投稿日 2021/08/24

ユニクロプラスの開発手法に学ぶ、上級者を開発パートナーにするメリットとデメリット


今回は商品開発です。ユニクロを取り上げます。

この記事でわかること


  • ユニクロの新ブランド 「ユニクロプラス」
  • 注目したいトップアスリートとの共同開発の手法
  • 上級者を開発パートナーにするメリットとデメリット

ユニクロプラスの商品開発の方法を分析し、商品開発やマーケティングに学べることを解説しています。

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品やサービスの開発の仕事に関わっている方です。お客やユーザーからの声、顧客ニーズを商品アイデアに反映するためのヒントになればと思います。

他にはユニクロプラスの開発手法のポイントを知りたいと思った方にも何か参考になれば嬉しいです。


ユニクロの新ブランド 「ユニクロプラス」


ユニクロプラスは、2021年6月から世界で販売開始されました (公式サイトはこちら) 。

スウェーデンのトップアスリートの選手と共同開発した新しいブランドです。トップアスリートにも愛用してもらえる高い機能性と、環境への配慮の両立を実現しています。

ユニクロプラスの公式サイトには、次のように書かれています。

美意識ある合理性をもち、シンプルで上質、そして細部への工夫に満ちていること。

ウエアによっては、リサイクル素材や超一流アスリートが認める高機能素材などを落とし込んで。そこにはスポーツと日常の境界線は存在しない。その世界観はまさに LifeWear だ。

ユニクロは LifeWear を通じて服を進化させていく。よりシンプルに、機能的に、美しく。誰もが自分らしく、豊かに暮らしていけることを願って。

 (引用: ユニクロプラス)

以下の動画は、ユニクロプラスのプロモーション映像です。





トップアスリートとの共同開発


ユニクロプラスで興味深いと思ったのが、トップアスリートとの共同開発です。アスリートからの細かい要望や声を反映したとのことです。

以下は日経 MJ の記事からの引用です。

ユニクロプラスの商品群は、細部にまでアスリートの意見を多く反映させている。運動時に体の発汗場所や量を検証し、脇や腰回りといった汗をかきやすい部分の通気性を効果的に高めるなどの研究を重ねた。

ユニクロの商品開発の本拠地、有明本部 (東京・江東) に新設した 「服の基礎研究所」が主導的な役割を果たした。

 (引用: 日経 MJ 2021.7.23)

ここからは、ユニクロプラスの開発手法の意味合いと、商品・サービス開発に学べることを考えていきます。具体的には上級者のニーズを反映するメリットとデメリット (注意点) についてです。


上級者を開発パートナーにするメリット



上級者とは、ユニクロプラスの例では共同開発者のトップアスリートです。

上級者の特徴は服に求める機能レベルが高いことです。アスリートなので激しく体を動かしても服が動作の妨げにならず、また発汗のドライ機能も高い水準が要求します。

もう1つ上級者の意味があり、求めるニーズを的確に言葉で説明できることです。これは開発パートナーとしての大事な要素です。

というのは、いくら要求レベルが高くても開発者 (今回の例ではユニクロ) に伝えられなければ、ニーズを満たす服は作ることができません。

以上のような 「求めるニーズレベルが高い」 「要求を言語化できる」 という上級者がパートナーでいれば、開発に有益な情報が得られます。これが上級者を開発パートナーにすることのメリットです。上級者の開発パートナーは、競合商品との差別化の源泉になります。


デメリットは?


一方でデメリットもあります。正確に表現すれば注意点です。

上級者が求めるニーズがマニアック過ぎると、他の普通のユーザーが求めていない商品やサービスができてしまいます。上級者と一般ユーザーに求めるニーズで乖離があると起こります。

これをユニクロプラスの場合に当てはめてみましょう。

トップアスリートが満足する高い機能性を実現しても、そこまでの高機能をアスリートではない一般の人は求めていない場合です。例えば、これまでのユニクロの服のドライ機能で普通の人は十分に満足していれば、それ以上に発汗機能を向上させても普通の人はそこに価値は実感しにくいです。

高機能の分だけ値段が高くなり、しかし一般のユーザーに不必要な機能だとすると、その値段では買われにくい商品になってしまいます。

上級者やヘビーユーザーを開発パートナーにする方法には、彼ら・彼女らの一般ニーズではない要望を過度に聞きすぎると、その他大勢のニーズとかけ離れてしまう商品・サービスになる罠があります。

ここから言えるのは、単なる上級者の御用聞きにはなってはいけません。大事なのは、上級者のニーズを反映する商品・サービス開発では、そのニーズは一般的か、それとも一部の人たちだけの特殊なニーズかの見極めです。


まとめ


今回はユニクロプラスに学ぶ商品開発についてでした。

最後にまとめです。


ユニクロの新ブランド 「ユニクロプラス」
  • スウェーデンのトップアスリートの選手と共同開発した新しいブランド
  • トップアスリートにも愛用される高い機能性と、環境への配慮の両立を実現


上級者を開発パートナーにするメリット
  • 上級者パートナーとは 「求めるニーズレベルが高い」 「要求を言語化できる」
  • このような上級者がパートナーでいれば、開発の参考として有益な情報が得られ、競合商品との差別化の源泉になる


デメリット (注意点)
  • 上級者が求める高いニーズがマニアック過ぎると、その他大勢の普通のユーザーが求めていない商品やサービスができてしまう
  • 単なる上級者の御用聞きにはなってはいけない。上級者のニーズは一般的か、それとも一部の人たちだけの特殊なニーズかを見極めよう



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。