投稿日 2022/09/18

ベビースターラーメンに学ぶ、用途提案からのヒット商品のつくり方

出典: 毎日新聞

今回のテーマは、新しい需要の獲得です。

おもしろいと思ったベビースターラーメンの事例を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • ベビースターラーメンの需要の創出
  • 新しい用途を提案し、勝負の土俵を変える
  • マーケティングとはパーセプションをめぐる戦い
  • 需要獲得の方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ベビースターラーメンのリブランディング


こちらの記事を読みました。

ベビースターラーメンのリブランディング戦略 おやつカンパニー CMO 、髙口氏が語る既存商品を活用した需要創出方法|MARKETIMES

需要の獲得


ベビースターラーメンの新たな需要獲得という話が興味深かったです。

ベビースターラーメンをどのように打ち出していくのか。小売店に駆け込んでベビースターラーメンを売ってください、と言ったところで 「分かった」 なんて言ってもらえない。あの小さい袋で30円。特別感があるわけでもなく、いわゆる定番という売り場に陳列してもらい、それをお客さん自ら買いに来てもらう状態にしないといけない。

そこで、髙口氏が最初に思いついたのは 「もんじゃ焼き屋」 。

もんじゃ焼きのトッピングとして使ってもらうという発想で社員に確認をとったところ、もんじゃ焼き屋にベビースターラーメンを卸す、という取り組みを行ったことは無いとの回答だった。食品というカテゴリーで見ても、ベビースターラーメンは料理と親和性があるのではないか?と同氏は考えた。

そもそもベビースターラーメンを購入する年代の割合が、家族に食事を作る世代の人々が買っているというデータもあったので、おやつだけじゃなく、料理にも使える、というコンセプトで買っていただくのはどうだろうか?と仮説を立てた。競合との差別化にも有効であったため、2018年から着手を開始し、レシピ本なども発売、外食や中食とも協働。結果的に店頭回転は回復していき、売上は以前よりも増加した。

新しい利用用途の提案


ベビースターラーメンは新しい用途を提案しました。

これまではお菓子やお酒のおつまみでしたが、料理のトッピングの食材としても使えることを訴求したわけです。

商品そのものは変えずに、消費者の 「ベビースターラーメンはこういうふうに使える」 という認識を変えにいったのです。

勝負の土俵を変える


新しい用途に広げるとは、別の捉え方をすれば、勝負の土俵を新たに増やしたということです。

これまではベビースターラーメンはお菓子というフィールドが戦いの場でした。この主戦場は今後も変わりませんが、料理のトッピングというフィールドに新しく入っていったわけです。

もともと菓子だったベビースターラーメンが食材として売られていれば、消費者は一度は試してみたいと思うかもしれません。トッピングに使ってもし余っても、お菓子やおつまみにも使えるので、中途半端に残ってしまうこともないのは消費者にはうれしいことなはずです。

このように食材でもお菓子でも両方で色々と使い道があるというのが、ベビースターラーメンは食材バトルではユニークな存在です。他に同じような食材がなければ、ベビースターラーメンが食材の具として選ばれやすくなります。


需要獲得の方法


自分の好きなマーケティングの言葉に、「マーケティングとは商品の戦いではなく、パーセプションをめぐる戦いである」 というものがあります。

売れるもマーケ 当たるもマーケ - マーケティング 22 の法則 という本に書かれています。

Marketing is not a battle of products, it's a battle of perceptions.
マーケティングは商品の戦いではなく、パーセプションをめぐる戦いである。



パーセプションとは、認識や知覚、捉え方です。

パーセプションの対象は商品がもたらす価値です。お客さんから 「この商品はこんな使い方もあるんだ」 と思ってもらい、新しい利用用途で他にはない価値を実感してもらえれば、需要を取り込めたということです。

需要獲得は机上の論理だけではなく、お客さんのリアルな利用用途を起点にして実現していくものです。


まとめ


今回はベビースターラーメンの話から、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ 価値認識をつくり需要を獲得する
  • マーケティングは商品の戦いではなく、パーセプションをめぐる戦い。パーセプションとは、認識や知覚、捉え方
  • 「この商品はこんな使い方もあるんだ」 と、新しい利用用途で他にはない価値を実感してもらえれば、需要を獲得できる
  • 需要獲得は机上の論理だけではなく、お客さんのリアルな利用用途を起点にして実現していこう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。