投稿日 2024/01/13

足ぬっくエア。潜在的な問題からバーニングニーズを生む成功への変換術

#マーケティング #バーニングニーズ #リプレイス

ビジネスを成功させるカギは、お客さんがまだ気づいていないものの、実は本質的な課題を掘り起こせるかです。

今回は、未発見の問題に着目し、それをお客さんに切実なニーズとして認識してもらうことで、最終的には自社商品がいかに選ばれるかという内容で解説します。

踏むヒーター 「足ぬっくエア」 


出典: Makuake

日中も気温が低いままの冬は、足元を温めるグッズが便利ですよね。

足を温めてくれる暖房機器でご紹介したいのは 「Qurra (クルラ) 足元ヒーター 足ぬっくエア」 です。

特徴は、足を台座に置くと、つま先のほうからすぐに温かい風が穏やかに出てくることです。足元だけで電源のオンとオフをコントロールできます。少し暑いと感じたら踏むのをやめるだけです。

二種類のモードがあり、「踏んだ時だけ温風モード」 と 「ずっと温風モード」 が選べるようになっています。

既存の製品の 「不」 


足ぬっくエアが興味深いのは、従来の足元用のヒーター器具にあった 「不 (不便なところや使い勝手の不満点) 」 を解消していることです。

具体的には、次のようなものです。

  • 運搬・設置・収納の問題: 大きすぎたり、重さ、形状が原因で、持ち運びや設置、収納がしにくい

  • ホットカーペットの不便さ: 床置きタイプのホットカーペットは、温度が上がるまで時間がかかりすぐに温かくならない。床の温度に左右される

  • コードが長いと収納時に不便: 収納のためにコードが短いほうがいい

  • 目立ちすぎるデザイン: 特にオフィスで使う足元暖房器具は、デザインが目立ちすぎないほうがいい。オフィス環境に馴染みにくいものは自分の机の足元には置きにくい

  • 眠くなってしまう: 一般的な暖房器具は足元以外の空間も広く暖めてしまう。日中に眠くなったり、温かすぎで気分がぼうっとなってしまう

不の解消


これらの不を 「足ぬっくエア」 は解決しようとしてます。

  • 運搬・設置・収納の問題の解決: サイズは 309×108×410 ミリ、重量は約 1.6kg となっており、サイズと重量をコンパクトにし、運搬や設置、収納がしやすい設計にした

  • ホットカーペットタイプの不便さの解消: 足を置くだけで温風が出るため、床の温度に左右されることなく、すぐに暖かさを感じられる

  • コードの長さへの対処: 温風を吹き出すユニットや切り替えスイッチの構造をコンパクトかつ頑丈にし、電源ケーブルの収納場所を確保。ただし、収納のためとはいえ 「コードが短いのが残念」 という声が利用者からあったことから、今後の製品開発の参考にするとのこと

  • 目立ちすぎないデザイン: 白を基調としたデザインで、シンプルで目立たないデザインを採用。自宅やオフィス環境でも馴染みやすいものにした

  • 眠くなる問題の解決: 足元に温かい風を送り、足元だけを温める設計にした。暖房により空間全体や身体全体を温めすぎることでの眠気を引き起こす問題を解決

1つ1つは小さい 「不」 でも、複数のことが合わさったり、1つでも積もり積もれば無視できないものになります。「足ぬっくエア」 は細かなニーズに対応しています。


学べること


では 「足ぬっくエア」 から、学べることを掘り下げていきましょう。

人々が気づいていない問題の発見


ビジネスで成功をするためには、まだ人々が認識していない問題を発見することが大切です。

見出した問題が既存の商品では解決されない場合、そこにはビジネスチャンスがあります。

今回の 「足ぬっくエア」 のケースでは、オフィスでの従来の足元暖房器具の不便さや使いにくさ、不満という問題を見つけ出しました。

課題感の醸成 (問題意識の共有) 


多くの人がまだ気づいていない問題を発掘できたら、次に考えることは、いかに課題感として持ってもらうかです。

今までは問題として明確に意識していなくても、そうだと認識し気づかされることで、お客さん自身が解決したいと思うようになるわけです。お客さんにとっての 「バーニングニーズ」 、つまり切実に解決したいと感じるニーズを生み出すことにつながります。

解決策の提案


お客さんに課題感を持ってもらい切実なバーニングニーズにできた段階で、ここではじめて解決策として自社商品を提示します。

逆に言えば、商品を見せる前には 「下地づくり」 が必要だということです。お客さんにとって唐突感のないような文脈やストーリーをつくることが大事なのです。

学びの一般化


今回の事例から得られる学びを一般化すると、お客さんがまだ気づいていない問題を発見し、それがお客さんにとってどれほど大事なことであるかに気づいてもらう重要性です。

そして、ハッとさせられた課題感と、なんとかしたいというバーニングニーズが生まれたところで、解決策 (商品) を提供することにより、新しい選択肢として自分たちがお客さんの頭の中に入りこめます。

自社商品に他にはない価値があれば、お客さんから他社ではなく自分たちが選ばれるのです。


まとめ


今回は、足を温めてくれる暖房機器の 「Qurra 足元ヒーター 足ぬっくエア」 をご紹介し、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • 未認識の問題発見: ビジネス成功のカギは、人々がまだ気づいていない問題 (潜在的な本質問題) を見つけること。これが新たなビジネスチャンスを生む

  • 課題感の共有と醸成: 発見した問題を共有し、お客さんにとっての 「バーニングニーズ (切実な欲求) 」 として醸成する

  • 解決策の提示: 今すぐ解決したいという緊急かつ重要な課題感を持ったお客さんに対し、自社商品を解決策として提案する。他にはない価値があることで、お客さんから他社ではなく自社が選ばれる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。