今回のテーマは競合設定です。
売り手の独りよがりではなく、お客さん視点での競合商品を見極めるためにはどうすればいいかを解説します。
✓ わかること
- 消費者の頭の中で競合環境は常に変わっている
- 売り手の競合、相手の選択肢
- 競合は相対的で流動的
- マーケターに求められる顧客理解
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
消費者の頭の中での競合環境
こちらの記事を読みました。
マーケターは人間の煩悩と向き合うべき - 鹿毛氏 × 田部氏が語ったインサイト・クリエイティブ・競合のはなし|MarkeZine
ノバセルの田部正樹さんと、「エステー消臭力シリーズ」 などの代表作を持つマーケター・クリエイティブディレクターの鹿毛 (かげ) 康司さんの対談記事です。
2人の議論で 「消費者の頭の中で競合環境は常に変わっている」 という話が興味深かったです。
田部: ポジショニングの話が出たところでお聞きします。鹿毛さんは 「競合」 をどう捉えていらっしゃいますか。
鹿毛: そもそも、ビジネスの競合とコミュニケーションの競合は全く違います。どういうことかと言うと、シャンプーのビジネス競合は他の消費財メーカーですが、テレビ CM の競合となると大手自動車メーカーや飲料メーカーになります。人々の頭の中へ大胆にお邪魔するのがテレビ CM であり、印象に残るかどうかが競合との勝負を分けるのです。
しかし、場所をドラッグストアに移すとまた競合は変わります。まず、テレビ CM で競合だった自動車メーカーは、消費者の頭から一旦消えますよね。かわりに店内では化粧品や食品のメーカーが競合となります。消費者がシャンプーの棚の前に来て初めて、他の消費財メーカーが競合になるのです。
田部: 面白いですね。消費者の脳の中で常に競合環境は変わっているから、競合は1業種に限らないと。大事なのは 「脳内で自社の商品をどれだけ思い出してもらえるか」 なんですね。
学べること
自社商品やサービスの競合をどう捉えるに学びがあります。
競合の捉え方
一般的に売り手が想定する競合と、買い手の立場からの捉え方は異なります。
そもそもとして 「競合」 という言葉を使う時点で売り手の発想になっています。というのはお客さんの頭の中にあるのは 「競合」 ではないからです。お客さんの立場からすると 「記憶される対象」 や 「買う候補」 「選択肢」 と表現したほうが自然です。
売り手が競合を捉えるためには、お客さんが何かを買おうと思っている時に 「自社商品の他にある候補や選択肢は何か」 という問いから掘り下げていくといいです。
競合は相対的で流動的
競合は、お客さんの言葉を使えば比べる相手は相対的です。人によって、また同じ人でも比較する状況によって変わります。
- テレビ CM を見ている時にシャンプーに対して印象に残るかどうかの競合相手は大手自動車メーカー
- ドラッグストアでは化粧品や食品のメーカーがシャンプーの競合
- 消費者がシャンプーの棚の前に来て初めて、他のシャンプーが競合になる
このように生活シーンの場面ごとに消費者の頭の中で比較の仕方が変わるわけです。
誰がどういう状況で何と比べるかという意味で相対的であり、時間が経てば変わるため流動的でもあります。
マーケターに求められる顧客理解
マーケティングにおいて、自分たちの競合を把握するための消費者理解に終わりはありません。仮に完ぺきに理解したと思えても次の瞬間には消費者は少しずつ変わり始めます。マーケティングの顧客理解は 「終わりなき旅」 のようなものです。
マーケターをやっている限りは、お客さんの理解は一生やり続けることになります。好奇心の赴くままの顧客理解、もっと言えば人間理解を追求したいと思えるとマーケティングはおもしろくなります。
まとめ
今回は競合の捉え方、お客さんの理解についてでした。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ マーケターに求められる競合設定と顧客理解
- 競合は相対的で流動的。誰がどういう状況で何と比べるかで競合は変わる
- お客さんの立場になり 「買う候補」 や 「選択肢」 を考慮し、自社商品の競合として捉えよう
- マーケティングは終わりなき顧客理解の旅。好奇心を持って人間理解を深め、顧客理解を絶えず追求することがマーケティングの醍醐味
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