投稿日 2023/04/14

オイテルの無料の生理用品提供に学ぶ、未来志向のリーダーシップ。マーケティングと社会貢献の融合

#マーケティング #リーダーシップ #三方よし

出典: PR TIMES

今回は、未来志向のリーダーシップという話です。

おもしろいと思ったスタートアップ企業の取り組みから、学べることを掘り下げていきましょう。

✓ わかること
  • オイテルが無料で生理用品を提供
  • 生理用品の常備が当たり前になる社会に
  • 未来を切り開く未来志向のリーダーシップ

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

生理用品を無料で提供


出典: PR TIMES

ご紹介したいのは生理用品の無料提供サービスです。

スタートアップのオイテル (東京・港) が手がける生理用品無料提供サービスが広がっている。

 (中略) 

同社が手がける 「OiTr (オイテル) 」 は生理用ナプキンを常備し無料で提供するディスペンサーだ。商業施設を中心にトイレの個室に設置されている。専用の無料アプリをダウンロードしたスマートフォンを機器にかざすとナプキンを受け取ることができる。

広告を有効活用


生理用品を無料で提供するディスペンサーにはサイネージがあり、広告枠として使っています。広告費が入ることで無料提供ができる仕組みです。

事業は広告収入で賄っている。機械にはデジタルサイネージがついており、トイレを使用するタイミングで自動的に広告が再生される仕組みだ。

配信されている広告はオンライン診療などのヘルスケア系から旅行会社、飲料など幅広い。設置施設内の店舗情報を配信することもできるという。施設側はディスペンサーの取り付け費用を負担すれば導入することができる。現在は福利厚生目的の導入など一部例外をのぞき、月額使用料金は原則かからない。

無料提供への想い


サイネージでの広告費で成り立っているとはいえ、なぜ無料で生理用品を提供するのでしょうか?

オイテルの社長は次のように説明しています。

オイテルは、生理に伴うさまざまな負担を軽減するために 「トイレットペーパーと同様にトイレに生理用品が常備される社会にしたい」 (小村大一社長) との思いから生まれた。

学べること


ではオイテルが生理用品を無料で提供する取り組みから、学べることを掘り下げていきましょう。

業界全体を引っ張る姿勢


カテゴリーや業界に適切な競争環境があれば、他社と競合しつつも切磋琢磨からお互いに高め合い市場が活性化します。

オイテルの無料での生理用品提供で注目したいのは、業界全体を、もっと言えば世の中をより良くするという想いが土台になっていることです。生理用品がトイレットペーパーのように公共トイレにも常備され、それが当たり前になっている社会にするという信念です。

オイテルの取り組みには自社商品さえ売れればそれでいいという狭い気持ちからではなく、今は実現していないが未来はそうありたい、自分たちで未来の当たり前をつくるという気概があります。

三方よし


オイテルの考え方は近江商人の 「三方よし」 と通じます。

三方よしとは、もともとは江戸時代中期の頃から近江商人が信用を得るために大切にしてきたとされる理念です。

✓ 三方よし
  • 買い手よし
  • 売り手よし
  • 世間よし

三方よしの特徴は売り手という自分だけではなく、お客さん (買い手) 、さらには世の中全体 (世間) へ視野を広げているところにあります。

つい目が行きがちなのは売り手である自分にどれだけメリットがあるかです。三方よしが教えてくれるのは、買い手という直接のお客さん、そして世の中や社会全体にもメリットがあるかまでを考える重要性です。

未来を切り開くリーダーシップ


オイテルの生理用品無料提供を三方よしに当てはめてみます。

無料提供で助かる女性が1人でも増え (買い手よし) 、トイレなどに生理用品が常備されるのが当たり前のような社会にする (世間よし) があります。未来を切り開くための業界全体を牽引するリーダーシップが見て取れます。

学びとして一般化すると、例えばマーケティングを考えたり実行する時には、

  • 未来の当たり前とはどんな社会か
  • 業界全体を活性化させるか
  • 世の中をより良くすることにつながるか

視座を高めてカテゴリーや業界を自分たちで引っ張るリーダーシップを持つようにしたいです。


まとめ


今回はオイテルの無料での生理用品提供サービスを取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 未来の当たり前をつくるリーダーシップ
  • オイテルの無料生理用品提供は、業界全体や世の中をより良くするための志を持って取り組んでいる
  • 近江商人の 「三方よし」 の理念 (買い手よし, 売り手よし, 世間よし) にもとづき、マーケティング活動でも買い手や社会全体にも恩恵があることを目指す
  • マーケティングを進める際には 「未来の当たり前」 を描き、業界全体の活性化や社会貢献につながるリーダーシップを発揮しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。