投稿日 2023/04/19

変わるパナ家電。お客さんへの本質的な価値を提供する方法

#マーケティング #存在意義 #価値提案

出典: Panasonic

お客さんにとっての本質的な価値とは何か?

これをテーマに今回の記事では、商品の存在意義を明確にし、生活者の隠されたニーズに寄り添う方法をパナソニックの事例から解説します。相手の文脈に沿った本質的な価値を提案し、商品の魅力を最大化させましょう。


✓ わかること
  • 変わるパナソニックの家電
  • 生活の豊かさを再定義し、デザインに反映
  • お客さんへの本質的な価値を提供する方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

変わるパナ家電


パナソニックは調理機器や洗濯機、掃除機、美容機器といった様々な家電製品を幅広く展開しています。

そんなパナソニックが生活の豊かさを再定義し、それに基づいて商品のコンセプトやデザインを変えているとのとのことです (参考: 日経クロストレンド 2023.3.3) 。

パナソニックの調理機器の 「ビストロ」 と、ヘアドライヤーの 「ナノケア」 で具体的に見てみましょう。

ビストロ: 調理家電の新境地


出典: Panasonic

2023年2月にパナソニックは、調理家電ブランド 「ビストロ」 の自動調理鍋 「オートクッカー」 を発売しました。

オートクッカーは炊飯器でもはなく電子レンジでもないという一線を画す新しい調理家電で、業界初の圧力調理とかきまぜ機能を両立する調理家電です。オートクッカーでは、パナソニックはこれまでの 「簡単で便利な調理家電」 から、最上級の家庭料理ができる 「体験も含めたおいしさの提供」 という新たな価値を提案しました。

ナノケア: 美容家電の進化


次はヘアドライヤーの 「ナノケア」 です。

出典: Panasonic

ナノケアはナノイー技術によって髪を乾かすだけでなく、髪や頭皮のケアもできるパナソニックの人気ヘアドライヤーシリーズです。

最新のナノケアではデザインが大幅に変更され、より生活者の暮らしになじむ形状となりました。パナソニックは価値提案を 「外見の美しさ」 から 「内面や心の美しさ」 へとシフトさせました。

生活の豊かさを再定義


ここまで見てきたパナソニックの取り組みで興味深いのは、「生活の豊かさとは何か」 まで立ち返って再定義し商品デザインに反映させていることです。

こうした商品が登場した背景には、開発に対する考え方を大きく見直したことがある。生活の豊かさとは何かを追求し、生活者に対する提供価値を変えた。生活の豊かさの再定義を行ったのだ。

 (中略) 

未来の生活者はどんな暮らし方をしているのか。議論を重ねる中で、生活の豊かさを再定義した姿が見えてきた。食の分野なら 「簡単で便利な調理家電」 から 「体験も含めたおいしさの提供」 へ、美容の分野では 「外見の美しさ」 から 「内面や心の美しさ」 を、家事の分野では 「労働の軽減」 から 「すがすがしい家事体験」 へ提供価値を変えるようにした。

学べること


ではパナソニックの事例から学べることを掘り下げていきましょう。

本質的な価値の見極め


パナソニックから学べるのは、商品の存在意義に立ち戻り、想定するお客さんにとっての本質的な価値を見出す重要性です。例えば 「生活者にとっての豊かさ」 とは何かです。

見出す深さは、生活者本人も深く意識したり、言語化していないレベルまでです。パナソニックの場合は 「豊かな生活」 という価値を生み出す機能やデザインを商品に反映させました。

成功するマーケティング


一般化すると、成功するマーケティングプロセスは以下の4つのステップから成り立ちます。

✓ 成功するマーケティング
  1. 向き合うお客さんを決める
  2. お客さんが持っている価値観、奥にある望みや不満 (顧客インサイト) を理解する
  3. 相手 (お客さん) の文脈に沿ってカテゴリーや商品を再解釈し、提供価値の意味づけをする
  4. お客さんの理解に基づいた価値を提案する

この4つのステップに従ってマーケティング戦略や施策を立てることで、お客さんに喜ばれる商品やサービスを提供できます。

今日からできるアクション


今日からマーケターができるアクションは以下の通りです。

💡 ターゲット顧客の明確化:
具体的なターゲット顧客を設定し、自分たちか向き合うお客さんを決めます。これが最初にやることになります。

💡 お客さんを理解する:
アンケートやインタビュー、SNS の分析など、さまざまな方法でお客さんがどのような状況や商品・サービスを利用しているかを把握し、お客さんの持つ価値観、奥にある望みや不満まで理解します。

💡 価値提案の策定:
お客さんの理解に基づいたカテゴリーや商品の再解釈から価値提案を作成し、それを広告やプロモーション活動に反映させます。具体的なメリットを伝えることで、お客さんの購買意欲を高めることができます。

💡 実践と評価:
マーケティング活動を実践し効果を評価します。評価結果をもとに活動の改善や最適化を行い効果を最大化しましょう。

💡 チーム内での情報共有:
マーケティングチーム内での情報共有や連携を強化します。定期的なミーティングや報告を行い、組織全体での学びや成果を共有していくことが大切です。

これらのアクションを実践しマーケティングを展開していくことで、お客さんに喜ばれる商品やサービスを提供し成功へとつながります。


まとめ


今回はパナソニックの取り組みをご紹介し、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ お客さんへの本質的な価値を提供する方法
  • お客さんの持つ本質的な価値観を把握し、商品の存在意義を明確にする。そのためには生活者が意識していないレベルまで深く掘り下げて理解する
  • お客さんを決めて理解し、相手の文脈に沿ったカテゴリーや商品を再解釈する。提供価値の意味づけをし、お客さんの理解に基づいた価値を提案しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。