#マーケティング #顧客理解 #選ばれる理由
あなたは 「マーケティング」 と聞いて、何を想像しますか?
広告を出す、SNS でバズらせる、ホームページをリニューアルする。そんなイメージが浮かんだ方もいらっしゃるかもしれません。
「マーケティングは、自分には関係ない」 「マーケティングはうちの会社には不要」 と思っている方に、今回の内容はぜひ読んでいただきたいです。
マーケティングって、うちには関係ない?
マーケティングと聞くと、広告や SNS 運用、HP リニューアル、MA (マーケティングオートメーション) ツールなど、特定の手段をイメージする方は少なくありません。
また、マーケティングの話が出てくると、「横文字やアルファベットの略語が多くて、難しそう」 と感じるのは無理はありません。
例えば、「DX (Digital Transformation) 」 という文脈で考えてみましょう。
DX の本質には、マーケティングの本質とも共通点があります。
DX は単なるデジタル化ではありません。デジタル化だけでは厳密には DX ではなく、デジタイゼーションです。デジタルを活用して社内プロセスを効率化し、最終的にはお客さんへの提供価値を向上させることが DX の本質です。
マーケティングで重要なのは、「誰に」 「何を (どんな価値を) 」 「どうやって届けるか」 ですが、DX も結局は 「誰に」 「何を」 「届けるか」 が決まらないと、ただのツールの導入で終わってしまいます。
営業が足で稼ぐ時代から、デジタルでお客さんとつながる今だからこそ、技術部門や管理部門も含めた全員が 「マーケティング視点」 を持つことが大事になるのです。
そもそもマーケティングとは何か
マーケティングとは何かの話に入る前に、よくあるマーケティングの落とし穴からお伝えします。
「手段」 から入る落とし穴
広告費をかけたのに反応がない、HP を外注でリニューアルしたのにアクセスが増えない、マーケティング活動を効率化する MA ツールを導入したけど使いこなせない…。
こうした問題が起こる原因は、いきなり 「手段」 から入ってしまっていることにあります。手段からはじめる前に、そもそもマーケティングとは何かに立ち返ることが大切です。
マーケティングの本質
マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 です。
お客さんに選ばれるとは、商品を買ってもらえる、使ってもらえる、来店してくれる、指名されることです。こうしたことへの 「選ばれる理由」 をつくり、商品やサービスがお客さんから選ばれ続けることによって、商品は生き残っていけます。ひいては自分たちのビジネスも存続できます。
ここで大事なのは、選ぶという行為の主体となるのはお客さんであり、選ぶ決定権は常にお客さんの側にあるということです。だからこそ、マーケティングの出発点は 「お客さんの立場になること」 なのです。
ツールや広告は、あくまで 「選ばれる理由」 をお客さんに届けるための手段にすぎません。この順番を間違えると、どれだけ良いツールを導入しても成果にはつながりにくいのです。
マーケティングが機能すると、どんないいことがある?
では、マーケティングが機能しうまく回りはじめると、ビジネスにどんな変化が起こるのでしょうか。
ここでは 3 つの視点で整理をしておきましょう。
1 つ目は、「運でたまたま売れた」 から 「狙って売れる」 に変わります。
お客さんが何を求めているかを理解し、自社の強みとかけ合わせて 「選ばれる理由」 を明確にできると、売上が偶然ではなく意図した結果として生まれるようになります。「なぜか売れた」 ではなく、「こういう理由で売れた」 とわかる状態になるので、次の手が打ちやすくなります。
2 つ目は、営業が疲弊しなくなるという変化が起こります。
これぞという武器、つまり 「選ばれる理由」 を持って営業できるようになるからです。お客さんのことを理解できていて、相手に響く価値がはっきりしているので、手当たり次第にアプローチする必要がなくなります。
営業担当者が自信を持って提案できる状態は、チーム全体の士気向上にもつながります。
3 つ目のマーケティングが機能することでの恩恵は、お客さんがファンのようになってくれ、社内を説得してくれたり自社製品の普及役を自ら買ってくれることです。さらには新しいお客さんを紹介してくれることもあります。
自分たちがお客さんから選ばれる理由が明確で、それがしっかりお客さんに伝わっている会社には、お客さんがファンとしてついてくれます。新規のお客さんを広告だけに頼らなくても、信頼の連鎖でビジネスが広がっていくのです。
なぜ、あの会社はお客さんから選ばれる?
マーケティングの本質は 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動」 でした。ここでは、実際に 「選ばれる理由」 をつくっている事例を見てみましょう。
ある BtoB 製品メーカーの事例
ある製品メーカー (弊社がコンサルティングで支援している企業) の話です。そのメーカーは、お客さんである顧客企業が 「とにかく安い製品」 を欲しがっているとばかり思っていました。
ところが、あらためて顧客企業の担当者や意思決定者のところにうかがい、じっくりと話を聞いてみると、お客さんが本当に求めていたことは違いました。それは 「絶対に生産ラインを止めない信頼」 でした。
この製品メーカーには、非効率だとわかっていても検品を 3 回やるなど、製品品質の維持と向上への愚直な文化がありました。
また、製品を納品した後の顧客企業へのフォローも手厚く、お客さんに 「来てほしい」 と言われなくても定期的に足を運び、担当者との関係を築いていました。いざというときには早急に駆けつける、そんな姿勢を貫いていたのです。
製品メーカーの社内ではこれらは 「当たり前のこと」 と思われていましたが、実は競合他社はそこまではやっていませんでした。こうした泥臭い姿勢と実行を顧客企業は高く評価し、信頼していたのです。
顧客と自社の強みを結びつける
この製品メーカーの例は示唆に富みます。
お客さんの望み (= 生産ラインを止めたくない) と、自分たちの譲れないこだわり (= 検品 3 回や徹底したアフターフォロー) がかみ合った瞬間、「だから御社じゃなきゃダメなんです」 という強い選ばれる理由が生まれます。
この事例が教えてくれるのは、マーケティングの役割です。「お客さんが本当に求めているもの」 と 「自社の強み」 をかけ合わせることが、マーケティングが果たすべきことだということです。
マーケティングのはじめ方
マーケティングは 「専門部署の人」 や 「センスがある人」 だけがやるものではありません。企業活動においてあらゆる人がやれる、もっと言えばやってほしい活動です。
では、このパートでは 「マーケティングのはじめ方」 について見ていきましょう。
ツールを導入する、広告や SNS を始める、HP をリニューアルする。これらは大事な打ち手ですが、はじめの一歩ではありません。
マーケティングは 「お客さんを知ること」 からはじまります。
[ステップ 1] お客さんのことを知る
でも難しく考えなくて大丈夫です。まずは次のうち 1 つだけでいいので、ぜひやってみてください。
- 一番長く取引してくれているお客さん 3 社に 「なぜうちと取引してくれてるんですか?」 と率直に訊いてみる
- 営業の商談に同行させてもらい、お客さんに直接会いに行く
- 問い合わせメールやお客様窓口の記録、営業担当者の日報、SNS のコメントなどのお客さんからの情報を宝物だと思って読み返してみる
お客さんに会いに行ったり、すでに社内にある情報の中にも、お客さんの声は眠っています。特別なツールがなくても、マーケティングのはじめの一歩は踏み出せるのです。
[ステップ 2] 自分たちの 「実はすごいところ」 を知る
次のステップでは、今度は自分たちのことを理解します。
自分たちでは 「当たり前」 と思っていることでも、外から見たら 「すごい」 ことは山ほどあります。
- 社長や創業者に 「なんでこの会社を始めたんですか?」 と訊いてみる (飲み会や社内懇親会などの場でもいいかもしれません)
- 現場で一番長く働いているベテラン従業員に 「仕事で一番こだわっていることは何ですか?」 と訊いてみる
- 製品が新発売されたときのニュースリリースがあれば読み返してみる。そこには製品に込めた想いが書かれているはずです
先ほどの製品メーカーの事例でも、「検品 3 回」 と 「アフターフォロー」 は社内では当たり前でしたが、お客さんや競合から見ると大きな強みでした。
自社の 「当たり前」 を掘り起こし、強みとして捉えられないかを見出すことがポイントです。
[ステップ 3] お客さんと自社の強みを結びつける
ステップ 1 で見えてきた 「お客さんが本当に困っていることや望み」 と、ステップ 2 で見つけた 「自分たちの実はすごいところ」 。この 2 つをつなげた時が、あなたの会社の 「選ばれる理由」 が見つかる瞬間です。
顧客文脈 (顧客理解) に、自社の文脈 (強み) を結びつける、それによってお客さんと自社商品をつなげる、まるで 「仲人」 のような役割を果たせるのが、マーケティングの一番おもしろいところです。
マーケティングとは 「終わりなき旅」 である
マーケティングとは、お客さんを知り、自分たちを知り、「選ばれる理由」 をつくること。これがマーケティングの本質です。
マーケティングをやっていく上で忘れないようにしたいことがあります。それは、「お客さんの理解にはどこまでいっても終わりがない」 ということです。
生活者環境やビジネスの世界は常に変わっています。その環境に身を置く生活者や企業も影響を受けて変わります。
仮に今の時点でお客さんのことをよく理解できたとしても、その直後から少しずつでも確実にお客さんは変化していきます。よって、顧客理解ができたからといってそこでやめてしまうと、変わり続ける 「お客さんの行動や心理の実態」 と 「自分たちの顧客への認識」 のギャップが生まれ、かい離していくのです。やがては 「浦島太郎状態」 になります。
マーケティングは顧客理解にはじまりますが、顧客理解は決して完璧になることはありません。だからこそ、お客さんの理解は続いていくのです。
この意味において、マーケティングとは 「終わりなき顧客理解の旅」 のようなものです。旅に終わりはありませんが、その旅こそが、お客さんから選ばれ続ける理由をつくり続けます。
市場の環境も、お客さんの価値観や心理、振る舞い、困りごと、ニーズも変わり続けます。
まずは、誰か一人のお客さんに話を聞き、顧客理解からマーケティングをはじめてみてください。
まとめ
今回は、マーケティングとは何かをあらためて言語化しました。
最後にポイントをまとめておきます。
- マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 。MA ツールや広告などの 「手段」 からではなく 「誰に・どんな価値を届けるか」 が大事
- 選ぶという行為の主体となるのはお客さん。マーケティングの出発点は 「お客さんの立場」 を深く理解すること (= 顧客理解) にある
- マーケティングが機能すると、運ではなく狙って売れるようになり、営業が楽になる。さらに、お客さんがファンとして社内で自社を推奨してくれたり、紹介してくれる好循環が生まれる
- 自分たちがお客さんからの 「選ばれる理由」 を見つけるポイントは、 「お客さんが本当に求めているもの」 と 「自社の強みやこだわり」 を深く理解し、この 2 つを結びつけること
- マーケティングは 「終わりなき顧客理解の旅」 。お客さんは変わり続けるので顧客理解に終わりはない。まずは一人のお客さんに 「なぜうちを選んでくれているのか」 を聞くことからはじめてみよう