投稿日 2022/09/30

アダストリアが自社 EC で他社製品も販売。マーケターの役割は 「お客さんと自社の交差点」 を見出すこと


今回は、お客さんのニーズを汲み取りつつ、自社のビジネス構想を実現させていく方法です。

おもしろいと思ったアパレルメーカーの取り組みをご紹介し、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • アダストリアが自社 EC サイトで他社製品も販売へ
  • 狙いは 「売り手と買い手のギャップ」 の解消
  • マーケターの役割は 「お客さんと自社の交差点の見極め」 

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

自社 EC サイトで他社製品も販売


カジュアル衣料大手のアダストリアが、自社で運営する EC サイトで取扱商品を拡大するとのことです。

自社ブランドに加え、他のアパレルや家電メーカーの製品も取り扱います。

自社 EC なのに他社商品も販売するというのは珍しいですよね。狙いはどこにあるのでしょうか?

同社の EC サイト 「ドットエスティ」 でこのほど、家電メーカーの siroca (シロカ, 東京・千代田) の製品を取り扱い始めた。電気圧力鍋や全自動コーヒーメーカーなど、7月6日時点で13商品を販売している。このほか美容家電のヤーマンやシンガポールのアパレルブランド 「Love, Bonito (ラブ ボニート) 」 も扱う。

アマゾンや楽天市場などの大規模 EC モールとは異なり 「取り扱う商品は『何でもあり』ではなく、当社のブランドと親和性があり、販売スタッフがお薦めできる商品を選んでいる」 (アダストリアの田中順一マーケティング本部長) 。例えば、シロカの家電はアパレル店の販売員が家庭で商品を使った時の感覚や、キッチンに置いた時の印象をウエブサイトで発信している。

アパレルだけでなく他社製品も売ることで、接点のなかった客の取り込みや購入頻度の増加が期待できる。田中本部長は 「EC サイトは最大の顧客接点。商品の幅が広がれば顧客の満足度も高まる」 と話す。

学べること


では、アダストリアから学べることを掘り下げていきましょう。

売り手と買い手のギャップ


アダストリアの取り組みが教えてくれるのは、顧客視点になることの重要性です。

往々にしてあるのが、自社の都合は 「顧客の不都合」 だということです。EC サイトに当てはめれば、自社で運用しているのだから当然自社商品のみを EC で販売するというのは、売り手都合の話です。

一方のお客さんである生活者にとっては、自分が欲しいと思える色々なメーカーの商品が売られているほうが、一度に買いものが済ませられて便利です。

しかし一つのメーカーの商品しかなければ、他のサイトで買いまわりをしなければならず、手間が発生します。

こうした売り手と買い手のギャップは少なからずあるわけで、アダストリアが自社 EC で他社商品も扱うのは、このギャップを解消するためです。

アマゾンや楽天との差異化


とはいえ、他社製品を何でも扱うことは現実的ではありません。

アマゾンや楽天と同じ土俵に上がることになり、まともに競争しても勝ち目はないでしょう。

そこで引用した記事であったように、「取り扱う商品は『何でもあり』ではなく、自社商品と親和性があり、販売スタッフがお薦めできる商品を選んでいる」 というやり方をしているわけです。

自分たちの目利き力を差異化の源泉にし、自社 EC でこだわりのある商品の提供を目指しています。

マーケターの役割


では、そろそろまとめに入るために、学べることを整理してみましょう。

ビジネスの成功ポイントは、「お客さんが求めていること」 と 「自分たちのやりたいこと」 の交差点にヒントがあります

アダストリアの場合は、お客さんは一つの EC サイトでまとめて欲しい物を買いたいと思っています。ここに、自分たちが本当に良いと思えるこだわりを入れて独自性を出しています。

お客さんから言われるがままの全てをやるわけでもなく、自社都合の独りよがりになるわけでもない。最適なバランスを見極めるのが、お客さんの立場を社内で代弁するマーケターの役割なのです。


まとめ


今回は、アパレルメーカーのアダストリアの EC サイトの取り組みから、マーケティングに学べることを掘り下げました。

最後のところのマーケターの役割、もう一度まとめておきますね。

✓ お客さんと自社の交差点
  • 「お客さんが求めていること」 と 「自分たちのやりたいこと」 の交差点にビジネスのヒントがある
  • お客さんから言われるがままの全てをやるのでもなく、自社都合の独りよがりにならない最適なバランスが大事
  • ここを見極めるのが、お客さんの立場を社内で代弁するマーケターの役割


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。