出典: レスポンス
今回はOODA ループでのサービス開発という話です。
おもしろいと思った 「タクシーの定額乗り合いサービス」 から、学べることを掘り下げていきましょう。
✓ わかること
- 定額の乗り合いタクシー 「mobi (モビ) 」
- メインユーザーは当初の想定とは違った人たち
- 戦略 (仮説) と実際のズレ
- OODA ループを活用するサービス開発
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
定額の乗り合いタクシーサービス
ご紹介したいのは 「mobi (モビ) 」 という複数人での乗り合いタクシーのサービスです。
大型ワゴン車を使った定額制の乗り合いサービスが子育て世代を中心に支持を広げている。
高速バス大手の WILLER (ウィラー, 大阪市) と KDDI の共同出資会社が手掛けるサービスは当初、運転免許を返納した高齢者の需要を見込んでいたが、30 ~ 40代の女性が利用者の半数以上を占める。子どもの送迎や買い物などの近距離移動の需要をとらえた。
「幼児と外出する時は荷物の持ち運びや、子供の機嫌をとるのに手がかかる。特に寒い日や雨の日、雪の日にはありがたい」 (30代女性) 、「買い物や食事、美容院など積極的に外に出る機会が増えた」 (40代女性) 。
これらはウィラーと KDDI の共同出資会社、コミュニティーモビリティー (東京・目黒) が展開する定額制の乗り合いサービス 「mobi (モビ) 」 の利用者の感想だ。
mobi は決まったエリア内、具体的には自宅から半径2キロメートル程度の範囲でワゴン車による乗り合いタクシーが使い放題になるサービスです。
専用アプリで出発地と目的地を選ぶと近くを走行しているモビの車が迎えに来ます。料金は30日間で5000円です。
当初の想定とは違った客層
興味深いのは mobi のメインユーザーが想定とは違ったことです。
「もともとは運転免許を自主返納した高齢者を主な利用者として想定していた」 と同社の松浦年晃副社長は話す。しかし、蓋を開けてみれば、会員の半数以上を30 ~ 40代の女性が占め、「意外と若い世代の需要が高かった」 と驚く。
自転車に子どもを乗せて保育園や習い事の送り迎えをしていた子育て世代が利用するケースや、買い物や家族での食事の際の移動という使い方が目立つ。公共交通機関へのアクセスが不便な地方では、自転車に代わる移動手段としてビジネスパーソンや学生の支持を集めているという。
サービスを開始してわかったのは、mobi をよく使ってくれたのは高齢者ではなく30 ~ 40代の子育て女性だったということです。
仮説と実際のズレ
サービス開始前にターゲットとなるお客さんを設定し、実際に狙い通りの人たちがお客さんになってくれるのが一般的には望ましいです。
しかし今回の mobi のように、ターゲット顧客とは違った人たちがお客さんになるというのは起こり得ることです。一般化して表現をすれば 「やってみて初めてわかる仮説と実際のズレ」 です。
戦略や計画は実行する前はあくまで仮説です。実行前の段階では最も筋の良いものですが、あくまで仮の答えであり現実は必ずしもそうなるとは限りません。
戦略や計画の中身を詰めることは重要ですが、実行に移して走りながらブラッシュアップしていくことが大事です。
ではどうすればいいのでしょうか?
OODA ループがヒントになります。
OODA ループのサービス開発
OODA ループとは意思決定と実行のプロセスです。OODA は4つの頭文字です。
✓ OODA ループ
- Observe (観察) : 情報を収集し観察する
- Orient (状況判断) : 観察内容の意味合いを掘り下げる
- Decide (意思決定) : 状況判断にもとづいて決断をする
- Act (行動) : 実際の行動に移す
ループという言葉が入っているように OODA は何度もまわすことが重要です。
実行したことを観察し、状況判断と意思決定から次の行動に入ります。このプロセスを通して戦略や計画は磨かれていくわけです。
mobi は一度 OODA をまわしたことで、想定の高齢者ではない 30 ~ 40 代の子育て女性がメインユーザーだとわかりました。
おそらく次はこの新しいターゲットユーザーに対してより良いサービスにしていくための OODA に入ったり、または当初の想定ユーザーだった高齢者に使ってもらうための OODA に入っていくはずです。
OODA ループは商品やサービス開発を進める時に使えるフレームなので、覚えておいて損はないです。
まとめ
今回は定額の乗り合いタクシーサービス 「mobi」 を取り上げて、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
仮説と実際のズレ
- 戦略や計画は、実行する前はあくまで仮説
- 実行前の段階では最も筋の良いものだが、あくまで仮の答えであり、現実は必ずしもそうなるとは限らない
- 戦略や計画の中身を詰めることは重要だが、実行に移し走りながらブラッシュアップすることが大事
OODA ループでの開発
- OODA ループは意思決定と実行のプロセス
- Observe: 情報収集し観察 → Orient: 状況判断 → Decide: 意思決定 → Act: 行動
- OODA は何度もまわすことが重要。実行したことを観察し、状況判断と意思決定から次の行動に入る。このプロセスを通して戦略や計画は磨かれていく
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