投稿日 2023/04/18

インターホン返答を男性声に変える 「応答くん」 。人々が諦めていた問題に着目する商品開発

#マーケティング #商品開発 #問題設定

出典: LITHON

どんな商品が人々の心を掴むのでしょうか?

今回の着眼点は 「人々が諦めていた問題」 です。

この記事では人が欲しくなる商品の秘密に迫ります。実際に話題となった 「応答くん」 を例に、マーケティング視点から人気要因を分析し、ビジネスに活かせる学びを解説します。

✓ わかること
  • 自分の代わりに男性の声でインターホンや電話を対応する 「応答くん」 
  • 人への対応で諦めていた問題
  • 欲しくなる商品とは?

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

応答くん


出典: LITHON

ご紹介したいのは、自分の代わりに男性の声でインターホンや電話を対応する 「応答くん」 です。ボタンを押すと男性の声で応答するデバイスです。


女性でも 「応答くん」 を使えば、インターホンで男性の声で訪問者に返事をしてくれます。

応答くんは、本体のボタンを押すと 「今、忙しいんで」 「宅配ボックスに入れておいてください」 など、16種類の音声を男性の声で発する装置。インターホン越しに利用すれば、玄関先でのやり取りに伴うストレスを軽減できるという。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、EC サイトで商品を購入する人、フードデリバリーを利用する人が増えている。それに伴い、玄関先での宅配業者などとのやり取りに不安を覚える人も増加傾向にある。

ライソン (引用者注: 「応答くん」 を製造販売するメーカー) の女性社員の一人が 「インターホンで応対するとき、女性の一人暮らしだと知られたくない」 と話したのが、「応答くん」 開発のきっかけだ。

電話での利用にも対応しており、「もう電話してこないでください」 という音声のほか、玄関のチャイムを思わせるピンポン音を収録している。通話中に 「ピンポン」 と鳴らせば 「お客さんが来た」 などと言って電話を切れるわけだ。

学べること


では 「応答くん」 からマーケティング視点で学べることを降り下げていきましょう。

学びのテーマは 「お客さんが欲しくなる商品とは何か」 です。

変化する環境で起こっている事象


応答くんが生まれた背景はインターホン対応が増えたからです。

新型コロナウイルスの影響で、EC サイトで商品を購入する人やフードデリバリーを利用する人が増えました。玄関先での宅配業者やフード配達員などの不特定多数の人とのやり取りに不安を覚える人も増加傾向にあります。

生活者が諦めている問題


1人暮らしをしている女性は、訪問者に1人暮らしであることを知られたくないと感じています。しかし対応はしなければいけないので、どこか嫌な気持ちで仕方なく受け答えをしていました。インターホンや電話越しで相手に面と向かって断れない方は電話対応にストレスを感じていました。

インターホンや電話で対応する度になんとかしたいと思っていたものの、どうしようもないと生活者が解決を諦めていた問題です。

欲しくなる商品とは


応答くんは 「解決を諦めていた問題を解決する商品」 です。

諦めていた人にとってこれを使えば、「訪問者への対応が気楽にできる」 「女性の1人暮らしであることが相手にバレないで済む」 「しつこい電話勧誘もこれなら断れそう」 と問題が解決できることを自分ごととしてイメージできます。

問題が根深く、解決するのを諦めていた問題ほど解決ができそう思えれば期待が高まり、欲しいと思ってもらえます。人が欲しくなる商品とは 「諦めていた問題を解決してくれる商品」 なのです。


まとめ


今回は、インターホンや電話で対応する声を男性の声に変えられるデバイスの 「応答くん」 をご紹介し、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 人が欲しくなる商品
  • 仕方なくやっていたこと、どうしようもないと 「諦めていた問題を解決してくれる商品」 を人は欲しいと思う
  • 根深く解決を諦めていた問題への解決イメージを持てれば 「そうそう、こういうのが欲しかった」 と思ってもらえる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。