投稿日 2023/05/26

営業とマーケティングの連携。ビジネスを成長させる相乗効果

#マーケティング #営業 #組織開発


あなたの会社では、営業部門とマーケティング部門は良好な関係を築いていますか?それぞれが一生懸命に動いているとしても、営業とマーケティングで情報を共有し、うまく連携しているでしょうか?

もしそうでなければ、あなたのビジネスはおそらく大きな機会を見逃してしまっているでしょう。

今回は、営業とマーケティングの連携の重要性を掘り下げ、企業の成長を加速する可能性について一緒に学んでいきたいと思います。

営業とマーケターに求められる具体的なマインドセットやスキル、戦略と手法についても深掘りし、営業とマーケティングの連携から相乗効果を発揮するための方法を解説します。

営業とマーケティングが断絶する弊害


営業とマーケティングは企業の成功に不可欠な2つの部門です。しかし、両部門が連携していないと、企業は損失を被る可能性があります。これは 「営業とマーケティングの断絶」 という問題です。

両者の断絶は、BtoC 企業と BtoB 企業の両方にとって弊害が起こります。

BtoC ビジネスの場合、広告と店頭販促が連携していないと、消費者にとって混乱を招く可能性があります。例えば、テレビやインターネットの広告で特定の商品が強調されているにも関わらず、実際の店頭ではその商品が扱われていないとしましょう。消費者が広告で興味を持ち早速お店に足を運んだものの、店頭になければ期待外れに終わる結果を招きます。

一方、BtoB ビジネスでは、マーケターが作ったリード (今後お客さんになる可能性が高い人や企業) が営業にとって魅力的な見込み客でなければ、営業の労力が報われません。例えば、マーケティング部門が大量のリードを作っても、それらが営業にとって適切なターゲットでなければ、営業は時間とリソース投資が無駄に終わるでしょう。

では営業とマーケティングの断絶によって、どんな影響が起こるのでしょうか。

✓ 売上損失:
最も直接的な影響は売上です。消費者が混乱したり、営業が効果的なリードを得られなかったりすると、それは売上への打撃となります。

✓ 顧客満足度の低下:
両者が連携していない場合、顧客はマーケティングから得た情報と営業から得た情報が一致していないと感じてしまうことがあります。これは顧客満足度の低下を招きます。

✓ 生産性の低下:
営業とマーケティングが連携されていないと、マーケターは営業が必要とするリードを作るために時間とリソースを浪費します。また、営業はマーケターから得た情報に基づいてお客さんにアプローチすることができないため、効率が悪くなります。

こうした問題を起こさないためには、営業とマーケティングが一体となり、共通の目標に向かっていくことが重要です。


営業とマーケティングの役割


営業とマーケティングは、ビジネス成功のためには協力して動く必要があります。それぞれの役割とその本質を理解することが連携を円滑にする第一歩です。

営業の役割は製品やサービスを直接顧客に販売し、売上を得ることです。顧客との一対一の対話を通じて、顧客のニーズを理解し、適切な製品やサービスを提供することが求められます。

営業の主なタスクには、顧客 (消費者や流通) との直接的なコミュニケーション、製品やサービスのデモンストレーション、契約の締結などがあります。これらの活動を通じて、営業はビジネスに直接的な収益をもたらします。

一方のマーケティングの役割は、市場のニーズを理解し、製品やサービスの価値を広く伝えることです。マーケティングは、広告、PR 、市場調査なども通じて製品やサービスの認知度を高め、新しいお客さんを獲得し、既存のお客さんも維持します。

マーケティングは、市場調査、広告キャンペーンの企画と実施、ブランドイメージの構築などを行います。これらの活動によりマーケティングは長期的なビジネス成長を支え、新しいお客さんを引き寄せる役割も果たします。

両者の役割をサッカーに例えれば、営業は最前線でゴールを狙う FW 、マーケティングはボールを FW に供給しゲームをコントロールする MF です。

マーケティングの要素の1つである派手な広告や SNS という空中戦にしか目が向いておらず、成果に一喜一憂している状況というのは、サッカーの中盤で MF のプレイヤーだけが自分たちの華麗なパス回しに酔いしれているようなものです。FW は蚊帳の外で、これでは観戦しているサポーターは興ざめしてしまうでしょう。

大事なのは全員サッカーからゴールを入れて点を取ることです。MF から FW へボールをつなげてこそ、つまり認知や購入意向を上げるマーケティング施策は、製品やサービスを直接的にクライアントや生活者に買ってもらう営業活動に活きるのです。

重要なのは、営業とマーケティングがそれぞれ別々に活動するのではなく、両者が連携しお互いにパスをつなぎ合わせてビジネス全体のゴールを目指すことです。お互いの役割を理解し、尊重し合いながら共同で動くことで、部分最適ではなく全体最適が実現しビジネスに成功をもたらします。


連携することでの相乗効果


営業とマーケティングがお互いの役割を理解し、協力して連動していくことで生まれる相乗効果は計り知れません。それぞれの専門性を活かしながら、一緒になってビジネスの成功を追求することが求められます。

一つの具体的な成功例として、あるソフトウェア企業があります。この企業では、マーケティングチームが市場調査を通じて得た情報を営業チームにも積極的に共有し、その情報を基に営業戦略を策定しています。また、営業チームは顧客からのフィードバックをマーケティングチームに伝え、製品開発や広告戦略に反映させています。こうした双方向の情報共有からの密な連携により、この企業は顧客ニーズに迅速に対応し、競争力を強化しました。

では、営業とマーケティングの連携がビジネス全体を成長させるメカニズムを整理してみましょう。

まず、マーケティングが市場のトレンドや顧客のニーズを捉え、それを広告や PR 活動などのコミュニケーション活動に反映させることで、生活者や顧客へのアピールを強化します。営業はマーケティングから得た情報も活用し、お客さんへのアプローチを最適化し、製品やサービスの売上を増やします。

このプロセスでは、豊かな顧客体験が重要な役割を果たします。お客さんが求める価値を的確に提供することで、顧客満足度を高めリピート購入につながり、また、口コミによる新規顧客の獲得ができます。さらに、お客さんからのフィードバックを製品開発やサービス改善に活かします。

このように営業とマーケティングが連携することで、一つ一つの活動がビジネス全体の成長を支えていきます。それぞれが自分たちの領域だけで部分最適を図るのではなく、全体のゴールに向かって共に努力し連携から相乗効果を生み出すことが、真のビジネスの成功につながるのです。


求められるマインドセットとスキル


営業とマーケティングが相乗効果を発揮するためには、どんなマインドセットとスキルを持つことが求められるのでしょうか?

営業パーソンとして目指したい姿は 「マーケティング思考を持つ営業」 です。

マーケティング思考を持つ営業とは、お客さんの視点から自社の事業を捉え、顧客ニーズに応じた価値提供を常に考える営業のことを指します。具体的なスキルとしては、市場調査やデータ分析能力、そして顧客とのコミュニケーションスキルが求められます。

これらのスキルを活かすことで、営業は市場のトレンドを把握し顧客理解を深め、それに基づいた効果的な営業を行うことができます。さらに、お客さんからのフィードバックをマーケティングチームと共有し、製品開発やマーケティング・営業戦略の改善につなげます。

一方のマーケターは 「営業マインドを持つマーケター」 を目指します。

営業マインドを持つマーケターとは、製品やサービスの売上への直接的な貢献を意識し、それを実現するための戦略を考えるマーケターというイメージです。具体的なスキルは、製品知識、プレゼンテーションスキル、そして交渉力が必要となります。これらのスキルを身につけることで、マーケターは営業チームと共に顧客へのアプローチを最適化し、売上を増やすことに貢献します。

このような営業パーソンやマーケターのマインドセットとスキルが求められる背景には、顧客ニーズの多様化と市場環境の変化の早さがあります。お客さん一人ひとりの課題感やニーズに対応するためには、営業とマーケティングが密接に連携し、情報を共有しながら最適なソリューションを提供することが大事です。

そのためには、営業がマーケティングの視点を、マーケティングが営業の視点を理解し獲得し、それぞれが相手の役割を尊重し合うことが不可欠です。

ただし、これらのマインドセットとスキルはすぐに身につくものではありません。それぞれのチームが他方の視点を理解し共に成長するためには、組織全体での継続的な学習と、その間の忍耐も必要です。

個々人の成長の結果、営業とマーケティングの連携が強化され、企業全体のパフォーマンス向上に寄与するでしょう。


部分最適ではなく全体最適を実現するために


営業とマーケティングの連携を実現し、全体最適を追求するためには、具体的な戦略と手法が求められます。その実装のためのステップ、遭遇しうる困難、そして克服方法について考えていきましょう。

まずは戦略の立案から始めます。営業とマーケティングが共通の目的とゴールを設定し、認識をそろえて、達成のためにどのようなアクションをとるかを明確にすることが重要です。ここでのゴールは売上目標だけでなく、顧客満足度の向上など、その結果としての売上達成に直接的に寄与するものを設定することが有効です。

次に、情報共有の仕組みを確立します。営業とマーケティングの間での情報共有の仕組みを作ることで、マーケティング活動が営業の現場のニーズに応えられるようになり、営業活動がマーケティングを強化します。

定期的なミーティングの開催や共有ツールの活用など、組織の文化を調和していく方法で実現するといいでしょう。そして、お互いの役割と貢献を理解し、尊重する文化を育てます。トレーニング機会の導入や、営業とマーケティングの共同プロジェクトを通じた協働の機会を設けることも有効です。

このような取り組みの中で、様々な困難に遭遇する可能性があります。その一つが、既存の組織文化や慣習への執着、固執から起こる抵抗です。人々は新しいやり方に対して抵抗感を抱くものです。

克服のカギはコミュニケーションにあります。変化の理由とそのメリットをしっかりと伝え、全員が理解できるようにすることが大事です。

また、営業とマーケティングがそれぞれ異なる目標を持っている場合、その調整が難しくなることもあります。この問題には共通のゴールを設定し、達成するためのアクションプランを共有することで解決できます。

全体最適を追求することは、必ずしも簡単な道のりではありません。各組織が個別最適をするほうがよほど楽でしょう。しかし、これでは企業全体の成長と成功には結びつきません。全体最適化とは未来への投資です。営業とマーケティングが連携し、共に同じゴールを目指すことで、その恩恵は計り知れないものとなるでしょう。


まとめ


営業とマーケティングの連携は、ビジネスの成功における不可欠な要素です。その連携がうまく機能していない場合、企業は BtoC や BtoB の事業形態を問わずビジネスの足かせになり、何よりも大切なお客さんに価値を提供できなくなってしまいます。

営業とマーケティングの連携と相乗効果が生まれることで、ビジネスの成功がもたらされます。営業とマーケティングのそれぞれが相手の役割を理解し、尊重し合うことで、企業はより高い顧客満足度、効率的なプロセス、そして最終的には高い売上と成長を実現します。

マーケティング思考を持つ営業と営業マインドを持つマーケターの育成、そして組織全体での共有ゴールの設定、情報共有の仕組みの確立が重要です。困難は避けられませんが、それらを克服することで、部分最適ではなく全体最適が実現し、企業全体の成功に貢献するでしょう。

もちろん一朝一夕で達成できるものではありません。だからこそ持続的な取り組みが大事なのです。


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。