投稿日 2021/08/08

強みを維持し、弱みを解消したヒット商品。肩こりや腰痛ケアの 「ロキソニン S ローション a」 を分析


今回はヒット商品を取り上げ、売れた要因を掘り下げます。


この記事でわかること


  • ヒット商品 「ロキソニン S ローション a 」 (肩こりや腰痛ケアのローション)
  • 新しい市場参入と、解決すべき問題
  • 利用シーン拡大に見るヒットの理由 (強みの維持と弱みの解消)

ヒット理由を戦略やマーケティングの視点で紐解きます。ぜひ最後まで読んでみてください。


読んでいただきたい方


この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケターの方です。特に新商品やサービスの開発に関わっている方です。

塗り薬のロキソニンを取り上げるので、異業種の成功事例から何かヒントになればと思います。

他には、 ヒット商品の秘密を知りたい、マーケティングの視点での分析に興味がある方にも少しでも参考になればうれしいです。


ヒット商品 「ロキソニン S ローション a」


ご紹介する商品は第一三共ヘルスケアの ロキソニン S ローション a です。ローションと入っているように、液体タイプの肩こりや腰痛ケアに使う第2類医薬品です。



以下は日経 MJ の記事からの引用です。

第一三共ヘルスケアが今年3月に発売した消炎鎮痛剤 「ロキソニン S ローション a 」 が好調だ。4カ月間の販売が想定の2倍というヒットとなった。

同社として初めてローションタイプを採用し、従来のジェルに比べて手を汚さずに痛みのある部位に塗れる。ビジネスパーソンなどを中心に広がり始めている。

 (中略)

第一三共ヘルスケアのマーケティング部でロキソニン S を担当する阪本悠ブランドマネジャーは 「市販薬の塗り薬市場の6割がローションタイプ。さらに成長させるためその市場へ製品を投入する必要があった」 と話す。

興和の「バンテリン」などはローションタイプが人気。消費者がより手軽に使えるような剤形を選択した。

 (引用: 日経 MJ 2021.8.2)


新しい市場への参入


先ほどの引用にあったように、市販薬の 「塗り薬市場」 の6割はローションタイプです。

第一三共ヘルスケアはこの市場に初めて参入しました。これまではジェルタイプは扱っていましたが、液体のローションタイプは初めてです。

ローションタイプには、液体ならではの課題がありました。


液だれという問題解決


解決しなければいけなかった問題は 「液だれ」 でした。貼るタイプやジェルタイプにはないローションタイプ特有の問題です。

液だれによって起こる不都合は、塗りたいところ以外の部分にも薬品がついてしまうこと、衣服の汚れです。また、利用者の心理として必要以上に消費してしまいもったいない気持ちになります。

液だれをしにくい商品にするために、先ほどの日経 MJ の記事によれば、開発では 「液の粘り気の度合いを何回も検証し、液だれしにくいよう工夫をした」 とのことです。


提供価値 (利用者にとってうれしいこと)



 「ロキソニン S ローション a 」 は、ローションタイプの液だれという問題を解決しました。

これより、利用者にはうれしい商品になりました。「ロキソニン S ローション a 」 は従来のジェルタイプの効き目があり、かつジェルに比べて液体ならではの使いやすさがある商品です。

ジェルタイプの使い方は、一度指にジェルをつけてそれから肩や腰に塗ります。塗ったあとに指を拭いたり手を洗う手間がかかります。また、湿布のような貼り付けるタイプは、フィルムなどのゴミが出て捨てるという後始末があります。

一方のローションタイプは直接塗れて手軽に、その場でサッと使えます。これが液だれの解消によって実現した利用者への提供価値です。


利用シーンの拡大


使いやすさの向上により 「ロキソニン S ローション a」 の利用シーンが、従来のジェルタイプなどから拡大しました。具体的にはオフィスや営業回りなどの外出時です。

ローションは手軽に使えて後始末が不要です。ジェルタイプは屋外では使いにくく、オフィスでもローションのほうが使いやすいでしょう。貼るタイプはオフィスや外で肩や腰に貼っているところを他人に見られたくない気持ちがあるはずです。

肩こりや腰痛は、デスクワークや外出時、屋外での作業などの働いている時に少しでもなくしたい問題です。

ジェルタイプや貼るタイプは効き目があることはわかっていても、まわりに人がいるオフィスや外出時では、人の目を気にしたり後始末などの手間があるので使いにくいです。しかしローションタイプの液体であればさっと自然に使えます。


強みの維持と弱みの解消



 「ロキソニン S ローション a 」 の特徴は、液だれせず乾きやすいことです。

これが意味するのは、そして今回の学びとして強調したいのは、ジェルや湿布に比べてのローションタイプの弱みの克服です。効き目 (強み) の維持と、弱み (液だれによる不都合) の解消にヒットの理由があります


まとめ


今回は 「ロキソニン S ローション a」 を取り上げ、ヒットの要因を掘り下げました。

最後にまとめです。


肩こりや腰痛ケアの 「ロキソニン S ローション a 」 が好調
  • 4カ月間の販売が想定の2倍というヒット
  • 従来のジェルに比べて手を汚さずに痛みのある部位に塗れる。ビジネスパーソンなどを中心に利用が広がっている


液だれという問題解決
  • 液だれにより、塗りたいところ以外にも薬品がついてしまう、衣服が汚れる。必要以上に消費しもったいない気持ちになる
  • 開発では液の粘り気の度合いを何回も検証し、液だれしにくいよう工夫をした


強みの維持と弱みの解消
  • ジェルタイプや貼るタイプは効き目があることはわかっていても、オフィスや外出時のまわりに人がいる場では、人の目を気にしたり後始末などの手間があるので使いにくい
  • 「ロキソニン S ローション a 」 は液だれせず乾きやすいので、その場でさっと自然に使える
  • ジェルや湿布のような効き目 (強み) の維持と、弱み (液だれによる不都合) の解消にヒットの理由がある



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。