投稿日 2023/04/02

人気声優が名前を呼んでくれる 「耳福ホテルプラン」 。価値を高め価格を上げる

#マーケティング #提供価値 #価格設定

出典: PR TIMES

今回のテーマは 「価値の高め方」 です。価値を高め価格を上げるという内容です。

おもしろいと思ったユニークな宿泊サービスから、マーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。

✓ わかること
  • 人気声優が名前を呼んでくれる宿泊サービス 「耳福ホテルプラン」 が人気に
  • 宿泊体験の充実させる中身
  • 価値を高めて価格を上げる方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

耳福ホテルプラン


出典: PR TIMES

ご紹介したいのは 「耳福ホテルプラン」 です。

人気声優が名前を呼んでくれる宿泊サービス


耳福ホテルプランは人気俳優が宿泊中に自分の名前を呼んでくれるというものです。

人気声優の声で起こしてもらえる――。そんな宿泊体験サービスがヒットしている。モーニングコールやウエルカムコールを手掛けるのは、今をときめく人気声優らだ。

 (中略) 

声優の声を聞くことで、"耳から幸福になれる" 。そんな意味が込められた宿泊イベント 「耳福 (みみふく) ホテルプラン」 を仕掛けるのは、au コマース & ライフだ。

 (中略) 

耳福ホテルプランは、「軽井沢倶楽部ホテル軽井沢 1130 (イレブンサーティー) 」 (群馬県嬬恋村) など、既存ホテルを活用した特別宿泊プラン。

宿泊者がフロントで声優の声が収録された CD を受け取ってその場で流すと、声優が "ホテルコンシェルジュ" さながら、宿泊者の名前を呼んでウエルカムコールをしてくれる。CD には他にも、寝る前に聞くことを想定した 「おやすみコール」 や、寝起き用の 「モーニングコール」 などが収録されている。

あなただけのプレミアムチケット


耳福ホテルプランでは人気声優なら誰でもいいというわけではなく、「なぜその声優さんなのか」 に意味合いを見出したとのことです。

声優に人気が集まっているからといっても、なぜその人を起用するのかという意義が必要だと大森氏 (引用者注: au コマース & ライフの事業推進本部 新規事業推進部 大森一摩部長) は続ける。

 (中略) 

そこで第1弾では、企画に興味を持った人にしっかりと楽しんでもらえるよう、一定の知名度を担保しながら “ホテルコンシェルジュ” としての印象が持てそうな声優を選ぶことになり、人気声優の蒼井翔太に白羽の矢が立った。

こうして蒼井を第1弾の声優として起用すると、販売開始から28秒で完売というヒット企画になった。

耳福ホテルプランのコンセプトと具体的な中身をさらに見てみましょう。

第1弾、第2弾を通して目指したのは、「世界で1枚の、あなただけのプレミアムチケット」 にすること。その特別感を演出するため、声優らが "ホテルコンシェルジュ" として、直接ユーザーの名前を呼んで語り掛けることになった。しかも CD は持ち帰ることができる。つまり、ユーザーは自宅に戻ってからも繰り返しその音声を楽しむことができるのだ。

呼びかける名前は、購入者が希望したフレーズを採用。本名を選ぶ人もいれば、ニックネームのようなもので呼んでほしいという指定もあった。声優らはその希望に応じて、収録時に1人ずつ個人の名前を呼び、決められたセリフを発した。ポイントは名前を、「○○ さま」 と呼ぶことだ。

第2弾ではより多くのファンに届けられるように、対象人数を200組400人に拡大。さらに豪華な料理をつけるなどしてプランを充実させることで単価も2倍近くに引き上げた。

また第1弾は軽井沢の宿泊施設のみだったが、関西地方在住のファンも行きやすいよう、第2弾は京都市内の2カ所と、東京・銀座の計3カ所で実施した。その結果、完売には至らなかったが、売り上げは第1弾の約4倍になった。

学べること


では耳福ホテルプランから学べることを掘り下げていきましょう。

価値を上げる取り組み


耳福ホテルプランが第一弾と第二弾でやっていたことを整理してみます。

✓ 価値を上げる取り組み
  • なぜその声優を起用するのかの意味づけ
  • 宿泊者へのカスタマイズ。声優が希望の名前を呼ぶ。CD は宿泊時だけではなく持ち帰れるようプレゼント
  • 豪華な料理をつけるなどプランを充実
  • 宿泊場所を拡充。軽井沢のみから京都と東京を追加

いずれもコンセプトである 「世界で1枚のあなただけのプレミアムチケットに」 につながる内容です。

価値を高めて価格を上げる


耳福ホテルプランの事例からの学びを一般化すると 「高い価格をつけるにはどうすればいいのか」 に示唆があります。

どんなビジネスもお客さんから 「お金を払ってでも欲しい」 と思ってもらえることが大事です。お金を支払う価値があるのかです。

価値とはお客さんにとっての何かしらのうれしいことです。もう少し価値の解像度を上げると、

  • 役に立つというメリット
  • 使ったり持っていて楽しい・うれしいと思える
  • 他にはない独自の魅力がある

理想は唯一無二の価値をお客さんに提供できることです。たとえ高い価格でもそれ以上の価値をお客さんが見出せばお金を払ってくれます。

お客さんから評価されるのを値段を割安にしてお買い得とする方法以外に、「価値をしっかりとつくり高めて価格を上げられないか」 という視点を忘れないようにしたいです。


まとめ


今回は人気声優が名前を呼んでくれる宿泊サービス 「耳福ホテルプラン」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 価値を高めて価格を上げる
  • 価値とは、役に立つメリット、使ったり持っていて楽しい・うれしいと思える、他にはない独自の魅力があること
  • たとえ高い価格でもそれ以上の価値があればお客さんはお金を払ってくれる
  • 価値をしっかりとつくり高めて価格を上げられないかという視点を持ってみよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。