投稿日 2021/08/18

潔すぎる 「ウィンナー弁当 (200円) 」 に学ぶ、ヒット商品の作り方


今回はネットで話題になった商品に学ぶ、商品開発についてです。

✓ この記事でわかること
  • ネットでバズったローソンストア100の 「200円 ウィンナー弁当」 
  • 10年越しに発売された開発秘話
  • マーケティング視点でのヒット理由2つ (絞るからこそ客に刺さる, 売れ筋からの機会発見) 

ローソンストア 100 の潔すぎるお弁当 「ウィンナー弁当」 から、ヒット商品のつくり方を見ていきます。

この記事を読んでいただきたいと思うのは、仕事で商品開発をされている方です。日々、新しい商品のアイデアを考えていて、「何かヒントはないか」 と思っている方に少しでも参考になればと思います。

ローソンストア 100 のウィンナー弁当


今回取り上げるのは、ローソンストア 100 のお弁当です。発売は2021年6月30日でした。


お弁当の中身はウィンナー5本がメインで、他にはご飯とウィンナーの下にスパゲティが敷かれているシンプル過ぎるお弁当です。値段は200円です (税込み216円) 。

Twitter で話題になり、ネットで拡散しました。


ウィンナー弁当の開発経緯


ローソンストア 100 の公式 Twitter アカウントからのツイートにあったように、10年の時を経て発売されたとのことです。

正確に言うと研究や商品開発に10年を費やしたのではなく、10年間にわたって社内で要望を出し続けて10年後にようやく商品化が決定したそうです。

100円ローソンに “おかずがウインナーのみ” の潔すぎる弁当登場 部長が10年間商品部を説得して実現|ねとらぼ

アイデアはある運営部長からでした。「おかずがウィンナーだけの弁当を作って欲しい」 「絶対に売れる」 と10年間、商品部にリクエストを出し続けました。

運営部長 「絶対売れる」 の根拠は、ローソンストア 100 でよく売れているのがカップ麺、スープ、冷やし麺で、それらと合わせて 「おかずがウィンナーだけの弁当」 が買われるはずだと。おかず一品だけの直球勝負の弁当は 「消費者に絶対に受ける」 という見立てです。


ヒット理由


ここからは、ローソンストア 100 のウィンナー弁当の開発と発売から思ったこと2つです。

✓ マーケティング視点でのヒット理由
  • 絞るからお客に刺さる
  • 売れ筋からの機会発見 (競争ではなく共存) 

では順番にご説明しますね。

絞るからお客に刺さる


おかずがウィンナーだけのシンプルな潔すぎる弁当です。

通常、お弁当は複数のおかずが入っています。しかしウィンナー弁当は1つに絞り、しかもウィンナーという言ってしまえばありきたりのおかずです。ここにある発想は、「あれもこれも」 と思いつくものを全て入れるのではなく引き算の考え方です。

明確に絞っているからこそ、それを欲しいと思う人には 「これは自分向けの商品だ」 と思え、選ばれるのです。

ウィンナーが一品の直球勝負というコンセプトが明確なので、実際のおかずの中身、ウィンナーの選び方や見せ方、お弁当の名前まで一貫性があります。だからこそ、特定のお客にはグサッと刺さるわけです。

売れ筋からの機会発見


10年も前からアイデアを思いつき要望を出し続けた運営部長は、実際のローソンストア 100 の店舗での売り筋から考えました。

自分が欲しいというよりも、「お客はきっとこういう商品を望んでいるはず」 という捉え方です。

お店でよく売れるカップ麺、スープ、冷やし麺は一見するとバラバラですが、共通点は1つ1つは単品であることです。単品だけでは消費者はおそらく物足りなく、満足感を得られないのではという仮説が運営部長の頭の中にはあったのでしょう。

私が興味深いと思ったのは、売れ筋からの解釈です。店頭での売れ筋を見て、例えば 「カップ麺が売れているから新しいラーメンを開発しよう」 ではなく、カップ麺やスープと一緒に食べられるものは何かという発想です。

既存の売れ筋と正面から立ち向かう競争ではなく、アイデア発想のベースには、他の売れ筋と共存できないかという協調路線があります。共存の思想からアイデアを考え、機会 (ビジネスチャンス) を発見したのです。


まとめ


今回はローソンストア 100 の 「200円 ウィンナー弁当」 に学ぶヒット商品のつくり方でした。

最後にまとめです。

ローソンストア 100 のウィンナー弁当
  • ウィンナー5本がメイン。他にはご飯とウィンナーの下にスパゲティが敷かれているシンプル過ぎる弁当
  • ある運営部長が 「おかずがウィンナーだけの弁当を作って欲しい」 「絶対に売れる」 と社内で要望を出し続け、10年後にようやく商品化が決定した
  • 売れる根拠は、ローソンストア 100 でよく売れているカップ麺, スープ, 冷やし麺と合わせて 「おかずがウィンナーだけの弁当」 が買われるはずだと

ウィンナー弁当で思ったこと
  • 絞るからお客に刺さる。明確に絞っているからこそ、それを欲しいと思う人には 「これは自分向けの商品だ」 と思え選ばれる
  • 売れ筋からの機会発見。カップ麺やスープなどのよく売れる単品と一緒に食べられるものは何かを考えた。競争ではなく共存の発想 (協調路線) からアイデアが生まれている


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。