投稿日 2022/08/01

完全栄養食 BASE FOOD のコミュニティ内でユーザーが勝手にアンケート。調査からパラダイムシフトを起こそう


今回のテーマは、マーケティングリサーチです。

おもしろいと思った完全栄養食の BASE FOOD の事例から、ユーザー調査の役割について掘り下げています。

✓ この記事でわかること
  • 完全栄養食 BASE FOOD のコミュニティ
  • 熱心なユーザー自らが 「これ買いたいですか?」 とアンケート
  • 突き詰めるとユーザー調査の役割は2つ
  • 調査からパラダイムチェンジを起こす方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

完全栄養食の BASE FOOD


こちらの記事を読みました。

サービス解約者の5人に1人が再登録 完全栄養食 「BASE FOOD」 のやめさせない仕組みづくり|ITmedia

出典: ITmedia

定期購入会員の増加


以下は記事のリード文からの引用です。

ベースフード (東京都目黒区) は、1食で1日に必要な栄養素の3分の1を摂取できる完全栄養食 「BASE FOOD」 を同社の Web サイトで販売している。定期購入型の 「継続コーススタートセット」 は 「パンセット」 「パン & クッキーセット」 「パン & パスタセット」 の3種類があり、指定したセットが4週ごとに届く。

2017年に販売を開始。22年5月現在、定期購入者は10万人に上る。直近2年間で新規会員が急増。20年2月の月間定期購入者数と比べて、約10倍にまで伸長した。

コミュニティ内から生まれた商品


BASE FOOD は、独自のコミュニティサイトを運営しています。

BASE FOOD のコミュニティサイト (出典: PR TIMES

同じ記事から引用すると、

同社が特に力を入れているのが、継続コース利用者の交流の場となっているコミュニティーサイト 「BASE FOOD Labo (ベース・フード・ラボ、以下ラボ) 」 だ。18年11月に立ち上げ、現在の会員数は2万人を突破した。21年6月発売の 「BASE Cookies (ベースクッキー) 」 もサイト利用者の声を反映して開発された商品だ。

齋藤 CMO は、「商品の開発に積極的に関わってもらえるよう、ラボでは会員を "研究員" と呼んでいる。ラボに参加することで、商品を買って食べる以上の体験ができる」 と話す。
ラボから生まれたベースクッキー (出典: ITmedia

ユーザーが自らアンケートを実施


興味深いと思ったのは、コミュニティー内でユーザーが自主的にアンケートをやっていることです。

コミュニティ内で、他の参加者に 「こういうものがあれば買いたいですか?」 と、頼まれたわけでもないのにアンケートで訊いているとのことです。

ラボの参加者は、おすすめのアレンジを共有したりアンケート機能を利用して他の参加者に意見を求めたりとさまざまな使い方をしている。

 (中略) 

齋藤 CMO によれば 「7万2600円分の商品を6万6000円で購入できる前払いポイントパック『いちねんポイントパック』というサービスをこの春から始めたところ、会員の一人がラボのアンケート機能を使って『金額が大きいので購入を迷う。3万円くらいのパックがあったら買いますか?』という質問を他の会員に向けてしていた」 とのこと。

 「ユーザーが自発的に自然な形で要望を共有してくれる。客観的なデータとともに頂けるのはありがたい。ラボの参加者は、まるで社員のようです (笑) 」 (齋藤 CMO) 

ユーザー調査の役割


ではここからは、「ユーザーが自らアンケートやっている」 からの着想として思った調査の役割について掘り下げていきます。

アンケートやインタビューなどのユーザー調査をなぜやるのかは、突き詰めると次の2つです。

✓ ユーザー調査の役割
  • 人は何をしているのか、どう思うのか (自分以外の他人を理解するため) 
  • 他人の回答に自分はどう思うか (自己探求と自己理解) 

前者は外向きの視点です。

例えば、想定のターゲット顧客がどのようなニーズを持っているのか、普段の生活スタイル、ものの見方や価値観を知るために調査をします。

これに対して調査の役割のもう1つは、矢印は自分の内側に向いています。

ここに調査からパラダイムチェンジを起こすヒントがあります。


調査からパラダイムシフトへ


お客さんなどのいわば他人の言動、奥にある本音や価値観を知った時に、自分はそれらをどう思うか、何を感じるかです。特に今までの自分の常識や調査前の仮説と違い、新しい発見を受け入れて腹落ちをした時に自分の中でパラダイムチェンジ (思考の枠組みの変化) が起きます。

調査には2つの役割があると言いましたが、他者理解と自己理解の2つです。

今回の BASE FOOD の話から学べるのは、調査を通じての自分の反応 (例: ちょっとしたことに違和感を持った) を大切にする重要性です。ここから新しい気づきや着想が得られます。


まとめ


今回は完全栄養食 BASE FOOD のコミュニティを取り上げ、マーケティングリサーチについて見てきました。

最後にまとめです。

ユーザー調査の役割
  • 人は何をしているのか・どう思うのかを知り、自分以外の他人を理解するため
  • 他人の回答に自分はどう思うかを掘り下げるため (自己探求と理解) 

調査からのパラダイムチェンジ
  • 調査からパラダイムチェンジ (思考の枠組みの変化) が起こるのは、他人の言動、奥にある本音や価値観で今までの自分の捉え方と違い、新しい発見を受け入れて腹落ちをした時
  • 調査を通じての自分の反応 (例: ちょっとしたことに違和感を持った) から、新しい気づきや着想につなげよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。