出典: 大手小町
今回のテーマはイノベーションを起こす方法です。
多くの人々がこれまで見過ごしていた、温泉や公共の入浴施設に潜む問題を解決するイノベーションが現れました。それは、入浴着です。
この記事では、マーケティングの視点からこの意外な商品がどのように 「未来の当たり前」 をつくり出すのかを探っていきます。学べることとしてイノベーションとは何か、イノベーションをどうやって起こすかを掘り下げます。
✓ わかること
- 入浴着とは?
- 温泉利用者の見過ごされてきた不を解決
- 入浴着はイノベーション?
- イノベーションの本質
- イノベーションを起こす方法
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
入浴着
出典: 日経
利用用途の広がり
入浴着は温泉などの公共のお風呂で身体を見せたくない人に向けた入浴専用の服です。
乳がんの摘出手術経験者などが温泉施設で入浴する時に手術痕をカバーするために着る入浴着が用途を広げている。
帝人子会社の帝人フロンティア (大阪市) は子供の体を異性の視線から守る入浴着を開発し、春から実証実験を始める。さらに、訪日観光客など裸での入浴に慣れていない層など幅広いターゲットを取り込む。
温泉施設やスーパー銭湯では一般的に着衣での入浴ができないが、厚生労働省は 「乳がん手術や皮膚移植などの傷あとをカバーする専用入浴着を着用したまま入浴することができます」 としている。当事者が持参する場合や入浴施設での貸し出し、使い捨てタイプなど種類も増えている。
帝人フロンティアは子供の体を異性の視線から守る入浴着を開発した。2017年に裸での入浴に慣れていない外国人向けの入浴着を開発したが、新型コロナウイルス感染拡大による訪日客の減少で採用が進まなかった。同じ生地で、異性の親と一緒に入浴できる子供向け製品を開発した。
公衆浴場などで異性の子供と入浴する際の悩みを同社が調査したところ 「異性からの視線が気になる」 との回答が6割にのぼった。異性の視線から守りつつ、着たまま体を洗いやすい入浴着のデザインを模索した。
温泉利用者の見過ごされてきた不を解決
入浴着は温泉や銭湯などの公共のお風呂を利用する人の 「見過ごされてきた不」 を解決します。
これまでは温泉や銭湯には裸で入るべきというのが常識でした。しかし当たり前の影でないがしろにされている 「不」 が存在していました。
✓ 見過ごされてきた不
- 手術の跡を見られたくない
- 異性の子どもと入浴すると子どもへの視線が気になる
- 観光で訪日した外国人は裸での温泉入浴に慣れていない
それでも温泉に入るためには良くない体験や気持ちを我慢するか、利用を諦めざるを得ませんでした。この状況を問題と捉え解決するのが入浴着なのです。
イノベーションの起こし方
少し大げさな捉え方かもしれませんが、入浴着はイノベーションになる可能性を秘めています。
イノベーションとは
イノベーションとは 「未来の当たり前をつくること」 です。
今はまだ当たり前ではなく不都合を受け入れ解決を諦めていたり、そもそも多くの人がまだ気づいていないことが、未来では世の中に受け入れられ人々が普通に使い浸透しているのがイノベーションです。
イノベーションになることの特徴は3つです。
✓ イノベーションの特徴
- 今までになかった新しいこと
- 実現できること
- 議論を呼ぶもの (今までの当たり前を変えるほど革新的であるがゆえに賛否両論がある)
今と未来の当たり前のギャップが大きいほどイノベーティブな商品やサービスになります。
未来の当たり前をつくる
イノベーションにつなげるためには、今の当たり前や常識を一度なくして未来を考えてみることからです。とらわれや常識を疑い強制的にでもなくなったことを想像してみるのです。
入浴着は 「誰もが温泉などの公共の入浴を気兼ねなく楽しめる未来」 を描きました。未来の当たり前とは何か、こういう未来にしたいという想いがイノベーションの源泉になります。
ありたい未来、あるべき未来を描き逆算して現在に戻る思考プロセスによって新たなビジネスのヒントが得られます。新しい価値を提案し、人々の認識や態度を変え人の行動まで変わることで未来の当たり前になりイノベーションは起こるのです。
まとめ
今回は入浴着を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ イノベーションを起こす方法
- イノベーションとは 「未来の当たり前」 をつくること。当たり前のギャップが大きいほどイノベーティブな商品やサービスになる
- 今の当たり前や常識を疑い、こんな未来にしたいという想いがイノベーションの源泉
- 新しい価値を提案し、人々の認識や態度、さらには行動まで変えていくことでイノベーションが起こる
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