今回のキーワードは 「カスタマーサクセス」 です。
自社の商品やサービスが、お客さんの日常生活やライフスタイル、ビジネスにどう影響を与えているのでしょうか? 「お客さんの成功」 をどのように支援しているでしょうか?
缶コーヒーの事例から、自社商品の価値を再定義し、カスタマーサクセスを実現する方法について掘り下げます。
ボスカフェイン
出典: サイト
売上が好調
缶コーヒーの BOSS シリーズの 「ボスカフェイン」 の売上が好調です。2023年3月に発売され、発売2ヶ月で販売本数は2000万本を超えました (参考情報) 。
発売されて半年後の9月には、カフェイン含有量をさらに強調したパッケージにリニューアルされました。パッケージではカフェイン 200mg とカフェインを多く摂取できることを打ち出しています。
サントリー食品インターナショナルのリリースによれば、今まで缶コーヒーをあまり飲んでいなかった 20 ~ 30代の若者をメインとした新しい顧客層に人気とのことです (参考情報) 。
なぜボスカフェインは 「缶コーヒーをあまり飲まない若い人」 をターゲット顧客にし、好調な売れ行きを示しているのでしょうか?
開発の背景から順を追って見ていきましょう。
開発の背景
ボスカフェインの開発背景は、生活者のカフェインへの消費トレンドでした。そのときの気分、シーンや時間帯などに応じて、意識的にカフェイン量をコントロールする動きが見受けられたからです。
たとえば、夕方以降や体を休めたいときにはカフェインを含まないデカフェコーヒー、ルイボスティーや麦茶などのノンカフェイン飲料を好み、一方で気持ちを切り替えたいときにはコーヒーや緑茶などカフェイン入り飲料を選ぶなど、カフェインの含有量によって 「飲み分け」 を行っているという飲用ニーズです。
カフェインを推した意図
ボスカフェインの開発チームが注目したのは、カフェインを取るために 「コーヒーを "使う" 」 と捉えている消費者が一定数いることでした。彼ら・彼女らはコーヒーを飲むことを、カフェイン摂取のためのあくまで手段と位置づけているわけです。
そこで新たに開発する缶コーヒー (後のボスカフェイン) では、「カフェイン摂取量のコントロールをしたい人が選ぶコーヒー」 というポジショニングを狙い、カフェイン含有量が通常の缶コーヒーの 70 ~ 160mg よりも多いカフェインが 200mg 入っていることを商品の特徴として開発されたのです。パッケージでは 「コーヒーでカフェイン 200mg」 と大きく表示し、ターゲット層に対して訴求を強めました。
学べること
では、ボスカフェインの事例から学べることを一般化してみましょう。
キーワードを 「カスタマーサクセス」 として、この切り口で学びが得られます。
自社商品やサービスは、お客さんの行動や習慣などのライフスタイル、あるいは BtoB 事業ならビジネスシーンにおいて、お客さんの望むこと (カスタマーサクセス) にどう貢献するかを見極めることが重要です。
ボスカフェインのカスタマーサクセス
ボスカフェインの事例では、ボスカフェインは消費者がシチュエーションに合わせてカフェインを適切に取れ、頭をすっきりさせたり気分をより良くしたいという望みを叶えるような商品を目指しました。
自社商品を 「お客さんの成功」 、つまりカスタマーサクセスのためのツールや手段と捉え直し、提供価値を定義し、商品を使ってもらった先のカスタマーサクセスを実現することを商品の存在意義としたわけです。
提供価値からのカスタマーサクセスへの貢献
ボスカフェインの事例が教えてくれるのは、自分たちの商品・サービスは、お客さんの何を叶えるものなのかという視点です。
商品の意味合いを機能や性能だけから見出すのではなく、お客さんの生活やビジネスの状況において、お客さんの文脈でどのような価値をもたらすのか、どんな成功に貢献するかという観点から見直すことが重要です。
商品のもたらす価値をより高い次元に立って位置づけ、カスタマーサクセスを実現することが大事なのです。
まとめ
今回は缶コーヒーの 「ボスカフェイン」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 自社商品やサービスは、お客さんの行動や習慣などのライフスタイル、あるいは BtoB 事業ならビジネスシーンにおいて、カスタマーサクセス (お客さんの成功) にどう貢献するかを見極めることが大事
- 自分たちの商品・サービスは、お客さんの何を叶えるものなのか。自社商品をカスタマーサクセスのための手段と位置づけることで、商品の存在意義を高い次元から捉え直すことにつながる
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