今回は書評です。
ご紹介する本は、黒字化せよ! - 出向社長最後の勝負 です。
この記事でわかること
- 本書の概要
- 負け組織の特徴
- 人を動かす
- 行動指針の浸透
ぜひ記事を最後まで読んで頂き、良ければこの本も手に取ってみてください。
この本に書かれていること
ビジネス小説です。主人公が赤字の子会社メーカーに社長として出向させられるところから、ストーリーは始まります。
当初は主人公の意に添わない人事でしたが、次第に自分ごと化し社長としての自覚と強い使命感を抱きます。従業員や経営陣を変え、組織と社会全体を変え、黒字を目指していく会社再建のストーリーです。
赤字から黒字に変えるために、既存の経営資源 (人, モノ, 金) で、採用や大型投資をせずに赤字体質の企業を変えていきます。
以下は、この本の内容紹介からの引用です。
突然、万年赤字子会社に出向を命じられた主人公が、社員のやる気に火を点け、たった10カ月で黒字化に成功したという実話をベースにした物語。
社員の仕事へのコミットメントを引き出す方法や、みんなが燃える目標の作り方など、社員の会社への帰属意識が希薄になるなかで多くの会社が抱える問題への解決策を示す。
読んでの学び
この本を読んで考えさせられたこと・学んだことは、次の3つです。
読んでの学び
- 負け組織の特徴
- 人を動かす
- 行動指針を文化にする
では、それぞれを順番にご説明します。
[学び 1] 負け組織の特徴
主人公が社長として就任した当初、出向先の社員や雰囲気には負け組織の空気が蔓延していました。
この本から考えさせられた、赤字が常態化するような負け組織の特徴は次の五つです。
負け組織の特徴
- 危機感がない
- 自ら行動する主体性が低い
- 他責にする
- 顧客不在の内向き姿勢
- 従業員の目や表情が死んでいる
赤字を垂れ流し続けているという、このままいけば企業の存続が危うい状況にもかかわらず、従業員や経営陣にも危機感がありません。
従業員はただ言われるがままにしか動かず、赤字の原因を聞いても他部署のことばかりを指摘し、自分たちに原因があるとは考えません。
職場での普段の会話や会議での議論には、顧客よりも自分たちの論理や都合がばかりです。顧客不在の内向き姿勢です。
従業員には何をやっても変わらないという諦めの意識が蔓延し、目や表情が死んでいて活気がない組織になってしまっています。
[学び 2] 人を動かす
主人公が社長として就任してからは、経営陣と従業員に一貫したメッセージを送り続けました。
会社の現状、トップとして自分が考えていること、どんな会社を目指したいのかを語り続け、良いストロークを打ち続けたのです。
主人公のやり方で特徴的なのは、ただ上から頭ごなしに言い続けるのではなく、トップ自らが現場に足を運ぶ姿勢です。私はここに、自分から降りていくという 「トップダウン」 を見ました。
現場での対話や従業員との面談を通して、彼ら・彼女らに重要感を持ってもらうよう働きかけ続けました。主人公は毎日現場を歩き、少しずつ現場との精神的距離を縮めたのです。
こうした社長の一貫する姿勢と行動から、徐々に人々は心を開き、変革に向けて1歩ずつ進んでいきます。
[学び 3] 行動指針を文化にする
主人公は、会社の行動指針として三つを掲げました。
行動指針
- オレがやる
- 協力する
- 明るくする
主人公はこの三つの行動指針を常に言い続け、例えば会議の場で自然に使われるなど、皆が自然と口にするところまで浸透させました。
行動指針を飾っておくものではなく、実務でされるレベルを目指しました。流行語として一過性のあるものではなく、文化としての定着です。行動指針の意味を理解してもらい、現場で一人ひとりが体現することによって行動指針は習慣や文化として根付いていきました。
まとめ
今回は、書籍 黒字化せよ! - 出向社長最後の勝負 をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
ビジネス小説のストーリー
主人公は赤字の子会社メーカーに社長として出向。意に添わない人事だったが、次第に自分ごと化し社長としての自覚と強い使命感を抱く。従業員や経営陣を変え、組織と社会全体を変え、黒字を目指していく会社再建のストーリー。
読んでの学び
- 負け組織の特徴 (危機感がない, 主体性がない, 他責, 顧客不在の内向き姿勢, 目が死んでいる)
- 人を動かす (現場との対話から重要感を与える)
- 行動指針を文化にする (わかりやすい行動指針を提示し、理解と体現から文化として定着へ)
黒字化せよ! - 出向社長最後の勝負 (猿谷雅治, 五十嵐英憲)