投稿日 2024/05/23

日本ゲートウェイ (楡周平) 。さまざまな問題を一網打尽にするアイデアを生む方法

#マーケティング #アイデア創出 #本

ビジネスで筋の良いアイデアはいくつもの問題を解決し、それはあたかも 「問題と解決策をつなげるハブ」 のような存在になります。

今回は、本を1冊ご紹介し、1つのアイデアがいかにして多くの課題を同時に対処できるのか、その秘密を紐解きます。

取り上げる本のタイトルは 日本ゲートウェイ (楡周平) です。


本書の概要



まず最初に、この本の概要を簡単に共有します。

書籍 「日本ゲートウェイ (楡周平) 」 はビジネス小説で、物語の舞台は、倒産寸前にまで追い込まれた老舗百貨店です。

明治期に日本橋で創業した老舗 「マルトミ百貨店」 は、コロナ禍でメインバンクから追加融資を止められる最後通告を受け、一気に倒産の危機に瀕しました。

小説ではストーリーが進むに連れ、百貨店や小売業界だけではなく、苦況の日本を救うような壮大なビジネスプランができていきます。


筋の良いアイデアとは


この本から学べるのは、「筋の良いアイデアとはどういうものか」 です。

一言で抽象化すると、1つのアイデアでいろいろな問題を一網打尽に解決できるものが筋の良いアイデアです。

ネタバレになりすぎない程度で書くと、小説での倒産寸前に追い込まれた老舗百貨店の起死回生のビジネスアイデアは、次のような画期的なものでした。

  • 百貨店のビル構造を建て替える必要はない
  • 業態転換を図りビジネスモデルを新たにつくれる
  • 地方の産業を活性化し雇用を促進する
  • アフターコロナで回復するであろうインバウンド (訪日外国人観光客) の需要を取り込める
  • 資金を出資してくれる会社にもメリットがある
  • 将来的には海外展開でき、日本を再生させるようなビジネスプランになる可能性を秘める

小説の中で生まれたアイデアは、既存の百貨店ビジネスが限界を迎える中で、新しいビジネスモデルによって再出発できるだけではなく、小売業界の枠を超えてのビジネスの波及効果が期待できる内容でした。

百貨店という1つの小売業界の問題解決だけではなく、地方活性化や日本全体、さらには海外進出を実現できればグローバルにも展開できるアイデアです。


アイデアの考え方


では、小説 「日本ゲートウェイ」 から学べることを汎用化して捉えていきましょう。

目的 - 勝利条件 - 具体アイデア化


アイデアを考える順番に示唆が得られます。

アイデアの生み出し方としてはじめにアイデアの成功条件 (勝利条件) をつくっておき、その後で具体的なアイデアを考えるというアプローチです。

具体的には次の3つのステップで進めます。

  1. 目的を明確にする
  2. アイデアの 「勝利条件」 を定める (目的を達成する条件) 
  3. 勝利条件を満たすようなアイデアを具体化する

アイデアの勝利条件


2つ目の 「勝利条件」 というのは、小説 「日本ゲートウェイ」 に当てはめれば、アイデアからの一網打尽となる波及効果です。

もう一度の再掲になりますが、以下のことが老舗百貨店のマルトミ百貨店が倒産せずに事業を存続させるための勝利条件と見ることができます。

  • 百貨店のビル構造を建て替える必要はない
  • 業態転換を図りビジネスモデルを新たにつくれる
  • 地方の産業を活性化し雇用を促進する
  • アフターコロナで回復するであろうインバウンド (訪日外国人観光客) の需要を取り込める
  • 資金を出資してくれる会社にもメリットがある
  • 将来的には海外展開でき、日本を再生させるようなビジネスプランになる可能性を秘める

アイデアの勝利条件を明確にする


学びとして一般化して捉えると、アイデアを考えるときには、いきなり具体のアイデアを考えないことが大事だということです。

具体的なアイデアを考え出す前に重要なのは、

  • そもそものアイデアを出す目的は何か
  • 目的を達成する条件 (アイデアの勝利条件) は何か

目的という向かう先を明確にし、何が達成できればゴールに到達できるかという勝利条件を決めるのです。この2つをしっかりと言語化してから、はじめて具体的なアイデアを探し考えていくといいでしょう。


まとめ


今回は小説 日本ゲートウェイ (楡周平) を入口に、アイデアのつくり方を考察しました。

最後にポイントとして、アイデアを考える順番です。

  1. 目的を明確にする
  2. アイデアの 「勝利条件」 を定める (目的を達成する条件) 
  3. 勝利条件を満たすようなアイデアを具体化する



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。