今回はマーケティングについてです。
✓ この記事でわかること
- チョーヤ梅酒の広告がおもしろい
- 広告の背景 (差別化できず市場で埋もれていく危機感)
- The CHOYA の広告コピーに込められた自信と誇り
- チョーヤ梅酒の戦略
今回はチョーヤ梅酒を例に、マーケティングでのコミュニケーションを見ていきます。チョーヤ梅酒の独自化戦略を掘り下げます。
この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケターの方です。特に広告や販促を担当されている方をイメージしています。
異業種や他社の成功事例から、自社のマーケティングのヒントにしたいと思っている方には参考になればと思います。
チョーヤ梅酒の広告
今回取り上げるのは梅酒のチョーヤです。
チョーヤの広告コピー、「これはもう、梅酒というより、チョーヤです」 を見ていきます。
以下がチョーヤの広告の動画です。
広告の背景
日経記事によれば、チョーヤはかつての梅酒市場でのトップの座を明け渡してしまいました。
先ほどご紹介した広告の背景は、市場でかつての存在感がなくなり埋もれてしまう危機感からです。
以下は日経からの引用です。
同社 (引用者注: チョーヤ梅酒) は梅酒市場のパイオニアとして知られる。
ただ2000年代前半にビール各社が市場に参入し、大容量低価格の競争が激化。市場は拡大したが、ブランドコンセプトのすみ分けが課題となり、他社との違いを打ち出しにくくなっていた。そして10年には非発泡性梅酒の出荷数量で、トップの座を他社に譲った。
最高品質での勝負へ
チョーヤ梅酒が着目したのは熟成年数でした。
熟成年数による風味の違いを熟知していて、この独自ノウハウが、甘すぎずかつ香りを引き立てた本格梅酒 「The CHOYA」 を生み出しました。
原料の梅だけではなく土作りからこだわり、製造プロセスも進化しました。
詳しくは以下のプロモーション動画で紹介されています。
チョーヤが狙ったのは、梅酒という市場において最高品質による 「他の梅酒との差別化」 です。
チョーヤの広告コピー
以上の背景があると、「これはもう、梅酒というより、チョーヤです」 の広告コピーに込めた意図が読み取ることができます。
The CHOYA は梅酒ではあるが他社の梅酒とは全く違うもの、つまり 「梅酒それ自体と差別化したチョーヤ梅酒をお客さんに飲んでほしい」 という想いが込められています。それだけ自分たちのチョーヤ梅酒に絶対の自信があるわけです。
もともとのチョーヤの課題感だった、梅酒カテゴリーで自分たちの良さや特徴がお客さんに認識されず、このままでは埋没してしまう状況を 「何とかしたい」 という気持ちが、広告コピーから伝わってきます。
市場で唯一無二になる独自化
あらためて広告の役割は、広告は商品やサービスを買ってもらうためにあります。
チョーヤ梅酒の広告も最終的には売れることを目指していますが、特徴的なのは広告のキャッチコピーに先ほど見たような 「自分たちの自信や誇り」 が入っていることです。
一見すると 「これはもう、梅酒というより、チョーヤです」 は、何のことを言ってるのかわからない人もいたでしょう。頭の中に 「?」 がつきます。しかしだからこそ私には言葉が印象に残りました。
短いコピーの中に 「梅酒」 と 「チョーヤ」 が入っているので、何の広告かは一応はわかります。加えて梅酒というカテゴリーそのものからの、つまり他の全ての梅酒と比べて唯一無二の存在となる独自化を狙っています。
そしてそれが、自分たちは実現できた誇りと自信が広告コピーに込められているのです。
[おまけ] 商品名が一般名称になった例
今回のチョーヤ梅酒の話は、梅酒というカテゴリーをブランド名である 「チョーヤ」 に置き換えるという野心的な側面もあると私は見ました。
最後にこれはちなみにというネタですが、商品名がカテゴリー名になった例は次のようなものがあります。
✓ 商品名が一般名称になった例
- ヤマト運輸の 「宅急便」 (一般名称は宅配便)
- TOTO ウォシュレット (一般名称は温水洗浄便座)
- 万歩計 (一般名称は歩数計)
- デジカメ
- シーチキン
- コロコロ (絨毯などの床のゴミをとる掃除道具)
- バンドエイド
- セロテープ
- ホッチキス
- オセロ (一般名称はリバーシ)
まとめ
今回はチョーヤ梅酒の広告コピーから、コミュニケーション戦略についてでした。
最後にまとめです。
The CHOYA の広告コピー
- 広告でのメッセージは 「これはもう、梅酒というより、チョーヤです」
- 梅酒それ自体と差別化したチョーヤ梅酒をお客さんに飲んでほしいという想いが込められている。それだけ自分たちのチョーヤ梅酒に絶対の自信がある表れ
唯一無二になる独自化
- 広告の役割は、広告は商品やサービスを買ってもらうためにある
- チョーヤ梅酒の広告も最終的には売れることを目指しているが、特徴的なのは広告のキャッチコピーに 「自分たちの自信や誇り」 が入っている
- 梅酒というカテゴリーそのものからの、つまり他の全ての梅酒と比べて唯一無二の存在である独自化を狙った広告
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