マーケティングの世界では、新しいアイデアが命運を左右することも少なくありません。しかし、アイデアはいつも思い通りには浮かんでこないものですよね。
そんな悩みを解決する鍵がサンコーのアイデア会議に隠されています。
この記事では、サンコーが実践している 「アイデアを考えることが楽しくなる習慣化」 の秘訣を紐解きます。ぜひ読んでいただき、アイデアが次々に湧く環境を手に入れましょう!
✓ わかること
- 家電メーカー・サンコーのアイデア会議
- 全員野球でアイデアを生む仕組み
- アイデアを考えることが楽しくなる習慣にする方法
サンコーのヒット商品を生む秘訣
サンコーの山光博康社長へのインタビュー記事を読みました。
世界最小の家電メーカーを自称するサンコー (東京・千代田) の快進撃が止まらない。電気代高騰を追い風に売れている 「着るこたつ」 など、面白くて役に立つことを意識したユニーク家電でヒットを連発する。
新しいものに敏感な街、アキバで生まれて育った同社。山光博康社長にヒット商品を生む秘訣を聞いた。
全社での毎週のアイデア会議
ヒット商品を生み出す全社的な取り組みが興味深かったです。アイデア会議を毎週やっているとのことです。
―― よくネタが続きますね。
「アイデア会議を毎週やっています。店舗の販売スタッフから、経理、役員まで約50人全員が、必ず1つ以上提案しています。年間だと2000件以上。社内のネット掲示板にあげて、いろんな人がツッコミを入れたり、『いいね』といったり。そのまま商品化されるものは、ごくわずかですが、『ゲーム好き』『アウトドア派』など、みんながそれぞれアイデアを持ち寄って精度は上がってきています」
―― 採用されたら報奨が出るのですか。
「基準は売れたかどうかではありません。自社企画の商品として採用されたら A 賞で1万円。海外からの調達品として採用されれば B 賞で5000円。いいアイデアなら C 賞で500円。ヒットにつながれば人事評価に反映します。賞はあくまでお小遣い。それより自分のアイデアが形になって、売れてテレビで取り上げられれば家族や友達に自慢できますよね」
背景と狙い
アイデア会議ができた背景と狙いについて見ていきましょう。
―― 制度を始めたきっかけは何ですか。
「当初は私一人でネタ出しをやっていましたが、ネタ切れになってしまって。どうすればネタが生まれるかと考えたときに、普段の生活の中での困りごとなどを商品で解決しようと。じゃあ、困りごととは何か。普段から、自分のセンサーを反応させるには企画を出さなきゃいけないという状態まで追い込まれる必要があると思います」
―― 毎週となると、しんどいですよね。
「最初は苦しいですが、習慣化して、どこかの時点で楽しくなります。困りごとがネタなので普通に生活していれば常にありますよね。浮かぶのは会社の会議室じゃなくて、子供と遊んでいるとき、飲んでいるとき、風呂に入っているときとか。だらだらしているときのほうがいいアイデアが浮かぶものです。『だら活』のススメですよ」
前半のまとめ
では一度ここまでをまとめておきます。
- サンコーは毎週全社員が参加するアイデア会議でヒット商品を生み出している
- 具体的には社内のネット掲示板でアイデアを共有し、改善点を提案しながら精度を高めていく
- 普段の生活で感じる困りごとから商品のアイデアが生まれる。アイデア出しを習慣化にし楽しくなる状態までもっていく
学べること
ではサンコーのアイデア会議から学べることを掘り下げていきましょう。
アイデアを生む仕組み化
サンコーのアイデア会議には 「どうやってアイデアを生み出すか」 に示唆があります。
毎週のアイデア会議では店舗の販売スタッフ、経理、役員まで約50人全員が必ず1つ以上提案し、集まるアイデアの数は年間で2000件以上とのことでした。まずはアイデアをたくさん出し、取捨選択から選んだアイデアを磨き商品化するというプロセスが全社的に運用されています。
全員が参加する制度にし、毎週という締め切りをつくることでアイデアを出さざるを得ない状況にしているのもポイントです。1人ひとりが属人的にやるのではなく、集合知を活用し会社全体での仕組みにできています。
アイデアを考えることが楽しくなる習慣化
もう1つサンコーのアイデア会議で注目したいのは、山光社長の 「最初は苦しいですが、習慣化して、どこかの時点で楽しくなります」 というコメントです。
ここにアイデアを出すことを定着化させ習慣にするヒントがあります。
ものごとができるようになるプロセスは次のような四段階で進みます。
✓ 定着への四段階
- 方法を知っている
- やろうと思えばできる
- 楽しんでやっている
- (がんばろうと思わなくても) 自然とやっている
二段階目の 「やろうと思えばできる」 は、まだ本人の中ではがんばらないといけないという状態です。どこか気持ちとして無理をして取り組んでいます。
アイデアを考えることを習慣にするためには、その先の 「楽しんでやっている」 や 「自然とやっている (やらないほうが不自然) 」 にもっていくことがポイントです。「締め切りをつくる」 と 「楽しめるような仕掛け」 の両方があるといいです。
まとめ
今回はサンコーのアイデア会議を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ アイデアを考えることが楽しくなる習慣化
- 習慣にするためには 「がんばって考えている状態」 から、「楽しんでやっている」 や 「自然とやっている (やらないほうが不自然) 」 にもっていく
- 締切をつくることでアイデアを出さざるを得ない状況にするのも手。楽しめるような仕掛けと締切設定の両方を入れよう
マーケティングレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!