実際に、取材を実施した赤坂見附店 (東京都港区) でも、取材日 (平日) の12時すぎには 90% ほど座席が埋まっている状況だった。部屋は、机の前に椅子があるタイプから埋まっていく。

こうした需要を後押しする設備投資も行ってきた。現在快活 CLUB では、天井部分が空いていない鍵付き完全個室を増やしており、Web 会議をするテレワーク利用客に人気だ。

鍵付き完全個室は、個別に空調や照明を用意し、オートロックの鍵を備えている関係で、従来の天井部分に空きがあるブースと比べて約6倍ものイニシャルコストが必要となる。しかし、利用料金は通常ブースの約1.2倍に抑えて提供している。

変化の連鎖


ここまで見てきた話を整理すると、顧客層が変われば求めるニーズも変わり、それによって使われ方も変化するということです。

今までのお客さんと質の異なる利用者には、既存の設備やサービスが逆効果になることも起こります。

テレワークの利用客が増えるにつれて、"思わぬ要望" を受ける機会も増えた。アンケートでお客に 「どうすればより使いやすい店舗になるか」 と改善点を募集したところ、複数の改善案が寄せられた。そのうち、多かった声の一つが 「PC が邪魔」 というものだった。

テレワークで利用するビジネスマンはほとんど全員が仕事用のノート PC を持ち込んでいる。むしろ、その PC でないと仕事ができないという人がほとんどだ。そこで、都心店舗を中心にディスプレイのみ設置し、PC を置かない席を用意したところ、好調に利用されているという。

お客さんが変わることの本質


今回のネットカフェの事例から掘り下げたいテーマは、「お客さんが変わることの意味合い」 についてです。

快活 CLUB の話を一般化すれば、次のように整理できます。

✓ お客さんが変わることからの連鎖
  • 向き合うお客さんが質的に変化する
  • お客さんの困っていること・望みが従来のお客さんとは異なる
  • 問題解決やニーズを満たすために、自分たちがやることも変わる
  • お客さんが得る価値 (ベネフィット) も今までとは違うものになる


ビジネスの始まりは顧客定義


お客さんが変われば、まるでドミノ倒しのように色々と連動して変化が起きます。

起点になっているのは 「自分たちのお客さんは誰か」 という顧客定義です。ビジネスの始まりは 「誰をお客さんにするのか」 です。

お客さんを決めて顧客像を具体的に描くことによって、自分たちがやることが見えてきます。

マーケティングは、もっと言えばビジネスは突き詰めると、誰に、何の価値を、どうやって提供し、収益を得るのかに集約されるのです。


まとめ


今回はネットカフェの快活 CLUB を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

ビジネスの起点は顧客定義から
  • ビジネスは突き詰めると、誰に、何の価値を、どうやって提供し、収益を得るのかに集約される
  • 起点になっているのは 「自分たちのお客さんは誰か」 という顧客定義

お客さんを決めることからの連鎖
  • 自分たちが向き合うお客を決める
  • お客の困っていること・望みを理解する
  • 問題解決やニーズを満たすために、自分たちのやることを見極める
  • お客さんに価値を提供する
  • 提供価値への対価として収益や信用を得る


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。