出典: PR TIMES
今回のテーマは、価格設定です。
おもしろいと思った移動スーパーをご紹介し、値付けの方法を見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 移動スーパー 「とくし丸」 が独走状態
- 配送料が手数料かに見る消費者心理
- とくし丸に学ぶ価格設定
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
移動スーパーの 「とくし丸」
出典: ITmedia
稼働台数が1000台を突破
こちらの記事を読みました。
移動スーパー 「とくし丸」 はなぜ "独走" しているのか 1000台突破の舞台裏|ITmedia
軽快な音楽を流しながら軽トラックが走っているのを見たことはないだろうか。生鮮食品などを販売している移動スーパー 「とくし丸」 が "快走" していて、クルマの稼働台数が1000台を超えたのだ (2022年5月末) 。
出典: ITmedia
配送料ではなく手数料
興味深かったのは価格設定です。
とくし丸で扱っている商品には、スーパーで販売している価格に10円または20円を上乗せしているとのことです。
ネットスーパーなどでは 「配送料」 を設定しているところが多いですが、とくし丸は 「手数料」 という形にしています。
意図を記事から詳しく見てみましょう。
新宮さん (引用者注: とくし丸の新宮歩 (しんぐう あゆむ) 社長) は 「ビジネスモデル」 と 「アナログ」 という2つのキーワードを口にした。ネットスーパーととくし丸の違いはビジネスモデルにあって、スーパーで買い物をするには、客は店まで足を運んで、商品を手に取って、レジで会計をしなければいけない。そして、それらを袋に詰めて、家に持ち帰る。一連の流れを前提にして、価格が設定されているのだ。
こうした背景があるので、スーパーで販売している価格のままでやっていくのは難しい。というわけで、「配送料」 は欠かせない。スタート時は多くのお客を獲得するために 「配送料0円」 にして、ある程度の数を確保することができれば 「有料」 にするケースがある。しかし、有料化に踏み切ると、客離れが起きて、たちまちビジネスがうまく回らなくなることもあるのだ。
一方のとくし丸は、先ほど紹介したように配送料ではなく、1品につき10円または20円を加算している。というわけで、モノによっては 「配送料のほうがトク」 かもしれないし、「上乗せのほうがトク」 かもしれないので、一概にどちらのほうが有利と判定することはできない。
では、なぜとくし丸は配送料ではなく、上乗せという形にしているのだろうか。クルマに載せる商品はドライバーが選んでいたり、お客に合わせた商品を提案したり、御用聞きもしていたり。このような役割を担っていることから、「配送料」 という言葉を使っていないのだ。
ドライバーが商品をお客さんの家に運んでいる様子 (出典: ITmedia)
価格設定と消費者心理
とくし丸は、配送料としてまとめて200円のような追加料金ではなく、1つ1つの商品に手数料という意味合いで10円や20円を上乗せしています。
消費者心理を考えると、配送料という名目で200円などとまとまった金額を見せられるよりも、始めから商品価格に含まれていたほうが負担感は少ないでしょう。
配送料としてまとめてか、各商品に上乗せするかで微妙な違いです。しかし、ここに価格設定の奥深さがあります。
たかが10円、されど10円です。食品や飲料、雑貨などの日用品は10円や、もっと言えば数円でも違うと購入への影響が出る世界です。
価格設定はコストに利益を入れて設定するのが一般的ですが、買い手視点を置き忘れての価格設定をしないように注意したいです。
人の心理は論理だけでは決まるのではなく、直感的で少しのことが影響します。とくし丸から学べるのは、買い手の心理や負担感に配慮した価格設定の重要性です。
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