投稿日 2021/08/16

マクドナルド50周年記念 CM 。淡い恋物語と家族物語の裏にある 「悪魔のささやき」


今回は、マクドナルドの CM を取り上げ、裏にあるマーケティングを紐解きます。

この記事でわかること


  • 日本マクドナルドの50周年 CM
  • CM のあらすじと見どころ
  • 訴求している裏メッセージ (悪魔のささやき)
  • マクドナルドの 「今日だけはハメを外す」 という価値
  • ビッグマックは無性にかぶりつきたくなる象徴

この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケターの方です。

CM や動画広告を使いマーケティングコミュニケーションをされていて、コミュニケーション設計、メッセージ、クリエイティブ作成への自社のマーケティングのヒントになればと思います。

他には、マクドナルドの50周年 CM の裏側には、どんなメッセージが込められているかに興味を持った方にも参考になればうれしいです。


マクドナルドの50周年 CM


今回取り上げるのはマクドナルドの CM です。今年2021年は マクドナルドが日本に上陸して50年になります。

以下はマクドナルドの50周年 CM の動画です。




CM のストーリー


CM の舞台は1971年の銀座の歩行者天国です。あどけない少女 (中学生?) が男の子とマクドナルドでデートをしています。女の子はとても緊張していて、男の子から渡されたビッグマックを食べることができません。


男の子から 「食べないの?」 と言われますが、それでも最後までビッグマックを食べることはなく、せっかくのデートが気まずい雰囲気のままで、最後は男の子は 「じゃあね」 と去ってしまいます。どこか淡い恋物語をイメージさせるシーンです。

CM の後半は50年後の現在に変わり、少女は婦人になり孫の男の子とマクドナルドで食事をしています。孫が 「なぜ食べなかったの?」 と訊くと、「だって好きな人の前で恥ずかしくて食べられないじゃない。こんなでっかいの」 と答え、次に 「じぃじ (夫であるおじいちゃん) の前なら全然平気。なんでだろ」 と笑いながらビッグマックを食べるシーンが描かれます。


孫の男の子は心の中で 「そうか、もしビッグマックがもっと小さかったら今の自分はいないかもしれない (おばあちゃんとおじいちゃんは結婚していなかったかもしれない) 」 とつぶやきます。

CM は最後はおじいちゃんと孫娘が合流し、祖父母と男の子と女の子の孫の4人でマクドナルドで楽しく食事をするシーンで終わります。



CM の見どころ


マクドナルドの50周年 CM は、前半部分が1971年です。日本にマクドナルドが登場した年です。

CM では当時の銀座の雰囲気、ファッションや髪型もが忠実に再現されているのが興味深いです。

高度成長の時代が描かれています。勢いがあり元気な銀座の様子が、デートでの気まずさを際立たせています。

* * *

ではここからは、CM に込められたメッセージをマーケティングの視点で掘り下げていきます。私は、「悪魔のささやき」 が入っていると捉えました。


マクドナルドの提供価値



取り上げたマクドナルドの50周年 CM は、見る人のどんな奥にある気持ちや本音に訴求しているのでしょうか?

微笑ましい家族ストーリー (祖父母と孫のマックでの食事) で終わりますが、背後には人の欲望を刺激するメッセージが込められています。一言で表現すれば 「マクドナルドのハンバーガーをたまに無性に食べたくなる欲望」 に訴えかけています

マクドナルドの提供価値、別の表現をすれば何をしたくてマックに行くかと言うと、「今日だけは節制せずにハメを外してハンバーガーをおもいっきりかぶりつきたい」 からです。ある意味で自分への裏切りで、(普段は節制している) 自分に背く行為です。

マックのメニューの中でもとりわけビックマックはその典型です。

ヘルシーな和食や野菜中心の食事が健康に良いのは頭ではわかっていますが、心はカロリーが高いビッグマックを口いっぱいに開け、ガブッとかぶりつきたい気持ちをどこかに持っています。人は誰しもが持っているこの気持ちに応えるのがマクドナルドの価値です。


CM の 「悪魔のささやき」



マクドナルドの50周年 CM に登場するのが普通のハンバーガーやチーズバーガーではなく、あえてビックマックをメインにしている理由がここにあります。

表面的にはビッグマックは、CM のストーリーで好きな男の子の前で主人公の女の子が恥ずかしくて食べられないものとして描かれています。しかし、それ以上に意味を持たせていると思うのは、「かぶりつきたくなる今日だけは無性に食べたくなる象徴」 としてのビッグマックです。

CM で間接的に伝えているメッセージは、「久しぶりにマクドナルドに来て、お腹いっぱいになるまでビッグマックにかぶりつきませんか?」 という悪魔のささやきなのです。

奥には CM を見る人の消費者インサイト (人を動かす隠れた気持ち) があります。ここで言う隠れた気持ちとは、普段はそうは思っていないですが、今回の例で言えばビッグマックを無性にかぶりつきたくなる欲望のことです。しかし CM を見てそうだと気づかされれば、無性にマクドナルドに行って食べたくなる奥にある本音・生々しい気持ちです。

この消費者インサイトという琴線、心のホットボタンをつく狙いが、淡い恋物語や家族でのマクドナルドでの楽しい食事シーンの CM の裏に込められています。


まとめ


今回はマクドナルドの50周年 CM を取り上げました。

最後にまとめです。


マクドナルドの提供価値
  • 人はヘルシーな和食や野菜中心の食事が健康に良いのは頭ではわかっているが、心ではカロリーが高いハンバーガーをかぶりつきたい気持ちをどこかに持っている
  • 誰しもが持っているこの欲望に応えるのがマクドナルドの価値
  • マックに行くのは、「今日だけは節制せずにハメを外してハンバーガーをおもいっきりかぶりつきたい」 から。とりわけビックマックはその典型


マクドナルドの50周年 CM の 「悪魔のささやき」
  • 表面的にはビッグマックは、CM のストーリーで好きな男の子の前で主人公の女の子が恥ずかしくで食べられないものとして描かれている
  • それ以上の意味は、かぶりつきたくなる 「今日だけは無性に食べたくなる」 という象徴
  • CM で間接的に伝えているメッセージは、「久しぶりにマクドナルドに来て、お腹いっぱいになるまでビッグマックにかぶりつきませんか?」 という悪魔のささやき。マクドナルドのハンバーガーをたまに無性に食べたくなる欲望に訴えかけている



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。