
今回のテーマはマーケティングリサーチです。
マーケティングリサーチで重要なのは 「誰に」 「何を」 「どう訊くか」 という話です。
おもしろいと思った価格調査をご紹介し、学べることを掘り下げます。
✓ わかること
- ネオマーケティングが 「バリューベースプライシングリサーチ」 の提供を開始
- 消費者の価値観の違いを反映した調査
- 調査開発の背景となった課題感
- マーケティングリサーチで重要なのは 「誰に」 「何を」 「どう訊くか」
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
バリューベースプライシングリサーチ
ネオマーケティングがバリューベースプライシングリサーチの提供を開始しました (リリースはこちら) 。
価格分析のイメージ (出典: ネオマーケティング)
バリューベースプライシングリサーチを日本語で表現すると 「価値に基づいた価格調査」 です。消費者の価値観を反映することで、従来の価格調査よりも適切な価格を知ることができます。
開発背景の課題感
以下はネオマーケティングの今回のリリースからの引用です。
これまでの価格調査では、「現実的ではない価格」 が出てしまい、活用できないケースが多くみられます。
ネオマーケティングでは、このような現状に着目し、価格を維持することで価値を出そうとすることを避けるため、消費者が感じる価値を価格換算する 「バリューベースプライシングリサーチ」 をリリースいたしました。
今までの価格調査への課題感は 「調査対象者の中に “価値をわかっていない人” が入ってしまうと、調査から出る価格水準が本来のものより低くなってしまう」 というものです。価格が過小評価されることへの問題意識です。
ネオマーケティングは独自の研究でこの問題を調査してきた経緯があります (詳細はこちら) 。
✓ 価格調査への課題感
- カテゴリーの利用経験者と未経験者では妥当だと思う価格に差が出る
- その商品やカテゴリーの価値を理解している人としない人では、適正だと思う価格は異なる
- 価値換算できない人が含まれると全体の価格感が下げる要因になってしまう
価値観を反映する価格調査
バリューベースプライシングリサーチの特徴は、消費者が感じる価値にもとづいた価格感を把握できることにあります。従来の価格調査と比べて、より正確に 「適切な価格はどのあたりか」 を把握できる調査です。
バリューベースプライシングリサーチの方法は事前に対象者に調査対象商品やカテゴリーに対する価値をアンケートで調査しておき、対象者の価値観を反映して価格を分析します。
これにより商品やカテゴリーに価値を感じている人の価格、使ったことのない人や知らない人の価格を分けられます。ひとまとめにした全体の平均価格ではなく 「価値を見出している人 / わからない人にとっての価格」 を見極められるわけです。
前半のまとめ
では一度ここまでの内容をまとめておきます。
- ネオマーケティングがバリューベースプライシングリサーチの提供開始。消費者の価値観を反映し、従来の価格調査よりも適切な価格を知ることができるのが特徴
- 従来の価格調査の課題は、価値を理解していない人が含まれることで全体の価格感が下がってしまい過小評価になること
- バリューベースプライシングリサーチは事前に調査対象者の価値観をアンケートで調査。価値を見出している人とそうではない人にとっての価格を分析できるため、より正確な適切な価格を把握できる
学べること
ではバリューベースプライシングリサーチの事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
価値観の違いが反映された価格
同じものであっても、人によって価値と思うかどうかは変わります。
ネオマーケティングのバリューベースプライシングリサーチが良いアプローチなのは、色々な人をまとめて平均として価格を出すだけではないことです。「価値をわかっている人が思う適切な価格」 と 「わかっていない人が思う価格」 を分けられる点にあります。
両者の価格感の差の情報にも示唆が得られます。
例えば価格差が200円だった場合 (価値をわかっている人のほうが200円高く評価した場合) 、この200円という情報はマーケティング施策に活用できます。具体的には 「自社商品を買ったことがない人」 や 「カテゴリー自体に馴染みがない全くの人」 から新規客を増やすために、200円分を初回割引するクーポンを渡す販促施策になります。
他にもバリューベースプライシングリサーチ結果は、価値をわかっている人の価格が把握できれば、安すぎる価格設定になってしまうことを防げます。
誰に・何を・どう訊くか
バリューベースプライシングリサーチの調査手法のポイントは 「誰の価格感を調査するか」 という調査対象者に重きを置いていることです。
マーケティングリサーチで大事なのは突き詰めると 「誰に」 「何を」 「どう訊くか」 です。5W1H で言えば Who, What, How です。
えてしてマーケティングリサーチでは 「どうやって訊くか」 に目が行きがちです。具体的な How のところでアンケートかインタビューか、質問項目はどうするかという調査設計の詳細部分です。
もちろん設計の細かいところまで詰めることは後々は重要です。しかしその前に 「誰に」 「何を」 という Who と What を決めることが大切です。Who と What の2つが前提にあっての How だからです。
今回は価格調査の事例でしたが、リサーチでは 「どう訊くか」 の前に重要なのは 「誰に」 と 「何を」 です。リサーチの背景を踏まえ、目的を達成する設計にすることが大事です。
まとめ
今回はネオマーケティングのバリューベースプライシングリサーチを取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ マーケティングリサーチの設計
- バリューベースプライシングリサーチでは、価値をわかっている人の価格感とわかっていない人の価格感が分析できる
- 価値を理解している人の価格感を把握することで、適切な価格設定が可能になり、安すぎる価格設定を防げる
- マーケティングリサーチでは 「誰に」 「何を」 という Who と What の設定が重要。それが前提となって 「どう訊くか」 の How を考えるといい
- リサーチの背景を踏まえ、目的を達成する設計にしよう
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