投稿日 2022/09/27

マスクの影響を受けた事例。マーケティングでは、絶えず変わる環境や生活者の変化を捉えよう


今回のテーマは、変化を捉えることの重要性です。

おもしろいと思った事例を2つ取り上げ、共通点からマーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • マスクの影響を受けた2つの事例
  • 共通点は 「変化の連鎖」 
  • 環境変化と、その影響を受けた生活者の変化を捉えよう

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

マスクの影響を受けた事例


2つの事例をご紹介します。

  • ニンニクを増量したギョーザ
  • リハビリメイクとリベンジメイク

ニンニクを増量したギョーザが人気に


日経新聞の記事からです。

ニンニクを増量したギョーザが人気だ。新型コロナウイルス禍でテレワークやマスク生活が定着し、臭いを気にする機会が減ったためだ。

 「大阪王将」 を運営するイートアンドホールディングス (HD) の傘下企業が手掛ける冷凍ギョーザの販売数は6月、前年同月比 25% 増に。ニンニクのパンチのある味わいが自粛生活の気分転換にもなり、40 ~ 60代を中心に想定以上に女性の支持が伸びている。

 「ニンニクがきいていて、暑さでバテ気味の季節に元気を出したい時に買っている。コロナ下でマスクをつけるので、人に会う前日などでも気にせず食べられる」 。60代の主婦はこう語る。

購入したのは 「大阪王将 羽根つきスタミナ肉餃子」 (12個入りで参考価格は226円) 。イートアンド HD 傘下で、冷凍食品の製造販売を手がけるイートアンドフーズ (東京・品川) が2021年2月に発売。従来商品よりもニンニクを増量したのが特徴だ。油や水、フタを使わず、簡単に羽根つきギョーザを作れる手軽さが消費者を引き付けている。
大阪王将 羽根つきスタミナ肉餃子 (出典: PR TIMES

ニンニクを増量したギョーザが人気になったのは、コロナで外出時にはマスク着用が当たり前になり、自分の臭いを気にする機会が減ったことの影響からです。

ニンニクを使った料理が受け入れられるようになり、以前よりもニンニクが多く入ったギョーザが人気を呼んでいるわけです。

脱マスクでリハビリメイクやリベンジメイクへ


2つ目の事例は化粧メイクです。

徐々にマスクを外す機会が増えていることからの影響です。

コロナ禍で外出機会が減り、メークへの需要が低迷するなど大きな逆風が吹いたこの2年間の化粧品業界。足元では行動制限の緩和に加えて、政府が 「脱マスク」 の基準を示したこともあり市場が盛り上がりを見せている。

アイスタイルが運営する日本最大の化粧品口コミサイト 「アットコスメ」 の今年5月の調査でも 「半年前と比べたとき、メークをする機会が増えた」 と答えた人は全体の約4割に上った。

消費意欲の高まりに合わせて化粧品のトレンドも変わりつつある。マスクが必需品となったこの2年は目元が中心だったが、徐々にフルメークへ戻していく 「リハビリ」 メーク消費がじわりと広がる。

もう少し詳しく見ていくと、

美容トレンドの調査などを手掛ける花王のビューティリサーチ & クリエーションセンターの原島麻由美氏は 「メークの目的としておしゃれを楽しむポジティブな意識が回復している」 と指摘する。

コロナ下ではファンデーションの代わりに化粧下地などを使用した軽めの肌や薄いチークが中心だったが、マスクを外す機会が増える今後はファンデーションを使い軽さと自然なつやがある肌にチークを幅広くぼかした血色感のあるメークに変わっていくとみる。

目元もレッドブラウン系のアイシャドーが人気を集めるなどマスク時に重視していた点からまぶたにラメやパールなどを効かせたアイシャドーを幅広く使い、軽い印象のメークに需要が集まると予測する。

30代以上がじわりと化粧を日常に戻していく 「リハビリ」 メークに動く一方で10代・20代の若い世代は、すでに 「リハビリ」 メークから 「リベンジ」 メークへと移行しつつある。
出典: 日経


学べること


では、ご紹介した2つの事例から学べることを掘り下げてみましょう。

変化の連鎖


一言で表現すれば、学びは 「連鎖する変化を捉え、自らも変化しよう」 です。

連鎖していく変化とは、

  • 環境が変化する (例: 新型コロナウイルスの感染拡大) 
  • 生活者の心理状態や価値観、行動様式が変わる
  • お客さんの課題感 (不便に思うことなど) 、求められるニーズも変わる
  • ビジネスや企業も変わる必要がある

日本語では 「風が吹けば桶屋が儲かる」 という言い回しがあるように、環境の変化が波及し変化の連鎖が起こっていくのです。

環境と生活者の変化を捉えよう


学びとして残しておきたいのは、変化を察知し、その変化が自分たちにとって何を意味するか、得た解釈からどんな意思決定と行動につなげるかです。

あらためて強調したいのは、

  • 起点になる環境の変化
  • それによる日常生活での生活者の心理と行動の変化

に対して、常にアンテナを張っておく重要性です。

お客さんの理解を、お客さんの見ている世界や景色、文脈で深めることが大事です。これによって自分たちの変化の方向性も見えてきます。


まとめ


今回はマスクの影響を受けた2つの事例を取り上げ、共通点からマーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ 変化の連鎖を捉えよう
  • 環境が変化する → 生活者の心理状態・価値観や行動様式が変わる → お客さんの課題感や求められるニーズも変わる
  • 起点になる環境の変化、それによる日常生活での生活者の心理と行動の変化に対して、常にアンテナを張ることが大事
  • 変化を察知し、自分たちにとって変化の意味合いを捉え、意思決定と行動につなげよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。