投稿日 2023/04/17

背水の陣のスト6に学ぶ、初級者も魅了するマーケティング術

#マーケティング #顧客理解 #価値提案

出典: カプコン

今回のテーマは初級者も魅了するマーケティング術です。

ヘビーユーザーや熱心なファンを喜ばせつつ、新しいお客さんの獲得と初心者にも優しい対応をする秘訣を格闘ゲームの 「ストリートファイター」 から学ぶ記事です。

✓ わかること
  • 「もう後がない…」 。背水の陣で臨むストリートファイター6
  • ストリートファイターの課題と打ち手
  • 初級者も魅了するマーケティング

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

7年ぶりの新作 「ストリートファイター6」 



カプコンは今年2023年の6月に7年ぶりに格闘ゲーム 「ストリートファイター」 の新作を発売します。

ストリートファイター 6 で目指すのは、かつて社会現象になった 「スト2」 の熱気の再現です。

もう後がない…


スト6はカプコンにとっては背水の陣で臨むゲームです。

カプコンは1990年代に一世を風靡したストリートファイターの7年ぶりの新作 「6」 を23年6月2日に発売する。コンサートでも 6 の楽曲が披露されたが、当日の盛り上がりとは対照的に、6 の担当プロデューサー、松本脩平氏の言葉には危機感がにじむ。「もう後がないかもしれない」 。それはスト2の大ヒットからくるものだ。

 (中略) 

2 以降、ストリートファイターは当時の流行を超えられずにもがいている。

かつてプレイした人の声


スト2をかつて遊んだ人は、今の状況をどのように見ているのでしょうか。

 「子どもの時は放課後に毎日のように遊んでいた。各地のゲーセンに強い人がいて、後ろからのぞき込むのも楽しかった。でも最近は全くやっていない」 。兵庫県尼崎市在住の東郷宝さん (42) はこう話す。「誰かと対戦するにはオンラインにつながなければならず、何かと面倒。周りの人に声をかけて対戦できたゲーセンのような気軽さがなくなった」 という。

東洋証券の安田秀樹シニアアナリストは 「プロゲーマーの登場で、ユーザーとの距離感が遠くなった」 と指摘する。「プロの芸術的な動きを見て『自分には無理』と冷める人が増えた」 とみる。

新作 「スト6」 の特徴


こうした状況をカプコンは理解し、新しい 「スト6」 はゲームの操作性や機能に工夫や配慮が見られます。

象徴的なのが、操作方法の刷新だ。従来 「とにかく難しい」 (東洋証券の安田氏) とされたが、初心者でも簡単に必殺技が出せるモード 「モダンタイプ」 を追加。例えば、カーソルキーとパンチボタンを組み合わたコマンドを打ち込まないと出せなかった 「波動拳」 も、ボタン1つだ。「まずは『楽しい』と思ってもらいたい」 (松本氏) 

途中で離脱させない工夫もこらす。対戦時のプレーに合わせて自動実況が入る機能を初めて搭載。「見事なカウンター」 などとコメントしてくれる。松本氏は 「格闘ゲームは勝つか負けるかのストイックな世界だったが、続けるモチベーションを高めたかった」 。

前半のまとめ


では一度ここまでの内容をまとめておきますね。

  • カプコンが7年ぶりの新作 「ストリートファイター6」 を2023年6月2日に発売する。カプコンにとっては背水の陣で臨むゲーム
  • かつてのプレイヤーはオンライン対戦の面倒さを感じたり、プロゲーマーの芸術的なプレイを見て 「自分には無理」 と思い冷めてしまっている
  • 「スト6」 は操作性の改善や続けるモチベーションを高めるなどの工夫が見られる


学べること


それではストリートファイターのゲームから、マーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。

上級者への過剰適応の危険性


ストリートファイターシリーズは、いつの間にか上級者のゲーマー向けのものになっていました。その結果、初心者やライトユーザーが置いてきぼりになっている状況でした。

これはマーケティングにおいてもよくある罠です。

売り手は商品やサービスを扱ううちに詳しくなり、自然と上級者目線になってしまいがちです。しかし、玄人目線は新規のお客さんや初級者を疎外する原因となります。そこで意識的に初級者目線を取り入れることが重要なのです。

新規顧客や初級者への配慮を


もちろんコアなファンやヘビーユーザーを満足させることは大切です。

しかし過剰に優遇しすぎると、新規のお客さんや初級者にとって敷居が高くなってしまいます。ビジネスが衰退するリスクをはらみ、ゆっくりかもしれませんが確実に衰退していくのです。

初級者も魅了するマーケティング


そこで、以下のポイントを意識して初級者や新規のお客さんへの配慮をするといいでしょう。

✓ 初級者も魅了するマーケティング
  • ユーザーフレンドリーな設計: 初心者でも使いやすいインターフェースや機能を提供し、幅広い顧客層に対応できるようにする
  • 初級者向けのガイドやサポート: 初めての人でも安心して商品・サービスを利用できるように分かりやすいガイドやサポート体制を整える
  • 初級者向けのコンテンツ: 初心者が知識や使い方を向上させるためのコンテンツや教材を提供する
  • お客さんの声を聞く: 新規顧客や初級者の意見やフィードバックを積極的に収集し、商品・サービスの改善に役立てる

上級者向けに特化しすぎることなく、初級者や新しいお客さんを獲得し手を差し伸べることでビジネスの持続的な成長につながります。


まとめ


今回はカプコンの新作 「ストリートファイター 6」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 初級者も魅了するマーケティング
  • 自社商品に詳しい売り手は自然と上級者目線になりがち。上級者への過剰適応により初級者や新規顧客を疎外してしまうとビジネスが衰退していく
  • コアなファンやヘビーユーザーを満足させることは大切だが、ビジネスの持続的な成長のために初級者や新しいお客さんの獲得と配慮が不可欠
  • 初級者にも優しいユーザーフレンドリーな設計、ガイドやサポートを充実させる、お客さんの声を聞くことで初級者や新規顧客にも気を配ろう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。